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こんにちは、なかじです。
今回ご紹介するのは先日公開した「かもめブックス」記事の続編!
立ち上げのキーパーソンであるこの4名にお話を伺いました。

※写真左から、デザイン事務所 G_GRAPHICS INC.の松木カオリさん、池田敦さん
自家焙煎コーヒー専門店 WEEKENDERS COFFEEの金子将浩さん
そして、かもめブックス店主でもあり
校正会社「鴎来堂」代表を務める、柳下恭平さんです。

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「本を読む人がいる一方で、本を読まない人もいる」

文鳥堂書店には、柳下さんもよく通っていらしたんですか?

柳下さん(以下:柳):そうですね。箱庭の皆さんもご存知のように、以前ここにあった文鳥堂書店は昔ながらの街の本屋さんでした。閉店すると聞いた時は、僕もすごくショックで。色んな理由があってのことだは思うんですが後継者不足や、本を読む人自体が少なくなってきていることも理由にあるようで。

本を読む人は、柳下さんから見て減っている印象でしょうか?

柳:最近どんどん少なくなってきている気がしています。本を読む人たちがいる一方で、本を読まない人たちもいる。読む人は放っておいても読むでしょうけど、暮らしの中に読書習慣がない人に、本を読んでもらうのはハードルが高いです。今はスマホや携帯端末が普及して、私たちはいつでもどこでも微弱な状態で日々アップデートされた情報に接していますよね。でもその状況って、読書とは相性が良くない。本を読むには、それを一時的にシャットダウンする「オフラインの時間」が大切だなと思うんです。

-なるほど。オフラインの時間、ですか。

柳:ええ。それを僕自身が実感したのは、G_GRAPHICS INC.さんを訪ねて大阪へ行った時でした。大阪のシーンを自分の目で見たくて北浜という街を散策していたんですね。そこであるコーヒー屋に入ったのですがそのお店はWi-Fiが飛んでいなくて、たまたま携帯も電池が切れていて。完全なオフライン状態だったんですけど。その時ふと「文庫本持ってくればよかったなぁ」と思ったんです。それは久しぶりの感覚でした。

オフラインならではの楽しみ方ってありますよね。

柳:コーヒーを飲むならゆっくり飲みたいし、本を読むならじっくり落ち着いて読みたい。同様にギャラリーで展示を観ている最中は、普通スマホをいじらないですよね。
本、コーヒー、ギャラリー...この3つの共通点って“オフライン”だなって思ったんです。なので、かもめブックスでもそういうオフラインの時間を楽しんでもらえるような空間を意識しています。

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「新古に関わらず、いい本は永く残していきたい」

本棚はどうつくっているんですか?

柳:“核”になる本が1冊あって、その隣に何を並べようか...という風に棚をつくることが多いですね。今って雑誌も書籍も回転が早いから、発売から2カ月経って本屋に残っている本はとても少ない。僕が幼い頃に読んだ本を今手に入れようとしたらほとんどが品切れや絶版になっているんじゃないかな。そういう現状を考えた時に、いいものを永く残していきたいと思いました。今月出た本よりも先月までに出た本のほうが数も多いし、それだけおもしろいものが多く眠っているはずだから。だから僕らは、新刊ばかりを取り上げる必要はないと思っていて。

新書コーナーの代わりにスタッフがおすすめする特集コーナーを設けたり、他の棚も、その本の考え方や文脈に沿って並べるようにしています。例えば、「鬼平犯科帳」なら、ビジネス棚に並べたり...。長谷川平蔵が考えていることって、実は日々のマネジメントや組織づくりなど見方によってはビジネス本としてもとらえられるんですよね。かもめブックスでは、そういう舞台装置を用意したいと考えています。

それ、気になります(笑)。本棚の並び方もユニークですね!

柳:カフェ、本屋、ギャラリーとそれぞれの空間に分かれてはいるんですが、3つで1つの空間を形成しています。店の奥に進むにつれてどんどん「非日常的」になるように設計されています。それに伴って、本のレイアウトも手前に雑誌や新刊があって奥に行くにつれて暮らし、食、動物などグラデーションをつくるように意識しています。

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「WEEKENDERS COFFEEでコーヒーを焙煎する
金子さんを見た瞬間、なんて素敵なんだ!と」

金子さんとの出会いのキッカケは、何だったんですか?

柳:かもめブックスの構想を練っていた時、店で自家焙煎のおいしいコーヒーを提供したいなと思ったんです。金子さんとの出会いは、現かもめブックスのマネージャーである女性に連れられて京都のWEEKENDERS COFFEEを訪れた時のこと。お店の扉を開けた瞬間、ふわーっと開放的な空間が広がっていてその奥に焙煎機で豆を挽いている金子さんがいたんです。その姿がね、もうすごく素敵で!そして何より金子さんが淹れたコーヒーが非常においしくてすっかり惚れ込んでしまいました。

金子さん(以下:金):最初はコーヒー豆を提供するっていうライトな感じだったのに、気付いたらこんなことになっていて...(笑)。

柳:はは、そうですね(笑)。でもお話をするにつれて、僕らの想いに共感してくれたのはもちろん、金子さんのご実家が本屋だったりと不思議な”縁”も感じまして。「ぜひ一緒にやりましょう!」とお願いして、今に至ります。

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へぇ!ご実家が本屋さんとは、すごい偶然ですね〜

金:そうですね。だからというわけではないんですが、僕自身も本が大好きで。よく読むのは実用書ですが、コーヒー関連の本だけじゃなく、お酒や料理などジャンルは色々。幅広い知識に触れるように心がけています。

柳:金子さんは走ることも好きだし、すごくアクティブな方。あと、こんなこと言ったら怒られるかもしれないですけど、とてもチャーミング(笑)。実は「WEEKENDERS COFFEE All Right」の”All Right”は、金子さんの「鴎来堂だから、All Rightはどう?」という一言から名付けられたものなんです。おそらく金子さんはジョークのつもりだったんでしょうけど、語呂も良かったのでそのまま採用しました(笑)。

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「僕らの大好きなクリエイターたちがこぞって
展示会を開いていた場所、それがギャラリー”ondo”」

G_GRAPHICS INC.さんとは、どうやって出会ったんですか?

柳:G_GRAPHICS INC.さんと出会ったのは、かもめブックスのロゴをどうしようかな?と考えていた頃でした。ロゴや印刷物をどうしようかと色々調べているうちに、自分たちの好きなクリエイターさんたちがこぞって展示をしているギャラリーがあったんです。それが大阪のギャラリーondo。このギャラリーをG_GRAPHICS INC.さんが企画&運営していると知って、「このギャラリーを運営している方々なら、きっと僕らと空気感が合うはず」とピンときまして。お会いしてすぐに意気投合し、それから2~3カ月間はお互いに東西を行き来しながら話を詰めていきました。

デザイン事務所がギャラリーを運営しているって新鮮ですね。

松木さん(以下:松):ondoはオフィスと同じフロアにあって、ギャラリーからはオフィスが丸見えなんです(笑)。ondoができる前は、普通のデザイン事務所としてそこで粛々と仕事していました。でも、ふと気付いたんです。私たちは一般生活者に向けてデザインをしているのに、閉鎖された空間にこもっていてはダメなんじゃないか?って。そんな時、知り合いのイラストレーターさんから「オフィスの打ち合わせスペースを、子ども向けの絵画教室として使わせてもらえないか?」という相談をされたんです。絵画教室としてスペースを貸し出してからは、お母さんや子どもたちの声で、フロアが賑やかに。外の空気を感じられるのっていいなと、実感しました。

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池田さん(以下:池):デザイナーは単にクライアントの言う通りにモノをつくるだけじゃない。僕らはあくまで、その先にいる生活者のほうを向いてデザインをしたい。そういう想いが根底にあったので、外とつながれる場をつくろうと思いました。

松:そして、ondoが誕生したのが約2年前。月替わりで展示イベントを企画しています。クリエイターさんや作家さんたちの発信の場になればいいなと思っています。

柳:外から見えづらいっていうのは、デザインの仕事と同じく、校正を含め本をつくる仕事も同じ。そういう部分を公開するっていうのも、おもしろいと思うんですよね。

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「東と西がつながることで、化学反応が起こる気がしています」

金子さん、池田さん、松木さんにお伺いしたいのですが、東と西はどう違いますか?

池:出版機能の多くが東京に集まっていることもあり、デザイン業界全体でもそうですが、特に作家やイラストレーターの仕事は東京に集中しています。僕らは今まで、関西の仕事と関西のクリエイターをつなぐ事を主軸に考えていたんですが、東京にも発信拠点があれば、もっともっと多くの可能性が生まれるような気がしています。いい形で東と西がつながれば、おもしろい化学反応がどんどん生まれる。そう思っています。

金:東と西では、コーヒー事情も違います。東京では今、スタンド形式のコーヒーショップが増えていたり、Blue Bottle Coffeeなど外資企業もどんどん進出していますよね。でも関西では、まだ個人でお店を開くケースが多い。とはいえコーヒー業界全体が、ここ5年間で大きく変わりました。雑誌でよく特集されるようになったし、コーヒーを飲む人もグンと増えた。でも個人的には、需要と供給がマッチしていないという印象です。ニーズはあるのに人があまり育っていない。それは今後の課題かなと思っています。

池:こっちに来る機会が増えて感じたんですけど、東京はスピード感がすごく早いですね。

金:確かに街が日々変化しているイメージです。お店の入れ替わりも激しいですよね。

松:かもめブックスを機に東京へ来るようになってから、改めて大阪の良さを知ることもできました。やっぱり地元は落ち着くし、関西ならではの親しみやすさがあるというか。でも東京は東京で、無限の可能性がある街。西とはまたひと味違う魅力を感じています。新しさだけじゃなく、神楽坂の下町風情のように古さも残っていたりと、色んな表情がある。東と西、どちらの良さも同じくらい感じています。

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「神楽坂になくてはならない、愛される”街の本屋”に」

最後に柳下さん、今後のかもめブックスの野望を教えてください!

柳:やりたいことはたくさんあります。でも、まずは「神楽坂に愛される本屋になること」が今の目標。金子さんとこの焙煎機が火を噴くほど(笑)たくさんの人においしいコーヒーを飲んでもらいたいし、東西という枠を取っ払って、ゆくゆくは国という枠も取っ払うような、そんなプロジェクトがあっていいとも思っています。とまぁ、大きな夢もありつつ、目の前の本棚が気になったり。10年後のことと、明日のこと。マクロとミクロの両方の視点を持って、少しずつゆっくりと育てていきたいです。

かもめブックス

【住所】〒162-0805 東京都新宿区矢来町123第一矢来ビル1F
【電話番号】03-5228-5490
【営業時間】月~土10:00~22:00、日11:00~20:00
【定休日】不定休
【アクセス】地下鉄東西線「神楽坂駅」矢来口より徒歩30秒
地下鉄大江戸線「牛込神楽坂駅」A1出口より徒歩10分
地下鉄有楽町線「江戸川橋駅」各出口より徒歩10分
JR総武線「飯田橋駅」B3出口より徒歩15分
【URL】http://kamomebooks.jp/