大切なのは、自分が楽しめているかどうか。自分の勘はアテになるから大事にしています。

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やまさき薫さん(やまさきかおる)

絵とデザインのアトリエ「ヤマコヤ」主宰。
シルクスクリーン版画作家・イラストレーター・デザイナー。
1981年3月生まれ、 鹿児島県鹿屋市出身。
東京学芸大学教育学部美術科卒業。
デザイン事務所勤務を経て、 現在フリーランスで活動中。
場所や人、媒体のありようを真摯にとらえながら、「描く・つくる」で表現します。作品制作や図工のワークショップを中心に「暮らすこと、つくること、伝えること」を大切にした、ものづくりを目指します。

~絵とデザインのアトリエ「ヤマコヤ」~
ヤマコヤは、やまさき薫の主宰するアトリエです。
くらしの中から生まれる絵やデザインを、シルクスクリーン版画、工作、紙布雑貨で表現します。
作品やワークショップの開催などを通して、つくることに寄りそう目線を提案していきます。

【LINK】
やまさき薫公式サイト
やまさき薫Facebook

アトリエテンポFacebook

【WORKS】
むさしのカレッジ
むさしのカレッジ

シルクスクリーン版画作家、イラストレーター、デザイナーとして活躍するやまさき薫さんのインタビュー最終回!今回は、やまさき薫さんの主宰するアトリエ「ヤマコヤ」がある『atelier tempo[アトリエ テンポ]』ができた経緯から、仕事と子育てとの両立など働き方についてお伺いしました!

やまさき薫さん第一回目記事はこちらから。
やまさき薫さん第二回目記事はこちらから。

箱庭(以下:h):『atelier tempo[アトリエ テンポ]』ができた経緯について聞かせてください!

やまさきさん(以下:や):子どもを持ったときに、子どもが見える距離でお店を構えて仕事をしたいなという想いがあって。
というのも、私が小さい時に親が喫茶店をやっていたので、その環境がすごくよかった…とは一概には言えないんですけど(笑)、すごく原風景になってるんです。そうやって親の背中を見せるのはいいな、そんな環境を作ろう、と。上の子が小学校にあがるタイミングまでにお店を構えられてるといいな、というのが私の中のカウントダウンで、物件を見たりしてました。タイミングがいい場所にめぐり逢えたら細々とお店を持とうって思って。自宅兼アトリエでやっていると、家がぐちゃぐちゃになるんですよね(笑)。だから違う場所でアトリエが持ちたいなっていうのもあったんですけど。
同時進行で、ちょうど5〜6年前から『はけのおいしい朝市』という活動を一緒させてもらい、企画運営やチラシのイラスト・デザインを担当しています。そこで、この地域で活動をしている作り手の人たちとつながったりして。基本的に朝市は、お店を構えているメンバーのお店を毎月転々と回ってやっていき、地域とのつながりが増えていきました。

や:それでここに入った経緯なんですけど、武蔵境から西国分寺まで高架になったことで、『ののわプロジェクト』っていうのが始まったんです。JR中央ラインモールが発信してエリアマガジンを作ったり、トークイベントをやったりしてたんですけど、ちょうどそのプロジェクトを形にする場所を作ろうということで、この東小金井の高架下を地域で活躍している人がお店を持って、地域の人が集える場にしようという話になったんですね。高架下の駅間に物を販売するだけじゃなくて人が主役になれる場を作りたいっていうプロジェクトに、ちょうど声をかけていただきました。
※『ののわプロジェクト』:地域に根ざしたこれからのライフスタイルを考え、実践する種をまくプロジェクト。

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h:この場所は JRのプロジェクトでできたんですね!

や:そうなんです。ちょうど入る人を探しているというところに、最初に『dogdeco』さんに話がきて、その流れで、お店をまだ持っていない近隣の作り手に声がかかりました。私は元々どこかの小さな空き店舗でやろうと思っていたんですけど、こういう広いところにみんなで一緒に入る機会もないだろうし、それはそれでおもしろいことができそうな予感があったので。

h:広がりがありそうですよね。

や:ここは、仕切りを開ければ大きな空間にできるので、イベントやるときに使わせてもらったり。広がりを小さくもできるし、大きくもできる。お店の前のスペースも、暖かくなったら展示とかに使ったり、出店したりもできます。野外広場もあって、オープニングの頃は音楽イベントやったりとかしてました。そこも暖かくなったら、イベントのスケールに合わせて使えるのでおもしろそうだなと思ってます。本当に、タイミングがちょうどぴったりだったんです。

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h:東小金井って、どういうところに魅力があるんでしょう?

や:なんだろ。なにもないところ?(笑) 小ぢんまりしていて、開発もされていないところも多いんです。

h:でも、駅周辺はとってもキレイに整備されていますよね。

や:今はそうですね。駅下の商業施設『nonowa』とかもできて。でも、ちょっと北口を出ると古い商店街もまだ残っていて、その中に新しいお店も入っていたりするので、新旧がちょうどいい具合に交わっていていい感じなんです。都心に行こうと思えば20分くらいで出られるのに、駅から20分くらい離れたところには、北には小金井公園、南には武蔵野公園・野川公園という都立公園があって、ちょっと離れると「東京なのかな?」って思うようなのどかなところもある。

h:いい環境に利便性も兼ね備えていて、暮らしやすい地域なんですね。

や:あんまり何色にも染まってないところがいいですね(笑)。

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h:聞いていて、子育てもしやすそうな地域だなと感じるんですが、ご自身もお二人のお子さんのママですよね。

や: 4歳と6歳の娘がいます。上の子が今年小学生になりました。

h:お子さんが2人いらっしゃって、子育てとお仕事との両立も大変だと思うんですが、力の入れ方・抜き方はどのようにしているのかなって。

や:家族の支えもあって、ですね。うちは夫婦とも親が遠いので、お店を持ってからは特に主人が協力してくれます。今までは保育園のお迎えとかは私がしてましたけど手伝ってくれますし、土日にお店にいなくてはならないことが多くなったのですが、パパが子どもたちを遊びに連れて行ってくれてるので。

h:お店には遅くまでいらっしゃるんですか?

や:平日は 20時までなんです。だから、夜ごはんは同じタイミングで食べられなくなっちゃいましたね。

h:ごはんはパパが作ってくれるんですか?

や:作ってくれる時もあるし、お店が 12時からなので朝のうちに私が作っておいたりとかします。それから、この場所(お店)が3人の共同運営なので、お互いに協力し合っています。緊急のときにはそれぞれがお店に立つのを代わったりとか。ひとりでお店をやるよりもすごく力になっています。

h:パパだけではなく、一緒にやっている皆さんのサポートもあるんですね。

や:そうですね、メンバー同士、協力しています。

h:でも、週末もお店となると、お子さんと過ごす時間は減ってしまいましたよね。

や:一緒におでかけする機会は減りましたけど、ここに遊びに来てくれたりするので。お弁当作って持ってきてくれたりして、今までと違う過ごし方を楽しんでいます。

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h:活動していく上で、ポリシーというか、大事にしていることってありますか?

や:「自分が楽しめているかどうか」。気乗りしない仕事でも、自分がそれでどう伸びることができるかとか、自分が本当にちゃんと「いい」と思えているかとか。以前にデザイン事務所で働いていたとき、誰のために作っているかよくわかんなくなっちゃって「嫌だな」って思ったんです。私もそれがいいとは思わないし、担当の人も多分それがいいとは思ってないけど、「まあ、こんな感じでいいんじゃない? 大衆向けだし」みたいな。だから、自信を持って「いい」と思えるものを共有できる相手と何かを作っていきたいなと思っています。

h:自分のいいと思うことを貫くって、理想的な姿勢ですよね。

や:どのくらい貫けるかはわからないですけど(笑)。

h:でも心の健全にもつながりそうな感じ(笑)。

や:そうなんです。そこを曲げていっちゃうと、何のためにやっているのかよくわからなくなっちゃう。せっかくリスクを背負ってフリーでやっているので、自分の勘を大事にしていますね。無意識に感じているものをキャッチしていることが「勘」になっていると思うので、そこをできるだけ大事にするようにしています。「あ、なんかやだな」と思ったら、何でそう思うのかをちゃんと突きつめて、そういう野生の勘みたいなものを大切にしたほうが近道な気がします。

h:すごく参考になります!

や:意外と自分の勘はアテになるから(笑)。大事にしておくときっといいことがある。

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h:今後活動していく上で挑戦してみたいことや計画していることはありますか?

や:この場(atelier tempo)にいることが増えてきたので、今までは呼ばれたら行っていろんなところで活動していたんですけど、それもなかなか難しいし、ここでもやっていきたいです。いろんな人と一緒にコラボレートできたらいいな。ものを作るでも、何かのプロジェクトを立ち上げるでも、それぞれ専門にしているものが違う人と一緒に能力を出し合えたら刺激になるし、おもしろそうなことができるかなって。

あと、ワークショップやものづくり教室をここやいろんな場所で発信していきたいのですが、私が専門じゃない分野、たとえば金工(金属工芸)とか、もうちょっと道具使って作るものとかもやりたいと思っていて。でも私は技術も知識もないので、そういう人と一緒にできたらいいですね。

h:いろんな人を巻き込んで、幅を広げていくっていう感じですね!

や:それから、ものづくりの本を作りたいなと思ってるんです! 内容は、シルクスクリーンなのか図工なのか、カテゴリーはまだ考えてないのですが、私自身幼少期に本を見て作るということをよくしてたんです。人に教えてもらうのも楽しいけれど、書かれている情報から自分なりに想像して試行錯誤して工夫する時間がとてもよかった。自分が教えるのとはまた違ったものづくりの伝え方かなと思って、そんな野望を抱いています!

h:最後に、箱庭読者へメッセージをお願いします!

や:メッセージをとゆうか、自分に対して意識に留めておくように声掛けの意味が強いですが、
「そうなっている理由を、いちいち考えるのを省かないで向き合う」
「繋がりのあるご縁は、丁寧に大切に向き合い、気持ちよく巡らす」
この2点は特に大切にしていることです。
割と自分に対して懐疑的なので、自分はなんでこれをいいと思うのか、なんで嫌だなと思ったのか、なんでそうしたのか。
考えることで、嫌だと思ってたものが急に愛おしくなることもあるし、その立場だったらこうしたほうがいいかもと違う見方でみれるようになったり。
ちょっとずつ意識することで、選択やモチベーションが変わるんだなと思います 。
あと、いろんなご縁や繋がりで、活動の幅が広がったり、お仕事をいただけたり、新しいことに挑戦できたり、他からの刺激で、たくさん成長させていただいているので、その繋がりが自分で止まることなく、縦にも横にも気持ちよく巡ってくれているような自分でありたいと思っています。

やまさき薫さん今後のイベント出店予定

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第5回 井のいち
日時:2015年 5月31日(日)9:00-16:00 雨天決行
場所:石神井氷川神社 東京都練馬区石神井台1-18-24
URL:http://inoichi2015.i-mondo.org/
※お車でのご来場はご遠慮いただきますよう何卒ご協力の程お願い致します。

通常の紙もの布ものの小品の出店他、ワークショップをします。
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用意してあるオリジナルのシルクスクリーン版から絵柄と、好きなインクの色を選び、
マイバッグ(B5サイズくらい)に手刷りの体験ができます。
綿100%なら布やTシャツなど持ち込みでもどうぞ(濃色のものは不可)。
※当日先着順となります。
※定員に達しますと、待っていただいたり・お断りすることがありますのでご了承ください。
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◆ライター
haconiwa_futatsuya二ッ屋絢子
埼玉県出身。フリーランスで編集ライターをしています。ねこ、睡眠、おいしいデザート…好きなものいっぱい。コーヒーより紅茶(体質的に)。たい焼きはクリーム派。