150826toda_000

昭和の面影が残る「上野桜木あたり

はじめまして!箱庭キュレーター新入りの戸田江美です。普段はWebデザイナーをしながら、写真を撮ったりしています。

突然ですが、”谷根千”ってご存知ですか?
東京の谷中・根津・千駄木、それぞれの頭文字をとって”谷根千”と呼ばれるエリアは、今でも古き良き町の雰囲気を残す情緒溢れる場所として知られています。
今年、そんな谷根千の近くに新たなスポット「上野桜木あたり」が出来ました。

昭和13年(1938年)に建てられた古民家3軒を残そうと、塚越商事株式会社、NPOたいとう歴史都市研究会、地元の皆さんによって再生された場所です。

この「上野桜木あたり」、コンセプトがとっても素敵。

平成27(2015)年3月、「上野桜木あたり」は、天然酵母のビアホール、手作りパン、塩とオリーブの店とヴィンテージのアパレルショップ、現代アートの事務所、建築家の住居などが集まる、複合施設としてオープンします。コミュニティ活用や様々な手作り文化、食文化、芸術文化の発信・交流の場になる「みんなのろじ」、「みんなのざしき」がまちと各家や店舗をつなぎます。
 ここは、入居の店舗や事務所・住人だけでなく、地域の方、訪れる方が自ら企画を立て、発信できる場になります。路地でのマルシェ、手作り市、座敷でのヨガや囲碁教室、子育てやお年寄りの交流の集いなど、アイディアをお寄せください。ここは上野桜木あたり、みんなで育てる暮らしの場です。
出典:concept|上野桜木あたり/uenosakuragi atari official website

なんだか、ただのお店じゃなさそう!
ということで、実際にお邪魔してきました。
今回は、「上野桜木あたり」の方にうかがった、”古い暮らしを残していく”という想いも一緒にご紹介します。

150826toda_001
日暮里駅から徒歩約10分、上野駅から徒歩約15分歩いた所に、「上野桜木あたり」はあります。
住宅街を進んでいくと突然現れる、昭和にタイムスリップしたみたいなノスタルジーな空間。

150826toda_002
1号棟から3号棟まである古民家には、それぞれお店や事務所が入っています。

150826toda_003
敷地内の中心には、なんと井戸が!
井戸の水で涼んだり、工夫して季節を楽しむ、昔の気分が味わえます。
伺った夏の日は、風鈴の音色が涼を運んでいました。

150826toda_004
古民家に合う植物が育てられていて、風情があります。

150826toda_005
季節を感じる、さりげない飾り。おもてなしの心遣いが見えます。

古民家の懐かしさに包まれる”谷中ビアホール”

150826toda_006
一番手前にあるお店が、「谷中ビアホール」。
ここでしか飲めない、谷中ビールがあります。
それにしても、味のあるロゴです。
おじさんが「とりあえず一杯」しているリラックスした雰囲気が伝わります。笑

150826toda_007
「上野桜木あたり」にある3軒の古民家の中で、谷中ビアホールがある家が一番、当時の姿を残しているそうです。
砂壁、漆喰壁もそのままの姿で再現されていました。

150826toda_008
壁に貼られた古新聞。実はリノベーション中に出てきた新聞たちだそうです。
当時ここに住んでいた方が読んだものなのでしょうか。
お客さんの中には、壁の新聞を読んで、懐かしいなぁなんて盛り上がる方もいらっしゃるそうです。

150826toda_009
壁にかけられた時計も、実際にこの家で使用されていたもの。
いまだに動くなんて凄い!
時を越えて、「上野桜木あたり」で活躍しているんですね。

150826toda_0010
お店には、お客さんからのお土産品がいくつか飾られています。
なんてアットホームな雰囲気!

150826toda_0011
夏に伺ったこの日は、蚊取り線香が炊かれていました。
かわいい猫ちゃんデザイン!和みます。
蚊取り線香がある景色、最近では珍しいかもしれません。

150826toda_0012
はじける笑顔がまぶしいお姉さんたちと谷根千トークをしながら、谷中ビールを味わう時間が過ごせます。
ビールだけでなく、三重県の土鍋を使ったこだわりの薫製もおススメ!

150826toda_0013
2号棟には2つの飲食店「おしおりーぶ」と「カヤバベーカリー」があります。

150826toda_0014
時期によって変わるしつらえから、”丁寧な暮らし”がうかがえます。

塩とオリーブのお店「おしおりーぶ」

150826toda_0015
木板天井と裸電球の室内に、英語のロゴ。
新旧マッチングした何とも不思議な雰囲気です。

150826toda_0016
おしおりーぶでは、オリーブオイルと塩をメインに、ヴィネガーをはじめとした調味料が売られています。

150826toda_0017
色々な種類のオリーブオイルが試せます。
チョコの香りがするものなんて初めて!
アイスやワインに合いそう。
お店の方によると、オリーブオイルは和食にもよく合うそうです。

150826toda_0018
店内の角には、オリーブオイルが飾られた木が!
小さくて可愛い包装で、思わず手に取っちゃいます。
ホームパーティなどで一役買いそうな、お洒落アイテムです。

150826toda_0019
お店の外側にはカウンターがあり、ドリンクやおつまみを楽しむことが出来ます。
ベンチもあるので、敷地内の景色を楽しみながら飲食が出来ます。
ちょうど、3つの飲食店の中間スペースなので、それぞれのお店のものを味わいながら過ごしてはいかがでしょうか。
パンとオリーブオイルとビール。偶然にも各店舗の商品の組み合せが良いと、お店の方がおっしゃっていました。

150826toda_0020
今回いただいたのは、シークァーサーヴィネガーに、キウイを混ぜたドリンク。
爽やかな味で美味しい!
ヴィネガー系のドリンクは、夏場にしか飲めないメニューだそうです。

150826toda_0021
冬におすすめの一品が、オリーブラテ。
綺麗な緑色のパウダーは、オリーブの葉の色!
黒糖との相性が想像以上に良くて、ビックリしました。
肌寒い季節になったら、ホッと一息飲みながら、ベンチでまったりと過ごしたいな~!

ドリンクはお店に並んでいる商品で出来ているものが多いそう。
お家で再現できますね!

地元に愛されるパン屋さん「カヤバベーカリー」

150826toda_0022
敷地内の一番奥にあるのが、カヤバベーカリー。
谷根千のカフェと言えばおなじみの、カヤバ珈琲が出しているパン屋さんです。

150826toda_0023
パンに使われている小麦は、国産のものを使用。
ふわふわで美味しいんです!
日本家屋でお店をやるのだから材料も日本らしいものを、とこだわっているそうです。

150826toda_0024
お惣菜パン・菓子パンは、子供とお年寄りも食べやすい、そして食べ歩きしやすいサイズで出来ています。
優しい価格設定も嬉しいポイント。
どれにしようか迷っちゃう!
谷中の商店街で売られている材料を使ったパンもあり、地域の味を楽しむことが出来ます。

150826toda_0025
ロゴも素敵!
取っておきたくなっちゃうデザインです。

150826toda_0026
「築77年の古民家が3軒まとめて再生されたことは、本当に貴重なことです。
1軒だけでなく、3軒だったからこそ、家のみでなく路地までも残すことが出来ました。
リノベーションにも色々手法がありますが、「上野桜木あたり」は、当時の姿をなるべくそのままに蘇らせました。
昭和初期に建てられた家の姿を残していくことで、ものだけでなく想いも受け継がれていきます。」

教えて下さったのは、「上野桜木あたり」広報・カヤバベーカリー店主の村上さん。(右から2番目)

「1棟に洋式の居間と和室のお座敷があって、どちらからも座ってお庭が眺められるようになっています。」

そう言われてよく見ると、庭を眺めやすいような家の造りになっていました!
家って、当時住んでいた人の生活や理想が見えてくるんですね。

「これからも、様々なイベントを計画していきたいと考えています。
たとえば、国産野菜の直売を定期的におこないたい。
近所に八百屋さんがないこの地域で、日本の良いものを手軽に味わえる場にしたいんです。」

古民家に並んだ野菜を、売り手の人や近所の人とお喋りしながら買う。
なんだか、昔の商店街を連想させます。
古民家そのものを再生するだけで終わらせず、コミュニティーの場にすることで、「古い暮らし」が残り、育まれていくのですね。

暮らしと想いが残る場所「上野桜木あたり」

150826toda_0027
細い道で繋がる3軒。
木造の家にオレンジの光が、あたたかい雰囲気を出しています。
実際に3軒家同士の近さを見ると、ここが住宅として機能していた時は、路地がご近所同士のコミュニティーの場であったのだなと想像しやすかったです。

リノベーション当初は、手入れもされておらず草木が生い茂っていたそうです。
今の上野桜木あたりの姿からは想像出来ません。
様々な方のご苦労があって、3軒家に魂が吹き込まれたのでしょう。

この土地と3軒家は、色々な時代と人を見てきたのだろうなと思います。
そんな家が、様々な人が訪れる場に生まれ変わった。
住まいから複合施設に変わっても、人のコミュニティーの場として使われ続けています。
うかがった日も、ご近所の方がふらりと立ち寄りお店の方と話していたりして、地域の憩いの場となっているのが見受けられました。

「上野桜木あたり」には、飲食店だけでなく、雑貨屋さんやレンタルスペースがあります。
毎月様々なイベントがおこなわれており、使う人来る人みんなで育てる”場”になっています。
お休みの日に、古い暮らしに想いを馳せに行ってはいかがですか?

◆箱庭キュレーター
todaemi戸田江美Twitter
Webを中心に活動するデザイナー。写真が好きで、アーティスト活動もしています。すきなものは、落語と日本史とイギリス。