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琉球古典芸能「組踊」に現代の風を吹き込み、わかりやすく華やかに。

こんにちは!ようやく少し涼しくなってきた沖縄からMOSAICKAFEです。
夏から秋にかけて沖縄はイベント三昧。

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うるま市では、ライトアップされた勝連城址での夜のライブイベントや、イチハナリアートプロジェクトなど、面白いイベントが続いていますが、次に楽しみにしているのが今月開催される、
現代版組踊『肝高の阿麻和利』と『百十〜MOMOTO』の公演です。

現代版組踊というのは、琉球王朝時代から続く古典芸能 組踊の、
古い方言を使ったせりふを現代語に、舞踊を古典の所作を残した創作ダンスに、
三線や太鼓で構成されていた地謡をシンセサイザーなどの洋楽器を交えてバンドスタイルにしたもの。

今から15年ほど前に沖縄県うるま市の与勝地域で中高生で構成された現代版組踊『肝高の阿麻和利』が誕生。
うるま市のきむたかホールを中心に、県内外・海外でも公演を重ね
昨年はその続編として、“阿麻和利の精鋭メンバー+卒業生”だけで
衣裳から楽曲まで1から作り上げた『百十〜MOMOTO』が誕生しました。

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『百十〜MOMOTO』を構成するのは、7割以上が女性メンバー。
男性役を女性が演じていることも少なくないのです。
古典の組踊は歌舞伎の影響を受けているため男性のみが演じるものですから逆転していますね!
今回は『百十〜MOMOTO』の中でも特に重要な役割を担っている3人を紹介したいと思います。

まずは主役、百十踏揚役のこの方。

勝連 里沙子 Risako Katsuren ー百十踏揚 役ー

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17歳の現役女子高生ですが、政略結婚によって2度嫁ぐも2度とも夫に先立たれて
子どもとも離ればなれになる悲劇の王女、百十踏揚の役を演じます。
『肝高の阿麻和利』で百十踏揚役として何度も舞台に立ってはいますが、
その続編となる『百十〜MOMOTO』で演じるのは初めて。

でもさすが現代っ子、初の主役とのことですがプレッシャーよりも
百十踏揚を演じることが出来る嬉しさと、楽しみという気持ちの方が強いそうです。
先輩たちの舞台をずっと見てきたから、台詞もとっくに全部覚えているのだとか。

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「私はまだ17歳で、自分の子どもを手放さなければならない踏揚の
気持ちを理解するのは難しいですが、踏揚が最初の夫、阿麻和利に嫁いだのは
13〜14歳頃と言われていて、それはちょうど私が初めて踏揚を演じたのと同じ年代なんです。
その後何度か阿麻和利の妻役として踏揚役を演じていて、
今回の役もやっぱり年代的には近いのでなんとなく感じるものがあります。
子どもは好きなので、私なりに気持ちを込めて演じます」

こちらの百十踏揚はまた別の役者さんですが、彼女がこの姿になるの楽しみですね〜!
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百十踏揚の衣裳は、もともとある組踊で使われる着物をアレンジしたもの。
さすがは琉球王女、極彩色に柄 on 柄 on 柄に大ぶりのヘッドピースと
ド派手ではありますが所作が綺麗なせいか遠目に見てもかなり可愛いです。

着物の着付けも髪結いもすべて先輩に教えてもらったという里沙子さん。
流石に踏揚の衣裳と髪型は自分ひとりでやるのは無理とのことですが、
人に着付けたり、髪を結ってあげることは出来るのだそう。

この舞台の衣裳を担当しているのは、この方。

金城 菜々美 Nanami Kinjo ー衣裳担当ー

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この公演における衣裳は彼女がたったひとりで担当しています。
高校時代は役者として、阿麻和利の舞台に立っていた菜々美さん。
(一度だけ百十踏揚も演じたことはあるのだとか)

阿麻和利卒業後は、服飾の専門学校でデザインや縫製を学び、
舞台衣裳を手がけるためにTAO Factoryに入社。

役者の衣裳は組踊の衣裳のアレンジですが、
女性アンサンブル(ダンサー)の衣裳は彼女がデザインをして一から作っています。
踊った時の見え方や着心地などを配慮し、演出家や振付師、ダンサーの
意見を聞きながら何度も試作を重ねて仕上げるそうです。

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「回った時の裾の広がりかたなど、ラインが綺麗に見えるように
変更を重ねていくので、仕上がりは初めのデザイン画とはかなり違ったものになります。
女性アンサンブルは人数が多いし、衣装替えもかなりあるので縫製が大変。
私ひとりで間に合わない時は役者や保護者の方にも手伝ってもらって
なんとか公演に間に合わています(笑)」

ちなみに菜々美さん、ダンサーや役者も兼ねていて
今回の公演では主人公百十踏揚の侍女、思戸(ウミトゥ)役として夜の部で出演します。

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悲劇の王女を側で見守り、共に生きてきた思戸。
衣装担当として初めて会った時は小さくて可愛らしい印象だったので、
稽古中の役に入り込んだ厳しい表情と落ち着いた大人の物腰に驚かされました。

そして、組踊から一番の進化を遂げているのは音楽部門。
黒子的な位置づけであまりスポットライトを浴びることはありませんが
生演奏の臨場感はやはり格別です。

『百十〜MOMOTO』では阿麻和利卒業生の音楽ユニット『愛〜カナサ〜』が
テーマソングからBGMまで全ての楽曲を提供しています。
最後に紹介するのは『愛〜カナサ〜』のヴォーカル新城京子さん。

新城 京子 Kyoko Shinjo  ーヴォーカル担当ー

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元々はダンスが好きで沖縄アクターズスクールに所属していた京子さん。
中学1年の時に先輩が出演する阿麻和利の舞台を観に行き、
「アクターズより阿麻和利の舞台に立ちたい!」
と中学2年から阿麻和利のメンバーとなり、卒業後はプロとして音楽活動を
する傍ら後輩指導や楽曲提供、時には自ら歌うなど舞台と関わり続けています。

「テーマソングの『月照らす涙星』は私が作詞・作曲しました。
阿麻和利は勇ましくポジティブですが、
百十は時代の波に翻弄される女性の哀しいお話です。
でも、すべての年代の女性に観ててもらいたいですね。
どんなに辛い事があっても芯を曲げずに強く生きる姿や
子どもを手放す辛さなど、自分の人生と重ね合わせて共感したり、
現代では考えられない結末に『どうして?』と考えさせられたりと、
たくさん感じることがあると思います」

現在は『肝高の阿麻和利』『百十 〜MOMOTO』以外にも、
多くの演目が生まれ現代版組踊は沖縄の新しい芸能の1ジャンルとなっていますが
歴史や地域と深く結びつき、先輩から後輩へと受け継ぎ、繰り返し上演される中で
年々ブラッシュアップされていくこの2つの演目は特別な感じがします。

この舞台が全国の箱庭読者の皆さまが、独特な進化を続けている沖縄の芸能や
あまり知られていない沖縄の歴史に触れるきっかけのひとつになったいいなと思います。

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    現代版組踊「肝高の阿麻和利」「百十〜MOMOTO〜」

    開催日時:2015年11月21日(土)・22日(日)「肝高の阿麻和利」
         21日【第一回】13:00開演 【第二回】18:00開演
         22日【第一回】12:00開演 【第二回】17:00開演
         2015年11月23日(月・祝)「百十〜MOMOTO」
         【第一回】15:00開演 【第二回】19:00開演
    開催場所:きむたかホール(沖縄県うるま市勝連平安名3071)
    料  金:R席 2,800円 大人2,500円 高校生以下2,000円(全席指定)
    お問合せ:TAO FACTORY 098-983-0144

◇参照サイト
肝高の阿麻和利 http://www.amawari.com/
肝高の阿麻和利11月公演CM https://www.youtube.com/watch?v=WOFvvUjHDBs
百十踏揚 http://momoto.okinawa/
百十〜MOMOTO Twitter https://twitter.com/momototao
TAO FACTORY http://www.tao-factory.com/

◆箱庭キュレーター
haconiwa-makino.jpg 牧野裕子| MOSAICKAFE
沖縄在住のカメライター。
ときどき編集、ときどきデザインもします。
最近バイクを購入して、暇を見つけてひとりツーリングに出かけています。
誰か一緒に走ってください。