by 箱庭キュレーター
シンプルだけど、平凡じゃない。
着る人のライフスタイルに寄り添う「中村洋装」の服
こんにちは!MOSAICKAFEです。
気がつけばもう12月。東京はもうすっかり冬のようですが、沖縄も少しずつ冬の装いになってきました。
この冬は新しい上着が欲しいなと思いつつもピンと来るものを見つけられずにいたのですが、
友人がすてきなお店を教えてくれました。
その名は「中村洋装」さん。なんとも渋い店名ですが、沖縄県北中城村の
小さなアトリエで服を製作し、展示販売するギャラリーショップです。
ビルの5Fなので入るのにちょっと勇気が要りますが、もちろん見ていくだけでも大丈夫。
きさくな3人の職人さんが迎えてくれます。真ん中が代表の中村卓矢さん。
左が奥様のめぐ美さん、右が期待の若手職人、島袋将さん。
職人さん自ら淹れてくれたコーヒーを飲みながらおしゃべりしたり、
服を見たり、景色を見たりと贅沢な時間。
なんだかここに来られただけで、嬉しくなっちゃいます。
窓からは海が見えます。
この日は残念ながら曇り空でしたが、水平線に久高島がうっすら浮かんで見えました。
ギャラリーに展示されている服は定番ものが中心で、あまり多くはありません。
でもここで買える服の選択肢は仕事着からウエディングドレスまで無限大。
展示されている服はそのまま買っていくことはもちろん、
素材変更やサイズ調整などリクエストすることが出来できます。
何回かのお付き合いの中で、お客さまのライフスタイルが見えて来ると
「ジャケットが欲しい」「ワンピース作って」など丸投げオーダーされることもあるのだそう。
「先日作ったジャケットは、ハーレー乗りのお客さんからのオーダーで。ハーレーのライディングフォームはジャケットの裏地が破れやすいので、だったら初めから破ってしまえと背中にファスナーをつけました。バイクに乗るときにファスナーを開けて走ったら動きが楽だし気持ちいいかなと思って」
背中が開くとは斬新!と思いきや
これは以前、車椅子のお客さまに提案したアイデアが元になっているとのこと。
「『1人で脱ぎ着ができないので、ヘルパーさんが着せやすいように肩幅が大きなものを』というオーダーがあったのですが、元々小柄な人なのに肩幅だけ大きな服なんて格好悪いでしょ。それで左右別々に作って合わせるのはどうかと作ってみたんです。ヘルパーさんも『こんなに着せ易いの初めて』って驚いていました。体が不自由な人が使い易いものなら健常者だって普通に使い易いもの。ユニバーサルデザインみたいなものですね」
気になる服を手に取ると、中村さんの口から次々に服にまつわるエピソードが
溢れ出てきます。
「タミコさんの反物から生まれたブルーズ」とか、
「1968年オカンがお洒落だった時代のクローゼットにあったコート」とか、
ひとつひとつにストーリーがあり、聞いているだけで何だかワクワク。
お客さんがお客さんを呼び、リピーターになっていくのがわかります。
50年以上も前に織られた芭蕉布のブルーズ、かっこいい!タミコさんもかっこいい!
こちらタブリエは、舞踊教室をやっている先生からのオーダーで生まれたもの。
ジーファー(かんざし)やメイク道具など、仕事道具を入れられるよう、
ポケットがたくさんついています。ポケットの数や位置、長さや素材などもリクエスト可能。
布を足して巻きスカートの様にもできるのだそう。
そしてこちらは1930年頃のナースウエアを再現したワークドレス。
同素材のエプロンが付いていて、胸元のボタンで着脱可能。
ちなみにエプロンは汚れ易いので3枚あるのだそう。
夫婦で飲食店をやっていて、制服と言っても良いほど頻繁に着ているお気に入りですが
「縫製が丁寧でほつれたりしないし、すごく丈夫!」とのこと。
椅子と同素材のポケットがついたトラウザーズを「かわいー!」と手に取り、
タグの“色”の欄を見てふふっと笑ってしまいました。
「大人のコーヒー 甘あま」
ほう、他のはどうだろう?
「以前買いそびれたシャツの青」
ブルーズとは、ショップコートとも呼ばれるゆったりした薄手のコート。
中村洋装さんの定番商品です。
フランスのパン屋さんが愛用していた作業着をイメージしていて、
作業中に間違って落とすことがないよう、胸ポケットは内側についています。
素材によって、シルエットも変化。着てみるとまた印象が変わります。
右のブルーズはデニムやコーデュロイなど、異種素材を組み合わせたもので
同じ組み合わせは2度と出来ないのだそう。
ギャラリーに隣接するアトリエは、緑に囲まれたこんな気持ちの良い空間。
ここから、たくさんの服が生まれているんですね。
オーダーメイドってすごくお高いのかと思っていたんですが、意外にも手を出しやすい価格なので
実は私もブルーズを一着お願いしてしまいました。
年に数回、このギャラリーが空っぽになってしまうことがあります。
トランクに全て詰め込み、下北沢や仙台のギャラリーで展示販売をするのです。
いつかサーカスみたいに全国を巡るのが中村さんの夢。
しかしトランクショーの度にギャラリーが空っぽになってしまうのが、
悩ましいところですね。
中村洋装
住所:沖縄県中頭郡北中城村島袋1932番地
電話:098-930-2277
営業時間:13:00 〜20:00(日曜 のみ 〜18:00)
定休日:水曜日
駐車場:あり
クレジットカード:利用可
◆参照サイト
http://www.nakamurayoso.com/
https://www.facebook.com/yoso.nakamura
https://www.instagram.com/nakamurayoso/
◆箱庭キュレーター
牧野裕子| MOSAICKAFE
沖縄在住のカメライター。
ときどき編集、ときどきデザインもします。
最近バイクを購入して、暇を見つけてひとりツーリングに出かけています。
誰か一緒に走ってください。