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    箱庭4周年を記念して、「イラストレーター」「フォトグラファー」「デザイナー」「作家・アーティスト」の4つのジャンル×4人=16人のクリエイターの皆さんに、仕事についてお話を伺うスペシャルインタビュー。
    自分たちの仕事と真剣に向き合い、何かを生み出し続けている16名のクリエイターのお話には、仕事に対する姿勢や意識など参考にしたいヒントがたくさんあります。同じクリエイターとして仕事をしている方やクリエイターを志している方はもちろん、クリエイター職ではない方々にも、じっくりとお読みいただけましたら箱庭一同嬉しく思います。私たちがインタビューを通じて感じた、「私も頑張ろう!」という励みをみなさんも感じてくれることを願っています。

今回のインタビューは、イラストレーターの林青那さんです。
林さんは2014年、HB FILE COMPETITION vol.24で大賞を受賞。それをきっかけに、書籍の装画や商品イラストなどを手がける、今、注目の若手イラストレーターです。
今回の企画でお話を聞かせていただくイラストレーターさんを探していく中、箱庭編集部で「この人、気に
なっていたの!」と名前が多く挙がったのが、林さんでした。モノクロで描かれている林さんの作品は、一見ほっこりとして見えるのですが、力強さも感じさせてくれます。実際にお会いした林さんは意思の強そうなかわいらしい雰囲気の方で、作風にその人柄がよく表れているという印象を受けました。好きだと思えるものを信じて続けていく思いや、納得がいくものをストイックに追求される姿勢は、ものづくりに携わる上ではとても大切なことだなと改めて考えさせられました。

<林さんの作品>

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「スパゲッティ」

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「卓上の果物と花瓶」

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「ロールペーパー」

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「横たわる瓶」

イラストレーター林青那さんに聞く「イラストレーター」の仕事とは。

Q. 「イラストレーター」になろうと思った理由を教えてください。
物心がついた頃から絵を描くことが好きで、今ふり返ってみると、小学生の時の夢がまさに「イラストレータ
ー」だったんです。いつも黙々と絵ばかり描いているような子どもで、絵が習いたいと親に頼んで、小学2年頃から絵のアトリエに通わせてもらっていました。
高校も美術科のある学校に入って、専門学校に進んで…、他に取り柄もなかったので、進路は自然と美術系へ進みました。小さい頃はたしかに「イラストレーター」になりたいと思っていましたが、現実的なことも踏まえて、専門学校卒業後はデザイン会社に就職をしようと考えていました。けれど、ちょうど卒業前後に体調を崩して就職のタイミングを逃してしまったんです。じっくり自分を見つめ直す機会などもあって、そんな中でも絵はずっと描き続けていました。就職を考えた時期もありましたが、朝の満員電車に乗るのも嫌だったし、絵を描いてそれが仕事になれば一番いいなと。「イラストレーター」になりたいと意識したわけではなく、ずっと描き続けていたら、自然の流れでイラストレーターの仕事をしていたという感じですかね。
でも、未だに「イラストレーター」という肩書きはあまりしっくりきていません。「画家」というのも大袈裟な気もするし、他にどう名乗ったら良いかわからなくて。

Q. 「イラストレーター」になるために、どのような行動や心がけをしましたか?
専門学校を卒業後、絵を描くことを仕事にしていこうと決めたものの、最初の頃は当然ながら「イラストレーター」としての仕事は全くと言っていいほどなくて…。雑貨店や美術書店などでアルバイトをしながら、ひたすら絵を描きためるような毎日を送っていました。描いた絵は時々ブログやタンブラーなどにアップするようにしていましたね。それを見てくれた方からお仕事の依頼をいただいたこともありました。
ずっと絵は描き続けていたんですが、実はコンペがすごく苦手で…。私は淡々と静物を描いているだけだし、とにかく自信がなかったんです。ひとつの作品で勝負するコンペというのは、ストーリー性や世界感がないと評価されるのはなかなか難しいのではないかと思っていて、そういったコンペとなると変に身構えてしまい、納得のいく作品がつくれなくて避けていたようなところもありました。自信のなさから、売り込みや営業みたいなことも、正直あまりしていませんでした。HB FILE COMPETITION というコンペで大賞をいただいたことがきっかけで、少しずつですが「イラストレーター」としてお仕事をいただけるようになったのですが、そのコンペも実はたまたま出したような感じなんです。イラストレーターの登竜門的なコンペでしたし、「一次でも通ればいいな」くらいの感覚で。HB FILE COMPETITIONは文字どおり20点程の作品をファイルにして提出するというコンペなんですが、作品を連作として見てもらえるコンペだから挑戦できたんだと思います。

Q. 現在はどのような仕事(案件)を中心に活動していますか?
HB FILE COMPETITIONで賞をいただいた後から少しずついろいろなところから声をかけていただけるようになって、少し前までは書籍の装画や挿絵などが主でした。最近はプロダクトよりのお仕事の依頼もいただくようになりました。包装紙やテキスタイルの図柄などを描くといった、デザインまでを含めてのお仕事をいただくこともあります。

Q. 仕事で楽しいと感じる時、辛いと感じる時はそれぞれどんな時ですか?
私の場合、自分の作風を認めてくださった上で、自由に任せてもらえると楽しいですね。先ほどもお話しましたが、デザインなども含めて依頼していただけるお仕事が一番楽しいです。イラストレーションって、商業用の絵だと思うんです。正直な話、自分らしくない絵を求められることもあります。クライアントの求めるものと、自分のタッチをどうすり合わせれば良いか悩むことは多いです。あまりに違うと、私でなくてもいいのではないかと落ち込んだりします。でも、その工程を乗り越えた時に新しい扉が開けることもあります。そんなふうにまた違った一面を引き出していただくこともあるので、ありがたいですね。毎回勉強です。
あと、「イラストレーター」は、挿絵を描くといったお仕事が多いと思うんですが、特に書籍の場合は内容を理解しないといけない。難しい内容のものは特に飲み込むまで時間がかかります。わたしは活字を読むのが苦手なので、原稿を読み込む作業というのは少し苦しいかもしれないですね。

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(展示会場でのインタビュー。こんなフレームに入ったシルクスクリーンも素敵でした。)

Q. オリジナリティを確立するために、心がけてきたことなど教えてください。
今、わりと優しいタッチのイラストレーションが多いと思うのですが、私はなるべく可愛くなりすぎないようには心がけています。個人的には戦後の20世紀美術や、モダニズム、民芸などへの憧れが強くて。そういった理由もあって、ある種の強さや重さのある絵が描きたいと思っています。モノクロームの作風も、そのあたりの影響が強いですね。
今のようなモチーフを描くスタイルに行き着いたのは、もともと日用品や民芸品などが好きで、静物を描くことが多かったからでしょうか。とにかく身の回りにあるものを描き続けていた結果が、今の作風につながったのかな、と。古書が好きで本をモチーフにした作品もよく描きます。作品の中にはガラス瓶や花瓶なども多いのですが、そういったものは古書店で買った古い海外のカタログや雑誌、写真集などを参考にすることも多いです。
私の作品は主にインクと鉛筆で描いているのですが、先にインクで形となる背景部分を描いて、最後に鉛筆やインクなどでディテールを描いていくんです。ディテールというか、自分としてはそのモチーフがもつ空気を描くような感覚です。下書きをせずほとんど一発で描くので、納得がいかないとひとつの絵を完成させるのに100枚ほど描くこともあります。夢中で描いているので、気がついたら夜で、部屋が真っ暗だったということも時々あります。

Q. 今後、挑戦してみたい事ややってみたい事を教えてください。
仕事のイラストレーションとは離れますが、これからはイラストレーションという枠にとらわれず、表現という大きな枠の中でいろいろと制作して行きたいです。好きな書道家がいるのですが、最近作品を生で見る機会があって、それに圧倒されてしまい、私も大きな筆で大きな作品を描いてみたくなりました。インクや墨に限らず、色々な画材で制作していきたいと思っています。
イラストレーションに限った話をすると、モノクロに限らず、デザインにまつわるものなどに、もっとたくさん
関わりたいなと思います。広告や雑誌の表紙など、顔になるようなお仕事もいただける日が来ると嬉しいです。

Q. 最後に、これから「イラストレーター」を目指す方にメッセージをいただけますか。
私もまだまだ未熟な身ですが、やっぱり描き続けて、人に見てもらうことが大事なんじゃないかなと。ブログやタンブラーなどで発信もしていましたが、私は全然仕事がない時、すでに「イラストレーター」として活躍されている方や専門学校時代の先生などに時々作品を見てもらいました。ひとりで作品をつくり続けていると、迷いが生まれてくることがあると思うんです。そんな時に「これでいいのか、どう感じるか」とアドバイスをもらうことで、励まされたり、気づかされたりすると思います。もちろん、批判されることもあるし、その意見が正しいとは限りませんが。でも、そういったことを繰り返していくことで、自分の作風が固まっていったり、自信が持てたりすると思います。

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    林青那|イラストレーター
    桑沢デザイン研究所卒業。書籍、雑誌、商品などのイラストを中心に活躍中の若手のイラストレーター。文房具、本、食器、洋服などといった日用品をモノクロームで描く、大胆でシンプルな作風が人気。2014年、HB FILE COMPETITION vol.24大賞(鈴木成一賞)受賞。
    Webサイト: http://www.aonahayashi.com

    ◆林青那さんの最新情報
    林 青那 個展「紙と図」
    2016.5.21(土)~6.6(月) 12:00~20:00(火曜休)
    ON READING
    〒464-0807 名古屋市千種区東山通5-19 カメダビル2A
    website http://onreading.jp
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    TEL 052-789-0855
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文:福田彩

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