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こんにちは!箱庭編集部みのりです。
今回ご紹介するのは、スプーン作家 宮薗なつみさんのmiyazono spoonです。
私とmiyazono spoonの出会いは、先月開催された民藝店。出会ってすぐに彼女が作る木のスプーンの魅力にハマり、鎌倉で個展が開催されると聞き、すぐにお邪魔するほど。それほど素敵なスプーンなんです。
箱庭読者のみなさんにも、miyazono spoonの魅力を知ってもらいたく、今日は個展で聞くことができた、宮薗なつみさんのお話までたっぷりとお伝えしたいと思います。

まずは、10月14日(土)まで開催中の、個展の様子からお伝えします〜!

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個展の会場は、鎌倉駅から歩いて3分ほどの場所にある雑貨屋moln。海外から買い付けた食器や雑貨、シンプルだけどセンスの光るアクセサリーや洋服が並んでいます。実は前から気になっていた雑貨屋さんでしたが、想像以上に素敵なお店でした。鎌倉に足を運んだ際にはぜひ訪れてもらいたいです!
そんな店内の一角で、miyazono spoon for Autumn 〜金木犀と星月夜〜の展示を行っています。

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なんと、今回の展示のために制作された81本のスプーンは2日間で飛ぶように売れ、私が訪問した時にはなんと残り10本に・・!(※10/12現在、全て完売したとのこと!)そのため展示スぺースも縮小されていましたが、数本のスプーンを手に取ってじっくり比べるには、ちょうどいいかもしれません。最終日の14日には数本追加される予定とのことなので、諦めずに足を運んでみてくださいね。

プリンや、モンブランのために作られたスプーン?!食べ物を美味しく味わうためのスプーンがたくさん!

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壁に飾られているのは、プリンを食べるために作られた新作スプーンmiyazono spoon for pudding。最後のカラメルソースまでしっかり掬えるという麗しいフォルムをよくよく眺めてみると、プリンのような可愛らしい形をしています。
こちらのスプーンは、10/14に開催予定の《秋のお茶会》〜miyazono spoonでいただくかぼちゃプリン〜参加者のための限定スプーンです。残り数席空きがあるとのことなので、参加希望の方は今すぐmolnまで連絡してみてください!

プリンのためのスプーン?と思ったそこのあなた。そうなんです。miyazono spoonでは、他にも食べ物を美味しく味わうためのスプーンを色々と作っているんです。

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こちらはmiyazono spoon for Mont Blancという名の通り、「モンブランの上から下まで全部を食べたい」という思いから作られたスプーンなんです!ティラミスや羊羹、コンビニのカップスイーツを食べたり、ジャムやバターを綺麗に塗るのにもおすすめなんだとか。私が訪問している間に、茶匙用に購入されたお客さんもいらっしゃいました。

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miyazono spoon for babyは、赤ちゃん用の13cmの小さなスプーン。「小さい頃から手仕事のものを。少しずつ手に馴染んで、大切に使って、大きくなっても使えますように。」という願いを込めて作られた、赤ちゃんと一緒に育っていくベビースプーンです。出産祝いに人気だそうですよ〜!

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他にも、スープのためのなめらかな口当たりが特徴のfor soup、カレーやシチュー、丼など幅広く使えるfor dinerなど、他では見かけることのできない“◯〇のためのスプーン”が並んでいました。

でも、どうしてfor〇〇のスープンを作り始めたの?他のカトラリーは作っていないの?そもそもスプーン作家になったきっかけは?・・など、気になることばかり。ここからは、宮薗さんへのインタビューです。

偶然観たドキュメンタリー番組、そして手探りで作ったスプーンが原点。

—宮薗さんがはじめてスプーンを作ったのはいつだったのか教えてください。

宮薗さん(以下、敬称略):大学生だった19歳の時に、計量スプーンを作りました。先輩から木材を譲ってもらって、本当にたまたまです。誰にも教わらずに、遺跡を発掘するような感じで、角材から削り出しました。

—それは大変そうですね・・!

宮薗:今ではその作り方は絶対にしないです(笑)。しかも、実際に使おうと思って作ったのですが、全然使い物にならなくて。その時全部で4本作って、最後の一本は力尽きて彫りかけのまま取ってあるのですが、自分の中で大事にしたい軌跡です。


初めて作ったスプーン。彫りかけのスプーンも、WEBサイトで観ることができます。

—大学ではものづくりを学んでいたんですか?

宮薗:大学は茨城大学の教育学部情報文化課程・生活デザインコースに通っていました。デザイン、建築、工芸などを幅広く学ぶのですが、なぜか木工の授業が必須でした。

—進学のきっかけは?

宮薗:浪人時代にテレビで伝統工芸のドキュメンタリーを偶然観たことです。京都の菓子型職人の後継者がおらず、このままだと途絶えてしまうという内容です。かっこいいと思ったのと同時に、なんだか悔しくて、終わってしまうなんてもったいない。私にもできるなら弟子入りしたい、と思いました。大学落ちたら修行にでる!と両親を説得しましたが、大学へ進学することになりました。

—弟子入りはしなかったものの、その番組がものづくりに興味を持ったきっかけだったんですね。

宮薗:そうですね。ただ、大学卒業後は商社でOLをしていました。入社して3年後くらいに過労で身体を壊したことがあったんですが、その時にやりたいことをやらなくちゃと思ったんですね。それでものづくりをしようと思って、材料を持っていたので、スプーンやバターナイフなどの小物を作って友人にプレゼントしたりするようになりました。

—それで木工を再開したんですね。そこからmiyazono spoonを立ち上げるまでの経緯は?

宮薗:その頃、たまたま先輩からグループ展の誘いをもらって、手元にあったのがスプーンを作る材料くらいだったので、スプーンを作ることにしました。働きながら15本のスプーンを制作し、miyazono spoonと名付けて出展したのがはじまりです。その後3年くらい、働きながら夜な夜なスプーンを作る生活が続きました。

—最初は仕事の合間に作っていたんですね。

宮薗:はい。途中、木工の技術を磨くために、家具屋さんの木工塾に通っていた時期がありました。家具作りはまず木材をまっすぐ切らなければいけないのですが、私は何度やってもどうしてもまっすぐ切れなくて。向いてなかったんですね(笑)。師匠からは、スプーンがあるからいいじゃん!と言わました。その後、師匠のワークショップやイベントの手伝いをさせてもらうようになって、スプーン制作も続けているうちにものづくりに関わる時間の比重がどんどん大きくなってきて、独立を考えるようになりました。この時29歳でした。

—30代目前ですね。

宮薗:はい。実際はものづくりだけでは食べていけないかもしれないけど、30代前半なら取返しが付くと思って、30歳になる年の3月に仕事を辞めました。師匠に掛けてもらった「大丈夫だよ」「何とかなるよ」という言葉に後押しされましたね。

—不安はそんなになかったんですか?

宮薗:いや、めちゃくちゃ不安でしたよ!!!実は、今でも展示会の前は毎回不安になります。

—こんなに売れてもですか?!

宮薗:はい。新作を発表する時も、お客さんに受け入れてもらえるかなって毎回不安になります。

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“誰もが使いやすい究極の一本”から、その人に合ったスプーン、そして現在へ。

—実際にそのようなことがあったんですか?

宮薗:実は、当初は“誰もが使いやすい究極の一本”を目指して制作していたんですが、自分の中でこれは持ちやすいと思ったスプーンを展示したところ、お客さんに「持ちにくい」と言われたことがありました。その時に、人によってスプーンの持ち方が違うので、誰の手にも合う究極の一本は存在しないことに気付かされましたね。このことがきっかけでスプーン制作への向き合い方が変わり、それからその人に合ったオーダースプーンを作るようになりましたね。

—今はオーダースプーンはお休みされていますよね?

宮薗:はい。制作が追い付かなくなってしまったことと、やっぱりスプーン食器なので食べ物との親和性が高いと思って、ここ最近は“食べ物をより美味しく食べることができるスプーン”を目指して、for 〇〇シリーズを作っています。

—for 〇〇シリーズの制作のきっかけは何だったんですか?

宮薗:食べることがもともと大好きなんです(笑)。あと、母親が料理教室の先生なんですが、料理に合わせて陶芸で器を作る様子を小さい頃から見てきました。食べ物を美味しく食べるための工夫、という点では今のスプーン制作にも繋がっていると思います。

—お母様の影響は大きそうですね。実際に、お客さんの反応はどうでしたか?

宮薗:実際に「食べやすい」と言ってもらえることが多くて、嬉しいですね。アイディアを形にする過程はとても大変なんですが、こうしたら食べやすくなるはず、という自分の考えとお客さんの感想が一致して、共有できる瞬間が楽しいです。食べ物の数だけスプーンの数があると思うので、今後も新しいものに挑戦していきたいですね。

木と漆の魅力を伝えたい。そのための工夫とは?

—ところで、木のスプーン以外に、フォークや他のカトラリーは制作したことはないんですか?

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for sweetsシリーズ。2トーンで仕上げることによって、木の種類による個性が分かりやすくなっている。

宮薗:作ることはできるんですが、結論、フォークは木じゃなくてもいいと思っています(笑)。フォークは食べ物を刺したり切るための道具なので、スプーンとは用途や作り方が全く異なります。それに、木のカトラリーを作る時には木目を気にしなくてはいけないのですが、フォークの場合はそれが難しくて、金属や竹など他にもっと適した素材があると思っています。木のスプーンを作り続けているのは、木と漆の魅力を伝えたいからですね。漆というと高価だったり、和のイメージが強いと思いますが、イギリスのアンティークや洋食器のようなスプーンを木で作りたいという想いが強いです。スプーンの一部だけに漆を塗って2トーンにしているのは、漆の良さと木そのものの魅力を伝えるためです。木の種類による違いも分かりやすくしています。

—漆を塗ると、別物のようになりますね。箱庭読者にはものづくりが好きな方が多いのですが、スプーンの作り方についても教えてください。

宮薗:まず、スプーンの上・横からの図に沿って、電動糸鋸で木材を切り落とします。スプーンの掬う部分は彫刻刀で、周りは小刀で削ります。やすりは4種類使っています。180番、240番、320番、400番の順で磨いていきます。仕上げに、漆またはくるみオイルで仕上げて完成です。1日に3~5本、一か月に約100本のスプーンを作っています。


制作時に出る音を繋いで作った、miyazono spoon music。楽しく制作過程を知ることができる。

—全ての過程を一人で月100本はすごい量ですが、宮薗さんが仕事をする上で大切にしていることはありますか?

宮薗:自分が楽しみながら、心地のいい状態で仕事をすることですね!そのために上手くリフレッシュをするようにしています。私の場合、苦しみながら作ったスプーンは薄くすり減ってしまいがちです。少し前に引越しをして、今はとてもいい環境で制作できているので、今回の展示用のスプーン(81本)はロスなしで制作できました!

—それはすごいですね。私も記事に反映しないように気を付けます・・!
最後に、どんな人にどういう風にスプーンを使ってもらいたいか教えてください。

宮薗:スプーンを持った時に、用途が思い浮かんだ人に使ってもらいたいです。そのため、迷っているお客さんには「何を食べてみたいですか?」とよく聴くようにしています。「このスプーンで◯◯を食べたいです!」と聴くと安心しますね。使用せずに飾られるお客さんもいらっしゃいますが、日用品として長く使ってもらいたいです。そのために、無償でメンテナンスもします!

—それは嬉しい!

宮薗:状態をみて、大体のことは直しますよ。私が生きている間は!(笑)

宮薗さん、ありがとうごさいました!

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個展は今週末の10月14日(土)まで開催中です。miyazono spoonを実際に手に取ってみたい方、宮薗さんにお話を伺ってみたい方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
また、来月には東京・等々力の雑貨屋「巣巣」で個展miyazono spoon for your dishを開催予定。展示販売にライブにワークショップに、盛りだくさんのイベントなので、こちらも要チェックです!

    miyazono spoon for Autumn 〜金木犀と星月夜〜

    開催日:2017年10月7日(土)〜10月14日(土)
    開催時間:11:00〜18:00
    開催場所:moln
    神奈川県鎌倉市御成町13-32 2F
    WEBサイト:http://cloud-moln.petit.cc/

    《秋のお茶会》〜miyazono spoonでいただくかぼちゃプリン〜
    開催日:2017年10月14日(土)
    ①11:00〜 ②13:00~ ③15:00~
    定員:各回4名様
    参加費:4,500円(プリンスプーン+かぼちゃプリン+drink付)
    ※ご予約はmolnまで

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    miyazono spoon

    WEBサイト:http://miyazonospoon.jp/new/top.html

    miyazono spoon for your dish
    開催日:2017年11月23日(木・祝)〜11月26日(日)
    開催時間:10:30〜18:30
    開催場所:巣巣
    東京都世田谷区等々力8-11-3
    期間中、ライブとワークショップを予定しております。
    WEBサイト:http://www.susu.co.jp/news/p1293.html