猪熊弦一郎展 猫たち
こんにちは、シオリです。
本日ご紹介するのは、「Bunkamura ザ・ミュージアム」で2018年3月 20日(火)から 4月18日(水)まで開催中の展覧会、「猪熊弦一郎展 猫たち」です。

猫が大好きな方にとっては、その展覧会タイトルから心惹かれてしまう方も多いかと思います。猪熊弦一郎(いのくま・げんいちろう)(1902-1993年)は、昭和という時代の中で常に独自の境地を維持し、極めて個性的な作品群を残した画家。「いちどに1ダースの猫を飼っていた」ほどの無類の猫好きとして知られ、たくさんの猫モチーフの作品を残している他、私生活でも猫は重要な存在として共に暮らしていたそうです。

香川県で開催された話題の展覧会が東京へ!

猫を愛した芸術家であった猪熊氏は、地元・香川県では親しみをこめて「いのくまさん」と呼ばれているんだとか。そんな地元に在り、猪熊氏ご本人が創立に携わった丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。2015年に開催された「猫達」展は、絵画ファンのみならず、全国の猫好きの人々が訪れて話題となりました。その展覧会が、今回パワーアップして東京にやってきたのです。

猪熊弦一郎展 猫たち

猪熊弦一郎《猫と食卓》1952年 油彩・カンヴァス 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵


猫がいる場面が描かれた作品は、猫への愛情がにじみ出ているものばかり。こちらの「猫と食卓」という作品では、たくさんの猫がテーブルの上に乗っかっている様子が描かれています。これは、昭和の時代にはなかなか見られないような光景だそうで、猪熊氏がどれだけ“猫”中心の暮らしをしていたのか、ということが伺えます。

猪熊弦一郎の奥深い世界に触れるきっかけに。

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本展は、猪熊氏がたくさんの猫に囲まれた暮らしのなかで、猫をモチーフとして捉え、その時々の創作を表現してきたことが分かる内容となっています。戦前にマティスと交流していた頃の作品は、まさに影響を受けていることが見て取れます。

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「モニュメンタルな猫」と題された章では、丸や四角、三角など、より抽象化された人物や猫が登場してきた1950年代を過ぎたあたりの作品が並んでいました。

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存在や本質を表現するよりも、形を極限まで単純化し、分割したり色を変えたりして視覚的に美しい絵を作ることに重きを置いていた、当時の猪熊氏の創作性を感じることが出来ます。

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戦後は、およそ20年間ニューヨークを拠点に活躍した猪熊弦一郎。当初パリへ行く予定だったところ、その前に立ち寄ったニューヨークの街に衝撃をうけ、パリ行きをキャンセルしてニューヨークへ住むことを選んだそう。それだけの衝撃を受けた街で取り組んだのは、抽象画でした。この時期の作品には猫が登場することはなく、それまで猫をモチーフとして抽象化に取り組むも、愛情が深すぎることで達成できなかったということが分かるのです。

猪熊弦一郎展 猫たち

猪熊弦一郎《葬儀の日》 1988年 水彩・紙 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵


そうして、しばらく作品に猫を描いていなかった猪熊氏でしたが、日常のスケッチではたくさんの猫を残していました。こちらは、奥様である文子さんが亡くなり、お葬式から帰った日に描いたという作品。遺影のような文子さんが中央にいて、その周りにはたくさんの猫たちがいます。

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その他にも、特別な想いを持って描かれた猫たちが並ぶ「猫のコンポジション」。この章が、この展覧会の最後を飾っていますが、猫が描かれていない作品を鑑賞した後に、沢山の猫たちが並んだ様子は改めて圧巻だなと感じる空間になっていました。

昭和の百花繚乱の画壇で極めて個性的な作品群を残した猪熊弦一郎。猫以外の主題の作品も加えた本展は、猪熊氏の奥深い芸術世界に触れるきっかけになります。ぜひ、春のお出かけに足を運んでみてはいかがでしょうか?

    猪熊弦一郎展 猫たち

    開催期間:2018年3月20日(火)~4月18日(水) ※会期中無休
    開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
    毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
    会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
    〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
    入館料:一般 1,300円、大学・高校生 900円、中学・小学生 600円
    http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_inokuma/