ジャパニーズ・チップ

こんにちは、箱庭キュレーターのカナコです。
飲食店などでよく見かける割り箸袋。お箸を外したあと、手にとって折りたたんだり箸置きを作ったりしたことはありませんか?

そんな箸袋の造作物に注目し、日本全国から収集したものを壁一面に展示する「ジャパニーズ・チップ展 テーブルのうえで見つけたいろんな形」が現在東京の2会場(ジュンク堂池袋本店、荻窪タイトル)で開催中。これは行くしかない!ということで、今回ジュンク堂池袋本店の方へ遊びに行ってきました。

会場で蒐集家・辰巳雄基さんにお話を伺うこともできたので、今日はその様子をレポートしたいと思います!

「ジャパニーズ・チップ」とは?

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欧米などで、サービスへの心付けとして渡す「チップ」。日本にチップの文化はありませんが、飲食店で時々テーブルの上に残される色々な形の箸袋を「ありがとうのしるし」として日本人なりのチップと捉えることができないだろうか、と蒐集家・辰巳雄基さんは箸袋の造形物を「ジャパニーズ・チップ」と名付けました。

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そんな「ジャパニーズ・チップ」は、これ本当に箸袋からできたの?!と思ってしまうほどすごい作品がたくさん!8月に発売となった辰巳さんの著書『箸袋でジャパニーズ・チップ! テーブルのうえで見つけたいろんな形』には、個性溢れる箸袋がカテゴリーごとに紹介されています。
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学生時代の居酒屋でのアルバイトをきっかけに、お客さんが残していく箸袋を集め始めた辰巳さん。その後約一年をかけて日本中を周り、今では1万5000もの造形物を収集されたそう。そのコレクションは保管が大変なほどだそうで、「こうして展示を開催している方がいいですね」とおっしゃっていました。

様々な形の箸袋が壁一面に並ぶ様子は、圧巻!

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会場には、1人では決して生み出せない個性豊かな「ジャパニーズチップ」がずらりと並んでいます。この光景は圧巻です!

ジャパニーズ・チップ
最初はずらっと並んでいることに圧倒されますが、その後は一つ一つじっくり観るのが面白くなってきます。自分では出来ない!と思うようなすごい作品や、これなら作れそう!といった親しみやすい形など、さまざま。

「自分では作れない、人の知恵の塊です」と語る辰巳さん。親子で作ったのかな、この時間暇だったんだろうな、と1つ1つの箸袋から、作り手の物語を想像できるのも面白いところだそうです。
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箸袋の展示方法はグリッドに並べるという特徴的なものですが、これは辰巳さんの「1つ1つ大切に扱いたい、標本のように飾りたい」というこだわりによるもの。箸袋がきっちり整列する様子はとてもスタイリッシュで、見る人を惹きつけていました。ちなみに、グリッドの色やサイズは会場に合わせて変えているそう。展示の雰囲気を決める大切な要素になっているんですね!

時代の流れが見えてくる、箸袋の今。

箸袋集めは、気になる箸袋を使っているお店のリサーチから始めるとのこと。地域の方への聞き込みや、雑誌や口コミサイトの写真などからお店を決め、その後お店の方と交渉し、箸袋集めに協力してもらっているのだとか。今では47都道府県で180以上の飲食店との繋がりを持っているそうです。

辰巳さんは、食堂、居酒屋、喫茶店、ファミレスなどあえて客層や滞在時間、ジャンルが異なる飲食店のものを集めているそう。うどん屋さんのようにさっと食べるところでは簡単に作れる「ジャパニーズ・チップ」が、居酒屋など長居するような飲食店では手の込んだ「ジャパニーズ・チップ」が多いという興味深い発見もあったそうです。

今回、特別に全国を周って集めた箸袋のコレクションを見せていただきました。
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辰巳さんに、こうした箸袋が魅力的なポイントは?と伺うと「飲食店の存在や個性が様々なデザインで伝わってくること。」との答えが。
“おてもと”という言葉だけでもいろんな字がありますよね。 
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展示されている中にも、変わった箸袋があると教えてくださいました。こちらは、お店の日記を箸袋にしているのだそう。
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これは、眺めが良いお店のものだそうで、窓から見える山の名前を記すことで、お客さんに眺望を楽しんでもらえるようにしているのだとか。このように“箸の袋”の幅を超えた役割を持ったものがあるのは面白いですね。

しかし近年、出前の減少やエコへの高い関心により、お店独自の割り箸袋を使用する必要性が低くなっているため、その数は段々と減ってきているんだとか。箸袋集めも少しずつ難しくなってきているそうで、「だから箸袋は今なんです」と辰巳さんはおっしゃいます。「時代の流れもあるので、箸袋をなくすなという訳ではないですが、お箸を袋に包んでもてなすという気持ちがあったんだということも伝えられれば」という思いも込めているんだそうです。

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ちなみに、数ある箸袋作品を見てこられた辰巳さんのお気に入りの1つはこちら。くしゃくしゃに折ってねじるというシンプルな操作で箸袋の色味を最大限に生かしたエビ。秀逸すぎます!

日本ならではの文化が浮き出る!海外での反応とは?

世界各国のメディアでも取り上げられている「ジャパニーズ・チップ」。9月には韓国にて初となる海外での展示が開催されていました。海外ではどのような反応があるのでしょうか?

2018年9月に行われた韓国での展示の様子

2018年9月に行われた韓国での展示の様子

「海外の方の反応は、日本の方とちょっと違っていて、そこがまた面白いんです。」と辰巳さん。まず、同じ箸文化圏でも韓国や中国には日本のように様々な種類の箸袋がなく、そもそも箸袋の多様さに驚く人が多いそう。さらに、その造形物の美しさから「本当に食事の時間だけでこれが作れるの?」と半信半疑の方もいたとか。

「箸袋を折る」ことは、日本では日常の範囲内にある出来事ですが、それも「飲食店に行くと様々箸袋に出会うこと」と「折り紙をしたことがある器用な人が多い」という日本人ならではのDNAから生まれた行為。「ジャパニーズ・チップ」は、日本では当たり前の美しい文化や習慣を再発見するきっかけになるのかもしれませんね。

今後もパリでの展示の予定があるなど、さらに世界に広まっていきそうな「ジャパニーズ・チップ」。辰巳さんは、新しい国やエリアの反応が楽しみだと語ります。箸袋が世界に羽ばたいていくのが、私たちも楽しみですね!

展示は、東京と京都で同時開催中。関東の方も関西の方もお見逃しなく〜

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今回の展示は、冒頭でも触れた辰巳さんの著書『箸袋でジャパニーズ・チップ! テーブルのうえで見つけたいろんな形』の 刊行を記念し、開催されています。
東京で2ヶ所、京都で1ヶ所(関西では初の展示!)と3ヶ所で同時開催されているんです。
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私が伺ったジュンク堂池袋本店会場では、「ジャパニーズ・チップ」作りを体験できるコーナーもありましたよ!なんと、作ったものは展示壁の一部に飾ってもらえるそう。皆さん、ぜひチャレンジしてみてください〜。

雰囲気の違う3ヶ所での開催なので、それぞれ異なる表情の展示を楽しめそうです。会場をハシゴするのも面白そう。気になった方は、ぜひ足を運んでゆっくり楽しんでみてくださいね!

    ジャパニーズ・チップ展 テーブルのうえで見つけたいろんな形

    ・ジュンク堂書店池袋本店
    開催日:10月2日(火)〜16日(火)
    開催時間:10:00〜22:00
    開催場所:ジュンク堂書店池袋本店9Fギャラリー
    東京都豊島区南池袋2-15-5
    URL:https://honto.jp/store/detail_1570019_14HB320.html

    ・Title
    開催日:10月4日(木)〜10月21日(日)
    定休日:毎週水曜・第三火曜
    開催時間:12:00~21:00
    開催場所:Title 2Fギャラリー
    東京都杉並区桃井1-5-2
    URL:http://www.title-books.com/event/5063

    ・ホホホ座浄土寺店
    開催日:10月1日(月)〜10月28日(日)
    休廊日:10月10日〜12日、10月19日、10月22日〜27日
    開催時間:11:30~19:00
    開催場所:ホホホ座浄土寺センター
京都市左京区浄土寺馬場町2-7 ホホホ座ねどこ1F 浄土寺センター
    URL:http://hohohoza.com/