新・北斎展

こんにちは、箱庭キュレーターのKIMIです。
今日は、2019年1月17日より六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにて、葛飾北斎(1760〜1849)の約70年にも及ぶ絵師人生を一挙に紹介する大規模展覧会「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」がスタートしたのでご紹介したいと思います。

日本だけでなく世界中で有名な画家の一人といわれる葛飾北斎は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。当時のペンネームとも言える画号を、何度も変えたことでも知られる北斎。本展では、北斎が主に用いた画号と作風の変遷によって6期に分けて数々の作品が紹介されています。

永田コレクション、最後の東京公開!

注目したいのは、今回、北斎研究の第一人者である永田生慈氏(1951〜2018)の2000件を超えるコレクションの中から選ばれた作品を中心に、国内初公開となる貴重な作品や優品、約480件が展示されているというところ(会期中に展示替えあり)。永田氏は、少年時代に北斎に興味を覚えて以来、北斎の研究に没頭し、私財を投じて北斎に関する作品を収集してきました。永田コレクションは出身地の島根県に寄贈されており、この展覧会が東京で展示される最後になるのだとか、とても貴重な機会とも言えます。

新・北斎展

展示は、デビュー期の多彩な作品が並ぶ“春朗期”(20〜35歳頃)からスタートします。絵師としての練習の為に作られた習作の時代と見なされている春朗時代なのですが、到底そうとは思えない完成度の高さに圧倒されました。

新・北斎展(《金太郎と熊》天明年間(1781〜89年)島根県立美術館(永田コレクション) 2月18日(月)まで展示)

こちらの作品《金太郎と熊》では、熊と手をつなぐ金太郎のなんとも言えない初々しさや優しさが伝わってきて、にっこりと微笑ましくなりました。

北斎が描く女性の色っぽさにドキドキ。

新・北斎展(左:《夜鷹図》」寛政8年(1796年)頃 細見美術館・右:《風俗三美人図》寛政10年(1798年)頃 太田記念美術館 ともに2月18日(月)まで展示)

北斎の作品には、たくさん美しい女性の絵が描かれているのですが、写真の作品は、肉筆画や狂歌絵本の挿絵といった新たな分野に意欲的に取り組んだ“宗理期”(36〜46歳頃)の時代のもの。手書き(肉筆画)で描かれているので、目を引きます。写真左の《夜鷹図》(“夜鷹”とは、道端で客をひく遊女のこと)は、顔が見えない後ろ姿がとても色っぽいのです。右の作品と共に、北斎が描く女性の儚げな色気をじっくり観て頂きたいです。

北斎のマルチな才能、遊べる浮世絵がすごい!

新・北斎展(「しん板くミあけとうろふゆやしんミセのづ」文化中期(1807〜12年頃) 島根県立美術館(永田コレクション) 2月18日(月)まで展示)

読本の挿絵に傾注した“葛飾北斎期”(46〜50歳頃)のこの作品、遊べる浮世絵「組上絵」というおもちゃ絵の一種なんです。立派な構えの建物の平面図なのですが、よく見ると脱いだ着物や、手ぬぐいで体を洗う女の人などが描かれていて、これを切り抜いて組み立てれば銭湯の出来上がり。細部まで計算して描くので、相当な力量が必要だったようです。組み立てるのもなかなか難しく、大人向けの商品だったそう。未使用で残っているのは、大変珍しいのだとか。

新・北斎展(「しん板くミあけとうろふゆやしんミセのづ」組み上げ模型)

そしてこちらが、「組上絵」を今回の展示のためにオリジナルで複製し、組み立てた模型。描写が繊細で、臨場感があってかっこいい。実は、ミュージアムショップでも販売しているので、ぜひ実際に組み立てて楽しんでみてほしいです(2,160円税込)。

新・北斎展

とても可愛い北斎の絵柄の壁紙が並ぶスペースには、多彩な絵手本を手掛けた“戴斗期”(51〜60歳頃)の作品が並びます。

新・北斎展(『北斎漫画』文化11年(1814年) 島根県立美術館(永田コレクション) 通期展示 ※頁替えあり)

北斎を象徴する作品の一つと評価される『北斎漫画』は、都市の風俗描写から思いもかけない伝説や宗教界の描写までと、驚くほど多彩な3,900に及ぶスケッチを収めているんですって。作品を観ていると江戸時代に生きた人々の日常生活が垣間見れて、とてもおもしろいんです。

北斎の代表人気作も一挙展示!

新・北斎展(「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」天保初期(1830〜34年)頃 日本浮世絵博物館 2月18日(月)まで展示)

「Great Wave!」と称され、世界的にも有名な「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。錦絵の揃物を多く制作した”為一期”(61〜75歳頃)の時期の作品です。

新・北斎展(「冨嶽三十六景 凱風快晴」天保初期(1830〜34年)頃 島根県立美術館(新庄コレクション) 2月18日(月)まで)

新・北斎展(左:「諸国瀧廻り 美濃ノ国養老の滝」・右:「諸国瀧廻り 木曽海道小野ノ瀑布」天保4年(1833年)頃 島根県立美術館 ともに2月18日(月)まで展示)

最もよく知られる「冨嶽三十六景」や「諸国瀧廻り」などの作品は、1830年代始めのわずか数年間に集中的に制作されたもの。たった数年の間に制作された作品だなんて、ビックリしますよね。

新・北斎展(《黄鳥 長春》天保5年(1834年)頃 島根県立美術館 2月18日(月)まで展示)

今回の展示でとても実感したことは、北斎の関心は、風景画ばかりではなく、多岐にわたるということ。こちらの繊細な色合いとモダンな雰囲気が印象的な「花鳥画」は、乙女心がくすぐられ、観ていてドキッとさせられました。

新・北斎展(左:「百物語 笑ひはんにや」日本浮世絵博物館・真ん中:「百物語 お岩さん」中右コレクション・右:「百物語 こはだ小平二」中右コレクション ともに天保2〜3年(1831〜32年)頃 2月18日(月)まで展示)

一方、ガラッとイメージが変わって、こちらは、おどろおどろしい幽霊の作品。実際に死後の世界に出てきそうなぐらいリアルな幽霊の描写に、こちらも違う意味でドキドキさせられます。

本邦初公開作品も多数展示!

新・北斎展(《鎌倉勝景図巻》寛政5〜6年(1793〜94年) 島根県立美術館(永田コレクション) 通期展示 ※場面替えあり)

新・北斎展(一番右の作品:《向日葵図》弘化4年(1847年) シンシナティ美術館 通期展示)

今回さらに注目したいのは、本展が初公開になる全長約9mの《鎌倉勝景図巻》や自由な発想と表現による肉筆画に専念した“画狂老人卍期”(75〜90歳頃)に北斎が88歳で制作した《向日葵図》。こちらは、ぜひ見逃さずに観覧して頂きたいところですね。

新・北斎展(《隅田川両岸景色図巻》文化2年(1805年)すみだ北斎美術館 2月11日(月・祝)まで展示)

そしての2008年にロンドンのオークションに100年ぶりに登場した《隅田川両岸景色図巻》も特別展示されています。盛りだくさんであまりにも豪華な作品達。期間中に展示内容も変わるので、1度だけでなく、何度も楽しめる内容になっています。

北斎グッズがたまらない!展示会限定の商品も!

新・北斎展(「缶バッジ 猫」540円 税込)

新・北斎展(「チョコ(青)」561円 税込)

会場内には、北斎グッズが多数並んでいました。どれもキュートで、北斎ファンにはたまらないコーナー。展示の壁紙にもあった絵柄がユーモアに使われていて、キュンとなるものばかりです。

新・北斎展(「OMOSHIROI BLOCK 神奈川沖浪裏」8,748円 税込)

これ、実はメモなんですよ。一枚ずつ使う度に立体アートが現れるんですって。使い終わると「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が完成するという優れもの。使うたびにワクワクしますね。

北斎をイメージしたオリジナルメニューが楽しめる!

新・北斎展(Cafe THE SUN「赤富士カレー」1,566円 税込)

同フロアのカフェやラウンジでは、期間限定で北斎オリジナルメニューを堪能できます。目でも舌でも楽しめるなんて、嬉しい限り。

音声ガイドも要チェック!

新・北斎展

北斎の魅力がますますアップし、新しい発見が盛りだくさんの今回の展示。さらに北斎を堪能して頂くためにオススメなのが「音声ガイド」です(貸出料金550円税込)。ナビゲーターとして女優の貫地谷しほりさんと、語り役として講談師の神田松之丞さんが担当。二人の声がスッと頭に入ってきて、臨場感たっぷりに作品の描かれた背景や北斎の言葉などを聞きながら観てまわると、より一層北斎ワールドがアップデートされると思います。ぜひ、合わせてお楽しみください。

    新・北斎展 HOKUSAI UPDATED

    会期:2019年1月17日(木)~3月24日(日) ※会期中、展示替えあり
    会場:森アーツセンターギャラリー
    (東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52階)
    休館日:2019年1月29日(火)、2月19日(火)、2月20日(水)、3月5日(火)
    開館時間:10:00~20:00、火曜日のみ17:00まで(最終入館は閉館の30分前まで)
    入館料:一般 1,600円(1,400円)、高大生 1,300円(1,100円)、小中学生 600円(500円) ※( )内は15名以上の団体料金(添乗員は1名まで無料)
    URL:https://hokusai2019.jp/