CREATOR クリエイティブなヒト
【箱庭4周年スペシャルインタビュー】イラストレーター グレース・リーさん
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箱庭4周年を記念して、「イラストレーター」「フォトグラファー」「デザイナー」「作家・アーティスト」の4つのジャンル×4人=16人のクリエイターの皆さんに、仕事についてお話を伺うスペシャルインタビュー。
自分たちの仕事と真剣に向き合い、何かを生み出し続けている16名のクリエイターのお話には、仕事に対する姿勢や意識など参考にしたいヒントがたくさんあります。同じクリエイターとして仕事をしている方やクリエイターを志している方はもちろん、クリエイター職ではない方々にも、じっくりとお読みいただけましたら箱庭一同嬉しく思います。私たちがインタビューを通じて感じた、「私も頑張ろう!」という励みをみなさんも感じてくれることを願っています。
今回のインタビューは、イラストレーター グレース・リーさんです。
とってもキュートで、見る人を笑顔にする力を持つ、グレース・リーさんのイラスト。出会いは、2人の箱庭メンバーが、グレースさんの個展へ行ったことでした。(その時の記事は、こちらから。)雑誌や広告のイラストとして目にすることも多い、彼女の作品。その作品はどのようにして生まれるのか、その秘密を探るべく、作業場として使っているシェアオフィスを訪ねました。
グレースさんは、中国系の両親を持つ、オーストラリア出身の女性です。グレースさんに会いに行ったメンバー3名のうち2名はオーストラリア在住経験があったので、初対面であったにも関わらず、地元ネタですっかり盛り上がったインタビューでした。
<グレース・リーさんのお仕事>
アヴェンヌ ミルキー・ジェル 日本限定パッケージ
ELLE 別冊付録 トーキョーガイド表紙
アーノルドパーマー 2016年春夏カタログ
イラストレーター グレース・リーさんに聞く「イラストレーター」の仕事とは。
Q. 「イラストレーター」になろうと思った理由を教えてください。
出身地であるオーストラリアで、視覚コミュニケーションについて勉強した後、エディトリアル・デザイナーになりました。日本に来る前には、インテリア雑誌のデザインをしていたんですよ。日本に来たのは、2週間の旅行がきっかけです。はじめは普通の旅行客みたいに、東京のほか、京都や大阪を回ったんですよ。それで、とっても気に入ってしまって。「絶対また戻ってきたい!」と思いました。それからワーキングホリデーで再び来日して、とりあえず英語を教え始めたんです。世界中からやってくる英語圏の人々が、みんな、英語の先生になるのと同じようにね(笑)。その時は、デザインやイラストをやるつもりはなく、1年経ったらオーストラリアへ帰る予定でした。
でも日本が忘れられなくて!その後、日本に住み始めたんです。その時に、何かクリエティブなことをやりたいなと思って、まずはデザイン会社でインターンとして働き始めました。午前中は英語教師、午後はインターン、みたいにね。友だちもできたし、とっても楽しかったわ! ただその時、デザインはもういいかな? と思うようになったんです。不思議でしょ!? デザインをずっとやってきたにも関わらず……。イラストレーターになったのは、計画していたことではなかったんですよ。ただ、初めてのことに挑戦してみたかったんです!
Q. 「イラストレーター」になるために、どのような行動や心がけをしましたか?
エージェントに登録をしたんです。イラストの仕事をしたいと思っていた時に、インターネットで「英語が話せるエージェント 日本」と検索したのがきっかけ。それで、BUILDINGというエージェントを見つけたんです。作品を見せて欲しいと言われたので、Facebookページへ投稿してみたのですが、1年間返事がなくて。その間はフリーランスとして、日本に住みながらオーストラリアの仕事を受けていました。ゆっくりと実績ができてきたので、再びBUILDINGに連絡して、最新の作品などを送ってみました。そうしたら、「一度会いませんか?」という返事が来て。それで「ぜひ一緒にやりましょう」ということになったんです。そこから、日本での仕事が少しずつ増えていきました。
Q. 現在はどのような仕事(案件)を中心に活動していますか?
広告がメインですね。最近は「アーノルド・パーマー」の夏と冬のカタログを担当しました。それと「イエローテイル」! イエローテイルというオーストラリアのワインを知っていますか? 2016年のスペシャルラベルを一緒に作りました。本当に最近はとても良い流れがきている気がするわ。雑誌「フィガロジャポン」でもイラストを描いたしね。
いつも、エージェントのBUILDINGがお仕事をもってきてくれて。事務など諸々のやり取りも担当してくれるので、助かっています。おかげで、わたしはイラストに集中することができますから。
Q. 仕事で楽しいと感じる時、辛いと感じる時はそれぞれどんな時ですか?
楽しいと感じる時は、ミーティングに行く時です! オファーしてもらう仕事をただこなすだけという場合もありますが、ミーティングで広告代理店やクライアントの人たちなど新しい人に会うことができる時は、とっても楽しいですね。アートディレクターやデザイナーにも会えるし、彼らが求めているものを直接感じることができるので。チームで良いものを作るという、ワクワクした感じがあるんです。雑誌を作っていた頃を思い出します。
逆に、辛いのは、孤独を感じる時。黙々と仕事をするあまり、1日の終わりに「今日は誰とも話をしてない!」と気付いたり、「3日間も家から出てない!」と思う日があったり。そういう理由で、今、シェアオフィスで仕事をするようになりました。そこだと色々な人がいるし、人間らしい生活ができる気がするんです。シェアオフィスの入居者はみんないい人たちで、空間も素敵。家のものと比べるとデスクは小さいのですが、環境がとても好きです。日本語はまだまだだけれどみんな助けてくれるし、日本語の勉強にもなります。それに、周りにはアニメーターやデザイナー、イラストレーター、写真家などクリエイティブな人たちが集まっているので、刺激を受けますね。
(シェアオフィスのグレースさんの机)
(机周りには、グレースさんのかわいいイラストや展示作品。そして絵を描くときの道具などがありました。)
Q. オリジナリティを確立するために、心がけてきたことなど教えてください。
3年前と今を比較したら、今の方が、競争が激しくなっている感じがします。そこで、個人のインスタグラムに、GIFアニメを載せ始めたんです。将来的にはGIFアニメの展示会をやってみたいと思っています。テーマはいつも“つまらないもの”かつ“楽しいもの”。イラストレーターは星の数ほどいますが、誰かが私のそれを気に入ってくれたらうれしいなと思って。でも、気に入ってもらえなくてもいいんです(笑)。
将来のことを考えて、不安になることもあります。日本でやっていくのが正しいことかわからないし、他の国で活動してみたいという気持ちもあります。もしかしたら、ちょっと日本を離れてみて、またフレッシュな気持ちで始められるかもしれません。でも、日本が大好きなんです!
Q. 今後、挑戦してみたい事ややってみたい事を教えてください。
「ウィンドウ・ディスプレイ」に挑戦してみたいですね! これはずっとずっとやってみたいと思っていること。スクリーンなのか、描いて表現するのかなど細かいことは決めていませんが、とにかくやってみたいんです。デパートで働いている友だちに頼んでみようかなと思っています(笑)。ファッションの仕事も好きです。生地のデザインもやってみたいですね。あとは、コミュニティに関することなど。どんなことでも、社会に貢献できることをやってみたいと思っています。
Q. 最後に、これから「イラストレーター」を目指す方にメッセージをいただけますか。
「イラストレーター」と聞くと、華やかな仕事のように聞こえますよね。けれども、すごく地味な側面もあるんですよ。例えば、一つの作品を、とても長い時間をかけて作り上げていくことがあります。いきなりイラストレーターになれたわけではなくて、わたしのように、色々な我慢が必要なことも。もちろん情熱も大事ですよ! わたしは過去に、仕事を断られる経験をたくさんしてきました。本当に、たくさん! 返事がこないなど、辛い時期もありました。今のエージェントへの連絡もそうですが、“あの時”わたしが思い切って連絡をしていなかったら、今の自分はなかったかもしれない。大事なのは、とにかく、やってみること。そして、ダメでも続けること。仕事がない時は、自分のためだけにイラストを描いてみるのも一つの方法です。理想を追いかけすぎないで。なぜなら、理想的な自分になれない時に、とっても落ち込みますから(笑)。あと、SNSにも気を付けること。フォロワーの数をいちいち気にしない! フォロワーなんて、みんな初めはゼロなんだから! そこから作り上げていくことの方が大事です。
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Grace Lee(グレース・リー)|イラストレーター
オーストラリア出身。2009年より東京とシドニーを拠点に活動中。現在は東京在住。
Webサイト:http://www.bldg-jp.com/g/GraceLee/
Instagram:https://www.instagram.com/midnightgracie/