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    箱庭4周年を記念して、「イラストレーター」「フォトグラファー」「デザイナー」「作家・アーティスト」の4つのジャンル×4人=16人のクリエイターの皆さんに、仕事についてお話を伺うスペシャルインタビュー。
    自分たちの仕事と真剣に向き合い、何かを生み出し続けている16名のクリエイターのお話には、仕事に対する姿勢や意識など参考にしたいヒントがたくさんあります。同じクリエイターとして仕事をしている方やクリエイターを志している方はもちろん、クリエイター職ではない方々にも、じっくりとお読みいただけましたら箱庭一同嬉しく思います。私たちがインタビューを通じて感じた、「私も頑張ろう!」という励みをみなさんも感じてくれることを願っています。

今回のインタビューは、テキスタイルデザイナー・大槻優美さんです。
大槻さんは、山や植物・石などの自然のモチーフが素敵な生地を生み出すテキスタイルデザイナー。テキスタイルというと、洋服やバッグなどのファッション小物から始まりクッションやカーテンなどのインテリアまで、日常的に手に取り使うもの。だからこそ自分の気に入ったデザインのものを使いたい、と思う方は多いのでは?大槻さんの作品は、まさに日常で側に置いておきたくなるデザインがたくさんあります。
大槻さんの作品に出合ったのは何気なく見ていたinstagramでした。instagramという様々な写真が並ぶ中で、その作品に目が留まったんです。もともと山のモチーフが好きですが、大槻さんの山は可愛らしさもありつつ落ち着いた色味が、好みのど真ん中でした!山以外のモチーフも、手描きで描かれる“ちょうど良く”ラフな線が心地よく、暮らしの中に自然と馴染む色合いがとっても魅力的。そんな素敵なテキスタイルを作り出す方に、いつかお会い出来たらいいなと思っていたので、今回思い切ってお声掛けさせて頂いたのです。そのお話からは、自分の“好き”を大切にしていくこと、日常の感動を大切にしてくことなど、ものづくりのヒントを伺うことが出来ました。

<大槻さんの作品>

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テキスタイルデザイナー大槻優美さんに聞く「テキスタイルデザイナー」の仕事とは。

Q. 「テキスタイルデザイナー」になろうと思った理由を教えてください。
本当に最初のきっかけは、高校生のときの進路を考えるタイミングですね。まず小さい頃から絵を描いたり物を作ることが好きだったということがあって、そっちの道がいいかな?と思ったのがきっかけです。どこかで絵を習っていたわけではないんですが、いつも絵を描いてました。自分オリジナルのレターセットを作ったり、それでお母さんに手紙を書いたりもしてましたね。今思うとその頃から”柄“っぽい絵を描いていたかも。学校の美術の時間も好きで。進路を考えたときに、好きなことをやってみたいと思ったし、自分にはそれしか出来ないんじゃないかな?とも思ったんです。そう思って美大を受けようと決めた頃、美大にテキスタイル科があることを知りました。「染め」や「織り」などを一から勉強する内容に興味を持ち、布がどのように作られるのか学びたくてそこを目指して入学したんです。

Q. 「テキスタイルデザイナー」になるために、どのような行動や心がけをしましたか?
そうして大学のテキスタイル科に入って、テキスタイルデザインの道に入っていきました。大学では、アパレル企業でテキスタイルデザインをしていらっしゃる先生に出会ったのですが、その先生からすごくいろいろなことを学んだし、影響を受けましたね。自分も同じように、洋服のテキスタイルをつくることに憧れました。
大学を卒業した後は、アパレルのテキスタイルデザイナーとして就職しました。コレクションブランドだったのですが、そのなかでも身近なラインのブランドに配属されて、そこで服の柄をデザインしていました。ある程度そこで仕事をしているうちに、もっと自由に使える生地をデザインしたい!と思い始めました。生地を使って色々なものを作ってもらえることもテキスタイルの魅力かな?と感じて。そう思って、少しずつ自分のものづくりを始めました。最初は身近なテキスタイルのハンカチから始めて、職場で出会った機屋さんと織物のジャガード織でネクタイを作るようになって。今は会社を辞めてフリーで活動しています。

Q. 現在はどのような仕事(案件)を中心に活動していますか?
まずは、絵を描いて柄を作ることですね。
テキスタイルのデザインは上下左右にリピートがあることが特徴なので、その”リピート“を意識して描いていきます。きちんとリピートのついたデザインが出来上がったら、工場にお願いしてプリントしてもらいます。
デザインは、散歩中や普段目にする身の回りのものをスケッチして、それをもとにすることが多いですね。例えばこの山の柄は、友人の結婚式で富山に行った時に、早朝乗った飛行機の窓から立山連峰が見えたんです。それまで山って、地面からこんもりとしている形のイメージが強かったので、こんなに連なっている様子を初めて見て。明け方の光と積もった雪とすごく綺麗だな~と思った勢いで、その場でスケッチしました。この柄はその時のスケッチをそのまま使っているんです。
なんだかそういうパターンが多いですね。手描きの勢いとか、描いた時のリズム感をテキスタイルパターンに落とし込めたら、と思っています。
作った生地は、イベントに出店したときやSNSを通じて販売しています。ハンカチやバッグなどの製品にして売っているものは、いくつかのお店に置いて頂いています。

Q. 仕事で楽しいと感じる時、辛いと感じる時はそれぞれどんな時ですか?
楽しいときは、やっぱり自分の描いた柄が生地としてあがってきたときです。これは、何回あがっても感動します。あとは、楽しいというか嬉しいときですが、お客さんに「こういう生地欲しかった!」と言ってもらえたときですね。
大変なことは、個人で受けてくれる工場があまり無いことでしょうか。企業にいたときは簡単にサンプルも作れていましたが、小ロットだと受けてもらえないところが多いんです。在庫を持つことはこわい、と思ってしまいがちですが、せっかくのときに用意が無いという状態になってしまうことを考えると、思い切って作るしかないのかな、と思います。
辛い時は、絵を描いていて全然良くないものばっかりというときです。そういうときは、昔のスケッチブックやラクガキの切れ端、お気に入りの石ころや木の枝などを入れてある箱を見てみるんです。そうすると、当時は何気なく描いていたものが使えたり、きっかけを得たりすることがあります。

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Q. オリジナリティを確立するために、心がけてきたことなど教えてください。
自分が感じたものを手描きで描くことにこだわっています。手描きの線は、自分だけしか出せない線なので。
色味も、自分の好きな色を使うようにしています。くすんだ緑・グレーとか、暗めの青とか、あまり派手ではない色が好きなんです。地味ですねとか言われることもあるのですが、無理にカラフルなものをつくっても上手くいかなくなっちゃうと思うし、同じような好みの方に褒めてもらえることもあるので、そこは自分の好きな色を大切にしています。
色に関しては、会社員時代の経験から繋がっているかもしれません。会社で仕事をしているときは、自分の好みとは違った色も使わなくてはいけないこともあったのですが、先輩が「こっちの色にしたら合うんじゃない?」という感じでアドバイスをくれて。自分が苦手だなと思う色の使い方を教えてくれたんです。それがとても勉強になりました。でもやっぱり自分の好きな色でデザインして、それを褒めてもらえた時には喜びがあって。それで、もっと自分が好きな色でつくりたいな、と思って今があります。

Q. 今後、挑戦してみたい事ややってみたい事を教えてください。
最近はプリントをメインにやっていて、ジャガード織の方で新しいデザインを出せていないので、新作を作りたいです。
今は子育てをしながらの活動ですが、子供がいない時よりも積極的になれているような気がします。もっと手一杯で何もできなくなるんじゃないかな?と思っていましたが。新しい生地を作り展示会をしたり、イベントなどにも出て行きたいです。

Q. 最後に、これから「テキスタイルデザイナー」を目指す方にメッセージをいただけますか。
自分の作品を選んでくれた人に喜んでもらったときが、一番やって良かった!頑張るぞ!という気持ちになります。自分が好きなもの、見たもの、感じたものを描いたからこそだと思うんです。そこを大切にして欲しいです。

大槻優美さんの読者プレゼントは、こちら!

大槻さんオリジナルの柄が素敵なハンカチ2枚のセットを1名様にプレゼントします。
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詳細は、プレゼント応募ページをご覧ください。(下記画像をクリックしてください。)
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    大槻優美|テキスタイルデザイナー
    1984年東京生まれ。2007年多摩美術大学テキスタイル卒業後、アパレル会社と繊維関係の会社勤務を経て、2014年にOTSUKIYUMIとしてテキスタイル発表。
    webサイト:http://otsukiyumi.com/

    ◆大槻優美さん最新情報
    今後の出店スケジュール
    5月30日〜6月16日 神田万世橋 mAAch ecute 「T-shirt hutch」
    6月4・5日 代官山sodacco 1F 「instars」
    6月15日〜21日 立川伊勢丹3F 「CHATOY pop up shop」
    6月15日〜26日 浦和パルコ イベントスペース
    6月25日〜7月3日 Gallery+Shop Loquat 「bird watching」
    7月4日〜18日  神田万世橋 mAAch ecute 「summer hutch」
    7月29・30・31日 「布博」町田パリオ

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