CREATOR クリエイティブなヒト
クリエイターインタビュー|インテリアスタイリスト さかのまどかさん 前編
空間そのものから壁面アートまで。そこにしかないインテリアをつくる。
今回お話を伺ったのは、インテリアスタイリストとしてフリーでご活躍されている、さかのさん(35歳)です。
実はさかのさん、記念すべき箱庭のガッコウ第一期卒業生。箱庭のガッコウがはじまってから3年の年月が経ち、卒業生のみなさんが色んなところで活躍されているのを見たり聞いたりして、あらためてお話を聞いてみたいね!ということで、第一期生でもあるさかのさんのもとへ。インテリアスタイリストってどんなお仕事?フリーで働くって大変?など、私たちの疑問に優しく、そして真剣に答えてくれました。
アンティークは一点ものが多いので、ひとつ入れるだけで、空間の質が変わる
箱庭(以下、箱):まずはじめに、インテリアスタイリストというお仕事について、教えてください。
さかのさん(以下、さ):「インテリアスタイリスト」というと、基本的に雑誌や広告撮影のインテリアをスタイリングしている人が多いと思いますが、私の場合は、Airbnb(エアービーアンドビー)やモデルルームなど、空間そのものをスタイリングすることもあれば、お店の什器、壁面アートや棚の飾り付け、植物など、空間の一部分だけをスタイリングしたり、大きいものから小さいものまでインテリアに関わるスタイリングを幅広く担当しています。
たとえば、Airbnbだと、クライアントからこういうお部屋があるので、こういうイメージでつくってほしいというご要望をいただきます。「女性的な」とか「六本木っぽい」とか割と抽象的なご要望だったりするんですけど。そのテーマを自分なりに具体的なイメージに落とし込んで、家具やデコレーションとよばれるアート・雑貨を選んで提案し、スタイリング(納品)・設置していく感じです。もちろん完成した時に撮影用のスタイリングもしていて、その時はカメラの位置決めとか構図も提案しています。
モデルルームの場合は、設計事務所の方と協働していて、設計事務所の方は天井や柱、床、壁など、箱になる部分をつくって、私は家具とか雑貨、植物などを担当しています。要するに、その建物をひっくり返したときに、落ちるものが私の担当部分といえば、分かりやすいかもしれません。
(さかのさんがスタイリングを担当したAirbnb)
(さかのさんがスタイリング担当した個人邸竣工撮影)
箱:なるほど、分かりやすいです!さかのさんのスタイリングには、あまり見かけたことのないランプや家具があって、カッコイイな~と思うんですが、家具とか雑貨はご自身で探されるんですか?
さ:そうです。なのでどこに行けばどんなものがあるのかを常にリサーチするようにしています。
箱:常にリサーチされているんですね!?
さ:土日とかもいろんなところを見て回ったりしています。スタイリングする時の雑貨の買い出しもかなりの数の店舗を回るんですけど、色々見るのが好きなんですよね。一応時間を決めたりしているんですけど、本当はずっと見ていられます。
私はアンティークが昔から好きだったので、どこかにそういったものが入ってくるスタイリングを得意としています。アンティークは一点ものが多いので、そういうものをひとつ入れるだけで、空間の質が変わるというか、個性が生まれます。ドライフラワーとか植物も好きなので入れるようにしているんですが、それも同じ理由で、ひとつずつ表情が違うから、スタイリングにオリジナリティが加わるんですよね。DIYも好きなので、自分でつくったり、製作を依頼することもよくあります。
(さかのさんがスタイリングを担当したAirbnb。
左:アンティーク屋さんをまわって見つけた帽子を照明にアレンジ。
右:MY’S flowerさんにアレンジしてもらった照明。)
感覚的な仕事ではあるけど、ロジカルに伝えることは大切
箱:クライアントの抽象的なテーマから家具を選ぶのは、大変だったりしますか?
さ:そうですね~。たとえば、「高級感」を出してほしいと言われても、どの程度の高級感なのか。その人の金銭感覚でちょっと変わってくると思うんです。モノで高級感を出すのか、色味で出すのか、そういうところでもまた変わってくる。そういうクライアントの方でもぼんやりとしているイメージは、まずコミュニケーションで少し聞き出して、あとは提案しながら可視化していきます。
割と感覚的な仕事ではあるんですけど、なぜこのラグを選んだのか、なぜこの椅子にしたのか。その理由をロジカルに伝えることは大事だなと思っています。はじめは説明することがダサいと思っていたんですけどね…。だってかっこいいじゃん!っていう感じで(笑)。でも、感覚的に選んでいるつもりでも、自分の中に問いかけてみると理由があって、そこをロジカルに説明することで、クライアントも自分のイメージをどんどん具体的にしていけるし、理解もしてもらえる。お互いがひとつのテーマに向かって、一緒に走っていけるようになるんです。
箱:クライアントの漠然としたイメージを、さかのさんが持っている知識と感性で解決してくれるんですね。素敵なお仕事ですね~。
さかのさんは、小さい頃からこういうお仕事に就きたいと思っていたんですか?
さ:特に思い出せないです。もともと飽きっぽい性格なので、インテリアって幅広いし、奥が深いから飽きなそうだと思ったんです。大学は総合大学だったんですけど、その後にインテリアの学校に通って、就職時にインテリア関連のお仕事を探して、「あ」の会社名から順番に受けたんです。
箱:え!?テレアポ的なやり方ですか?
さ:そう(笑)。インテリアの仕事ができればとにかく良かったのでそれで一番初めに受けた会社で、はじめはアルバイトだったんですけど、インテリアプランナーのアシスタントをやっていました。そこでは、モデルルームのインテリアとかを手がけていたんですが、クリエイティブな仕事ならではの不規則な生活でした。何年か働いた時に、あの3.11地震があって、このままでいいのかなぁ…って考えちゃって。いろんなことに疑問を感じて、不眠症になっちゃったんですよ。それで会社も辞めて。
九時五時の生活をしようと思い(笑)、プレーヤーでは無くサポーター的な仕事が良いかなと考えデザイン事務所で秘書をしました。これまでは、みんなが知っているようなインテリア家具屋で仕事をしていたんですけど、たまたま私が就いたデザイナーの方がめちゃくちゃスターデザイナーで、国内外の超高級ホテルや皆が知っている商業施設のデザインをしている事務所だったので、同じインテリア業界といっても、また全然違う、新しい勉強が出来た感じでした。とても楽しかったんですけど、まだちょっと悩んでいた時期で、それで箱庭のガッコウにも行ったんです。
つづく
さかのまどかさん|インテリアスタイリスト
インテリアショップにてインテリアコーディネート、バイヤー、マネジメント業務などを経て、
フリーランスのインテリアスタイリストとして活動中。
アンティークやハンドクラフトを取り入れたスタイリング、ウォールデコレーションを個人邸、オフィス、商業施設などに提案している。6月からオンラインショップ“ R ”もスタート。
Web site:http://airbnbinterior.wix.com/coryostylist
Instagram: https://www.instagram.com/coryo_interior
◆R (アール)
Shop: http://routeroots.theshop.jp/
Instagram: https://www.instagram.com/routeroots/
インテリアバイヤーとさかのが恊働ではじめたセレクトショップ。
それぞれがこれまで蓄積してきた知識を活かして、蚤の市や仕入れ時に目に留まったアイテムを販売している。
☆7/16(土)、17(日)・8/13(土)、14(日)に天王洲SLOWHOUSE(アクタス)さんにてpop up shopをします!
SLOWHOUSE Website:http://www.slow-house.com/
(詳細は各種snsでご案内いたします。)