CREATOR クリエイティブなヒト
クリエイターインタビュー|インテリアスタイリスト さかのまどかさん 後編
男の人は女の人に変われないし、女の人は男の人に変われない。お互いに張り合うんじゃなくて、補いあっていけばいい。
インテリアスタイリスト さかのさんのインタビュー続編!(前編の記事は、こちらです。)
悩んでいた時期に、箱庭のガッコウへ来てみたという、さかのさん。実際に箱庭のガッコウに来たことで得た意識の変化など、箱庭のガッコウが気になっている方もぜひお読みください~。
箱庭のガッコウで、自分の好きが共感出会える場に出会えた
箱庭(以下、箱):実際に箱庭のガッコウに来てみてどうでしたか?
さかのさん(以下、さ):何に悩んでいるのかも分からないころだったんですけど、みんな何かになりたくて頑張っていて、私もこれでいいんだなぁ~と思えたんですよね。自分がプレーヤーとしてもっと頑張りたいという気持ちに気づいたのも、箱庭のガッコウに来てみんなと話せたことが大きかったです。ガッコウに通ってすぐには結論が出なかったけど、振り返ってみると良いきっかけをもらえたなと思います。
第一期生は、様々な業種のクリエイターの人が集まっていたんですけど、同じ会社の人でも話が合わないのに、はじめて会った人と話があったり、「これ知ってる?」「知ってる!知ってる!」みたいな。こんなに自分の好きが共感しあえる場に出会えたのが、すごく新鮮でした。そうやって全然関わったことがなかった業種の人たちと話をしていく中で、あらためて私にはインテリアしかないんだなということも認識できました。
箱:箱庭のガッコウに通って、そういう風に思ってくれている人がいるというのは、箱庭としても嬉しいです。
その後、すぐにフリーになったんですか?
さ:いえ、ガッコウに行った事がキッカケで『いつかフリーで』という思いになったのですが、まだ足りない事が有るなと思い、もう一度インテリアショップに転職をしました。そこでは、自分のやりたい仕事が出来ているなと思っていたんですが、ハードワークだったので、病気になってしまって入院しちゃったんです。
箱:健康が第一なのに…。
さ:そうなんです。体調を崩すまでは気にしていなかったんですけど、やっぱり無理しちゃいけないなとはじめて気づくというか…。その時は、会社でマネジメントをしていたので、自分の中で女性らしさをあまり出しちゃいけないと思っていたんですよね。女だからとか、男だからで差別しない働き方というか。
箱:会社がそういう方針だったわけではなくて、自分でそう思ってたんですか?
さ:そうです。中正で公平でないといけないと思いこんでたんですよね。
箱:なんとなく分かります。女だから出来ないとか言いたくないというか…。負けるもんかっていう気持ち。
20代の頃は、それで頑張ってこれたけど、30代になって気づきますよね。男の人と女の人はやっぱり違うなと…。
さ:女の人は、力も弱いし、ストレスもすぐ体に出てくる。男の人でもか弱い人はいるから、「男だから」「女だから」じゃないのかもしれないけれど、やっぱり男の人は女の人に変われないし、女の人は男の人に変われない。お互いに張り合うんじゃなくて、補いあっていけばいいんだけど、なかなか気づけなかった。男の人のように働かなきゃって思ってしまって。その病気で一度何もかも無理矢理シャットダウンされた時に、ようやく考え方や人付き合いの『凝り』のようなものに気づけました。
行き詰まり、インテリアの仕事も続けて行けないかも、と自信を無くしてどうしようかと考えていましたが、仕事や健康について考え、最終的には生き方を考え、、やはり自分が役に立てるのはインテリアだと思い、病気する前から少しずつ個人あての仕事依頼が来ていたので、フリーでやってみようかなと思ったんです。
病気になって、あらためて働き方を考えたときにフリーを選択した
(さかのさんのWeb site)
箱:フリーでやると決めた時に、不安ってありました?
さ:不安はありましたね。仕事は少しずつあるとは言っても、不安定は不安定なので。
フリーになって、時間に対する対価を自分に厳しく求めるようになりました。自分の中にマネージャーとプレーヤーがいる感じです。自分ひとりしかいないので、体調管理含め生活全ての動きを自分の責任の取れる範囲でとり、線引きを自分できちんと決めないとならないと思いました。
自分のラインを持つ事は一人でやっていくには重要だなと思っています。
箱:フリーで続けていくには、すごく大切な考え方な気がします。
さ:フリーでやっていくのは、人によって向き・不向きはあると思うんですよ。でも、自分には合っていたのかなと思いますね。
全部一人でやらなきゃいけないけれど、あんまり苦手だなと思う作業はないんです。スケジュール管理だとか請求書のような事務処理とか、そういう地味な作業も秘書の仕事をしていた時に身に着けることができたので、全然苦じゃないんです。本当に、いままでのいろんな経験がすべて今に繋がっているなと思っています。
フリーになって感じるのは、頼んでもらえたということがまず嬉しいってことですね。問題を抱えている人を助けられる知恵が私にあって、それでクライアントが喜んでもらえて、しかもfeeがいただけるっていうのは、すごく幸せなことだなと思います。
自分のできないことをちゃんと理解して、自分で得意なことももっと理解する
箱:逆に、大変なことってありますか?
さ:強いて言うなら、家具とかは大きいので、運ぶことが一人ではできないんですよ。物理的に一人で完結できないことがありますね。本当は頼るのが好きなタイプではないので、はじめは一人でやろうとしていたんですけど、頼めることは人に頼んだ方が早い!ということに、気づきました(笑)。
箱:誰かに頼ることも必要ってことですね。
さ:自分で言うのもなんなんですが、非力なんですよね、ホント。自分のできないことを自分でちゃんと理解して、自分で得意なことも自分でもっと理解して、そうやって人とかかわっていくことが大切なのかなと思いますね。バランスは難しいんですけど、これからの働き方を考えたときに、自分が頑張らないとかではなくて、任せてみるってことも大事だなと。
運び仕事もそうですし、絵は描ける人に頼むとか。一度自分の中で出来るか出来ないか落とし込んで、その上でやるかやらないか、頼むなら誰にどのくらいの時間と金額で費用対効果は、、、とかを考えています。
(自分でオリジナル作品をつくることも得意とするさかのさんの製作写真)
箱:話を聞いていると、考え方とか意識を変えたことで、すごく仕事がスムーズに運んでいるように感じます。
今後については、どう考えていますか?
さ:空間でもそうですけど、壁一面とか、棚の一角とか、インテリアの力を少しでも借りたいという方の手助けが出来ればと思っています。ブライダルや雑誌などのスタイリングにもチャレンジしたいです。
あと、自分でも病気してはじめて気づいたんですけど、女性の働き方について、もっと「自由」になればいいな~って思っているんですよね。女性の生き方って、男性以上に選択肢が多いけど固定観念も強いというか、結婚・出産、色々あって、私は結婚していないんですけど、結婚していないとか子供がいないって言うと、「ない」ということを取り上げられちゃうんですよね。男の人は、結婚していない、子供がいないと言っても「自由でいいね。」となるはずなのに、女の人は足りないみたいに言われちゃう。私は私でパートナーや面白い家族、友人がいて満ちているはずですが…。私含め、皆の中に『こうするべき』という気持ちがあるからなのかな。でもそれは生物的に仕方ないのかもしれないですが…頑張ります(笑)。
とにかく、そんな事も含め健康的に調和的に自分のペースで自分が役に立てることをやっていきたいです。体が弱い人も、頭が良い人も、見た目がきれいな人も、コミュニケーションがうまい人も色んな人がいて、それぞれペースがあって、毎日朝から夜遅くまで働く人もいればゆっくり働く人もいる、適齢期に結婚したり子供を産む人もいればそうじゃない人もいる。みんな頑張ってるんだし、みんな偉いと思う。だから誰かを否定せずそれぞれの生き方を認めて、各々が充実出来てれば良いと思います。
そしてご飯をちゃんとつくって、食べて、眠って、また頑張って仕事ができるような生活がもっと広がると良いな。そしてもっと自分と向き合って、自分を好きになり、楽しく働き生きていきたいと思います。
箱:さかのさん、今日はありがとうございました!
さかのまどかさん|インテリアスタイリスト
インテリアショップにてインテリアコーディネート、バイヤー、マネジメント業務などを経て、
フリーランスのインテリアスタイリストとして活動中。
アンティークやハンドクラフトを取り入れたスタイリング、ウォールデコレーションを個人邸、オフィス、商業施設などに提案している。6月からオンラインショップ“ R ”もスタート。
Web site:http://airbnbinterior.wix.com/coryostylist
Instagram: https://www.instagram.com/coryo_interior
◆R (アール)
Shop: http://routeroots.theshop.jp/
Instagram: https://www.instagram.com/routeroots/
インテリアバイヤーとさかのが恊働ではじめたセレクトショップ。
それぞれがこれまで蓄積してきた知識を活かして、蚤の市や仕入れ時に目に留まったアイテムを販売している。
☆7/16(土)、17(日)・8/13(土)、14(日)に天王洲SLOWHOUSE(アクタス)さんにてpop up shopをします!
SLOWHOUSE Website:http://www.slow-house.com/
(詳細は各種snsでご案内いたします。)