CREATOR クリエイティブなヒト
イラストレーター ニシクボサユリさんインタビュー|きっかけはInstagram。発信からはじまったイラストレーターの道。
今回お話を伺ったのは、イラストレーター ニシクボサユリさんです。
箱庭では、昨年11月にニシクボサユリさんの描くイラストをご紹介しましたが(その時の記事はこちらから)、ニシクボさんはInstagramから瞬く間に火がついた、いま大変人気なイラストレーターです。
驚くべきは、本格的にイラストを描きはじめたのが、たった2年前の2015年ということ。そして、いまはまだ保健師としてもお仕事中という彼女。二足のわらじで、ここまで勢力的に活動してきた彼女の経験は、これからクリエイターとして活動をはじめたいと考えている人のヒントになるはず。2017年第一弾のクリエイターインタビューをお楽しみください。
「何をしたらいいか分からないけど、とりあえずできることをやってみた」
(12月ABOUT LIFE COFFEE BREWERSの展示での、ニシクボサユリさん)
箱庭:まずは、ニシクボさんがイラストを描くきっかけや経緯を伺いたいのですが、もともと絵を描くのは好きだったんですか?
ニシクボ:私は出身が三重県なんですけど、三重県の中でも熊野市というところのさらに奥で、簡単に言えば田舎なんですよね。全校生徒が6人とかの小学校で、とにかく暇だったんです(笑)。母親が和裁師で、家で仕事をしていたんですけど、とりあえず母の隣に座って「暇やぁ〜」って言いながら絵を描いたり、裁縫をしてみたり、じいちゃんが大工をしていたので小さい家具もどきを作ったり。ゲームもめっちゃしてましたけど、一人遊びの延長で絵をよく描いてましたね。
箱庭:好きというよりも暇だったんですね(笑)。ただ、その後デザインの学校に進学するのではなく、看護師の学校に進学されたんですよね?
ニシクボ:そうなんです。母子家庭だったってこともあり田舎にとどまるつもりでいたんですが、就職先にあまり選択肢がなく、結局公務員か医療系ぐらいしかなかったんです。親戚も看護師が多くて、それでいつの間にかたどり着いたのが、看護大学でした。学校を行きながらも「私の道はこれじゃないだろう」と思っていましたが、とりあえず経験として3年はやってみようと思い、名古屋の病院のオペ室で働きました。その仕事も充実していたんですけど、やっぱり何か違う、何かつくりたいという想いが強くなりました。それは多分、人の死と隣り合わせの職場で明日死ぬかもと考えた時に、こんなことをしている場合でないと無意識のうちに感じとっていたからだと思います。デザイン全般には興味があったので、何かできることからやってみようと思って、自力出来そうなものをと安易に考え、WEB制作を始めました。唐突ですよね。制作に専念したいから、病院も夜勤専従って夜勤だけの看護師に変えて、日中はとりあえずサイトをつくってました。
箱庭:それはイラストのサイトですか?
ニシクボ:写真のサイトでした。当時、ちょっとだけ写真をやっていたので、自分の写真のサイトをつくろうと思って、それをつくっていました。そのサイトをポートフォリオにして、就活してみようと考えて。半年くらいかけて制作していたんですけど、夜勤専従をしながらはものすごくしんどくて、失敗したな~と、その時は思いました(笑)。
箱庭:それで就活をはじめたんですね。
ニシクボ:はい。面白そうな会社に入りたかったので、東京で就活をしていたんですが、有難いことに何社か受かりました。でも何かしっくりこず決めかねていて、まずは関東に身を慣らそうと。そんな時に、デザインの就活でつかっていたサイトに、なぜか保健師の求人が掲載されていて、試しに受けてみると受かってしまったので、まずは東京に出てくるには丁度いいと思い、そこで働き始めました。それが今働いている会社です。
Instagramで挨拶回り。フォロワー数を増やすコツ。
(ニシクボサユリさんのInstagram @sayurinishikubo)
箱庭:Instagramでイラストを発信しはじめたのは、どのタイミングだったんですか?
ニシクボ:こっちに出てきて、1年経たないくらいですかね。東京での生活にも慣れてきて、そこでまたハッとするんです。何かやらないと!って。そこでもまだ何のデザインをしたいのか分からないから、手あたり次第、全部やろうと思って、デザインの学校に行きはじめました。学校では自分で学べなさそうな、空間デザインを専攻することにして。学校に通い始めるのとほぼ同時にはじめたのが、Instagramです。Instagramは友達とフォロワーを増やすバトルをしようってなって、友達は写真をするって言ったんですけど、写真は敵が多すぎるから、私はその時、友達に似顔絵を描いていたこともあって、イラストで攻めようと思ったんです。
箱庭:Instagramの発信が、友達とのバトルからはじまっていたとは驚きですね。
そして、久しぶりにイラストの話が出たんですけど、小学生の時に絵を描いていた時から、イラストはずっと続けていたんですか?
ニシクボ:いえ。描くという習慣は小学生くらいで終わって、その後は随分と間があいていました。久しぶりにイラストを描き始めたのは、看護師になってからですね。看護師の時に、漫画のワンピースにはまっていて、お母さんがやたら長電話をしてくるのですが、その時に模写していました。扉絵をモノクロで模写するっていうのをひたすら。イラストは独学なので、この模写が私に画力をつけてくれたのかもと思っています。
箱庭:独学で!すごいですね。Instagramをはじめて、フォロワーを増やすためにはどんなことをしたんですか?
ニシクボ:まずは基本的なことからはじめてみようということで、一日一投稿を心がけました。
最初はそこまで意識していなかったんですけど、いいね!をくれた人のところにいき、「どうもありがとうございます!」っていう挨拶回りもしましたね。あとは、タグ付けをするじゃないですか、そのタグで写真をアップしている人のところにいって、いいね!をしたり、コメントしたり。地道ですけど(笑)。
箱庭:そうやってちょっとずつ増えて行って…。
ニシクボ:ちょっとずつ増えて行って。ある日、雑誌のGINZAに載ってた写真をイラストで描いてアップしたんです(上のInstagram写真)。足だけ写ってた写真なんですけど、セレクトショップの紹介写真だったんですよね。そしたら、そのセレクトショップさんからダイレクトメッセージがきて、「すごく良いイラストですね。何周年か記念のDMを描いてもらえませんか?」って。それが初めての仕事でした。嬉しかったですね~。
箱庭:すごいサクセスストーリーじゃないですか!それは、イラストやり始めて間もないころですか?
ニシクボ:2015の年明けから書き始めたので、1年経っていなかったころですね。
はじめてのことにも、なんとかなると思って立ち向かう
箱庭:そうやって少しずつお仕事が来るようになったんですね。いまはどんなお仕事が多いですか?
ニシクボ:雑誌やDM、WEBの挿絵とかですね。ショップカードや名刺、DMをつくってくださいという依頼もあるので、グラフィックデザインもやってます。
箱庭:グラフィックデザインも独学ですか?
ニシクボ:学校の専攻は空間デザインでしたが、PhotoshopやIllustoratorも使うので、それらをいじりつつ、試行錯誤ですね。最初は、「アウトライン化ってなんすか!?」とか、「入稿とかちょっとよく分からないけど、やってみます!」っていう感じでした。
箱庭:初めてのことに対して、不安とかは特になかったですか。
ニシクボ:最初もらった仕事が知り合いの美容師さんとかだったので、そこで時間はかかりましたが分からないながらも調べたりして、ある程度の技術がついたっていうのはありますね。いつも、なんとかなると思ってやってきています。
死ぬかと思った(笑)。258枚のイラストでつくった星野源さん「恋」動画
箱庭:作品つくるときに心がけている事とかありますか?
ニシクボ:イラストをはじめた当初は、自分の好きなものを赴くままに。コーヒーとか、服。好きだなぁ~と感じたものを、そのまま描いていました。いまも基本はそこから変わってはいないんですけど、見てくださった方の声を聞くようになってからは、イラストを見て、元気や感動など、どこか気持ちに響く作品が描けるように意識はしています。私自身が、とてもポジティブなので、見ていてワクワクしたり、元気を与えられるイラストを常に描いていたいと思っています。
箱庭:イラストを見た人たちは、ニシクボさんが好きだと感じたものにも、共感を覚えたんでしょうね。たとえば、星野源さんとかもそうですよね。あの「恋」動画もすごいですし。
ニシクボ:あの時は死ぬかと思いましたよね(笑)。一か月半くらい3時間睡眠でした。やり始めてこれはすごい果てしない作業だと気付いたんですが、イラストを動かしてみたかったんですよね。”「恋ダンス」踊ってみました動画”があるんだったら、私は”描いてみました”でアップしてやると謎の気合いで満ち溢れてました(笑)。あの動画では、一秒だいたい10枚で、250枚くらいのイラストを描いてます。
(12月ABOUT LIFE COFFEE BREWERSの展示模様)
箱庭:そして、展示でも勢力的に活動されていますよね。(取材時の12月はABOUT LIFE COFFEE BREWERSでの展示最中でした。)
ニシクボ:1月から二子玉にあるNeighborhood and Coffee tamagawa3で開催する展示は、昨年も同じ場所で展示をしたので、今年もぜひということでお声がけいただきました。今回は、大好きな『POPEYE』の歴代の表紙をイラスト化し、『for CITY BOYS』と題して展示します。ABOUT LIFE COFFEE BREWERSには、12月に入ってお声がけいただいて、この『POPEYE』の展示が巡回したいくらい最高の出来になっているので、せっかくだから他の店舗でもやりたいなぁ~と思っていたので、「じゃあ2月くらいにどうですか?」とお返事したら、「いや、12月くらいにお願いできませんかね…。」と(笑)。ABOUT LIFE COFFEE BREWERSも大好きなコーヒーショップでいつかやりたいと思っていたので、受けようと思いました。これは大事だなと思う依頼、これはがんばりどきやな~みたいな依頼は、できるだけ頑張ろうと思ってやっています。
展示って、パワーをもらえるんですよね。そこから繫がることもありますし。大変だけどやってよかったなと思います。
箱庭:それでは最後に、今後やりたいことを教えてください。
ニシクボ:それこそ、アニメーションはすごく大変だったんですけど、楽しい!だから、動画の話が来たらやりたいなと思いますね。Instagramで発信することの大事さを知って、いろんな繋がりに助けられて、今ようやく何をしたらいいのかが見えてきた所に立てたので、これから自分のやりたいとを少しずつやっていけたらと思っています。
ニシクボさん、ありがとうございました!
現在は、二子玉川にあるNeighborhood and Coffee tamagawa3で個展開催中です。みなさんも、ぜひ足を運んでみてください。
◆ニシクボサユリ
1988年 三重県立熊野市誕生
2010年 三重県立看護大学卒業
2015年 東京デザインプレックス研究所 空間デザインコース終了
2015年 Instagramへイラストの投稿を開始
現在、独自のスタイルでグラフィックデザインやイラスト制作を行う。
WEB:http://www.sayurinishikubo.com/
Instagram:https://www.instagram.com/sayurinishikubo/
Twitter:https://twitter.com/sayurinishikubo
You tube:https://www.youtube.com/channel/UCmthEX0foRb39YwtJxx20DA
SAYURI NISHIKUBO EXHIBITION vol.4『for CITY BOYS』
開催期間:2017年1月4日(水)~2月18日(土)
場所 :Neighborhood and Coffee tamagawa3(ネイバーフッドアンドコーヒー玉川3丁目店)
東京都世田谷区玉川3丁目34−2 リオ・ヴェルテ
contents:
◾︎illust 『POPEYE』の歴代の表紙をイラスト化し、展示いたします。
※マガジンハウスさんより許可をいただいております
◾︎music
お友達によるライブ
1/14(土) Hina Komoo(@hina098)初ライブ
1/28(土)西村勇気(@yukinishimura1 )弾き語り
◾︎live painting
1/14(土) City Boyのabc(的なやつ)
1/28(土) 鳥コレ2017(みんなで鳥を描きましょう!見に来た方、一緒に描きましょう〜)
come to vist:
6(fri) 8(sun) 11(wed) 14(sat) 20(fri) 28(sat)
2.5(sun) 10(fri) 14(tue) 18(sat)
※予定のため変動あり