CREATOR クリエイティブなヒト
世界の布と雑貨のお店&JOURNEYのつくりかた vol.21|旅するアーティストSATIVAインタビュー
旅するように、心のままに生きるアーティストを訪ねてメキシコへ。
こんにちは!世界の布と雑貨のお店&JOURNEYの未希です。
サンフランシスコに移住して中南米へのアクセスがしやすくなったので、先日さっそくメキシコに買付け旅へと行ってきました!メキシコの中でも決して豊かとは言えない先住民たちの暮らし。そこには生きていく糧となる「手に職」という言葉の持つリアリティーが常に目の前にあります。日々必死にサバイブしながらもカラッと陽気なこの土地の人々と接すると、徐々に自分の中にも強い何かが芽生えてくる気がします。
今回は、旅の末にそんなメキシコへとたどり着き、暮らしている日本人アーティスト、SATIVAの里さんにもお会いして、インタビューをしてきました!彼女とは昨年のメキシコ買付け旅で出会ったご縁から、彼女の作るマクラメアクセサリーをお店でお取扱いしています。メキシコの農民音楽“ソン・ハロッチョ”を学び、演奏者としても活動しつつメキシコで暮らしている彼女のお話を聞いて、旅するように、心のままに生きるヒントをもらってきました。
やりたいこと、できることを全部やったら、生活できるようになった。
― 未希:まずは、里さんの紹介プロフィール、何て表現したらいいのかな?私のお店にとっては、「マクラメアクセサリー作家さん」がメインだけど、ミュージシャンでもあり旅人でもあり…
里さん:「ものづくりの人」って自分では名乗ったりしてるかな。何をして現金収入を得るかで言えば、マクラメアクセサリーは日本に5店舗、メキシコ内では3店舗のお店に卸してて路上売りも時々してます。他にも帽子や石鹸とか色々作ったり。音楽はソン・ハロッチョを週に1回、BARで演奏しています。あとたまにケータリング業も頼まれたり。やりたいこと、できることを全部やったら、生活できるようになった!という感じです。
旅のきっかけは、父の勧めで中米グアテマラへ。
― 未希:長く旅していたみたいだけど、いつから旅をはじめたの?
里さん:15年前に横浜の大学に通っていたんですが、なんだか物足りない…という感覚がありました。父親に相談したら、「グアテマラにでも行って来い!」と言われ、大学2年で休学してグアテマラへ行きました。
― 未希:え!たいていの父親は娘の一人旅は反対するだろうに…父の勧め!?
里さん:父はかなりのラテンフリークでね…。マヤとか中南米の音楽とか、子供の頃から馴染みはあったただけに、行くまでは当たり前すぎて全然興味がなかったんです…。でも実際行ってみたら、小さい頃から聞いていたフォルクローレミュージシャン達に出会ったりして、案外すんなり…しっくりきました(笑)。それから日本とメキシコやグアテマラ、ヨーロッパ、インドとかも旅して、生活と旅半々くらいの日々を続けてきました。
旅する中で出会い、習得していったマクラメ技術。
― 未希:マクラメをはじめたきっかけは?
里さん:アメリカを旅してたとき、トゥクソンていう街で80歳のメキシコ人ドン・ファンさんというおじいちゃんと出会って、彼の麻紐で編む技術を見たのがきっかけです。例えば、椅子の壊れたところを編んで直したり、ボトルケースを編んで作ったりしていました。以前から路上でマクラメの存在は知っていたものの、そこまで興味はなかったのですが、“生活の中で使われている編む技術”を見て、はじめてやってみたい!と思いました。
それからグアテマラ滞在中に、ウルグアイ人のカップルと出会い、仕事に同行しないかと誘われて…その仕事の内容が、お金持ちのマダムに2週間囲われて、朝から晩までマクラメの技術で色々なものを作るという仕事でした。主にテーブルプレートにマクラメ編みで装飾するんですが、ニューヨークの高級ブティックで売られるそうで…「こんなヒッピー達が作ったなんて、きっと考えられないだろうね。」と言いながら作ってました(笑)。二人が沢山の技術を教えてくれて、もくもくと作り続け、作ったものは何でも買い取ってくれました!初心者だったのに、稼ぎながら学べたのはラッキーでした!
― 未希:お金持ちマダム…!商売上手だね、参考になります(笑)。いまや里さんも立派なマクラメアーティストだけど、どんなふうに作品のイメージや仕上がりは決まるの?
里さん:色々あるけれど、アメリカのネイティブアメリカンのアートにはインスピレーション受けてるかな。土っぽい色合いが好きで、仕上がりは自分のセンスに従うだけです。自分が美しいと思ったらおわり、完成!そういえば昔は男性的なデザインが多かったけど、最近女性的な繊細なデザインが多くなったかな。
― 未希:里さん自身が女になってきたからじゃない!?(笑)どんな人に身につけてほしいとかありますか?
里さん:うーん、特にはないけど、単純にそのモノをというよりも、私がつくるモノを欲してくれるお客さんが多くて嬉しいです。あと、オーダーメイドはおもしろい!陶器の作家さんから、私の中ではありえない糸の色の組み合わせ、石の色の組み合わせでオーダーもらったことがあって…私の中に無い色合わせが、編んでみたら美しいと思えるものになりました。その数ヶ月後、その人から「陶器作品作りがうまくいかなくて、里の作品を身につけたら人生が変わる気がして頼んだんだ!そして変わった!」って言われて。私にそんな力があるとは思っていないんですが、彼女自身が信じて人生を変えた事がおもしろいし嬉しかったです。
― 未希:うん、確かに里さんの作品にはポジティブなパワーがある気がする!
メキシコ人は即興で楽しむのが得意。
その場その場を最大限に楽しむ“ソン・ハロッチョ”との出会い。
― 未希:メキシコに住むようになったきっかけは?
里さん:3年前にソン・ハロッチョを学ぼうと思ってメキシコに来ました。しばらくグアテマラに住みながら、メキシコをたまに旅していたんだけど、そのときグアテマラに来たメキシコ人たちが、ハラナ(メキシコの農民音楽ソン・ハロッチョを演奏するための弦楽器)を持って旅をしていて、ソン・ハロッチョというものを教えてくれました。
ソン・ハロッチョとは、メキシコのベラクルス州で演奏される農民の村祭りの音楽。村人が集まってタップダンスの為のタリマというステージを囲んで、様々な楽器を持ち寄った音楽家たちが、叫び歌い、応え、踊って、飲み食いしながら夜を明かすの。祭りでは多いときは100人くらいタリマの周りにミュージシャンが集まるの。素朴で、その叫び歌うところや演奏方法にハマってしまいました。
3年前にベラクルスのサン・アンドレアス・トゥクストラという村で、1週間のソン・ハロッチョの強化合宿が受けられるって聞いて、誰も知らないその村に飛び込んで、気づけば1年住んでいました。
今はオアハカシティーに程近いワヤパンという田舎の村に移り、鳥小屋と畑をはじめました。野菜が育つことが今いちばんの楽しみ。トマト、レタス、パクチョイ、マリーゴールドなど色々育てています。鶏って飼ってみたら意外とデリケートでしばらく卵を産まなかったりもして…だから卵も楽しみですね。山の朝夕焼けを眺めたり、七面鳥やヤギの声が聞こえたり、そんな暮らしが気にいってます。
里さん:ここは、オアハカにもすぐアクセスできる場所で便利です。オアハカは芸術と美術の街で、特に版画が盛んで、アートイベントが盛り沢山。美術を学ぶ環境もあるんですよ。友達がアーティストばかりなので、気づけば自分も絵や版画をかじってやる機会もあったり。
― 未希:日本よりもメキシコでの暮らしに馴染んでる感じですね!
里さん:日本は忙しすぎて飛び出したところがあるかな。日本の自然や食、人、文化は最高で愛して止まないけれど、メキシコは私のリズムに合っている気がします。メキシコ人は前々からの約束はあんまり守らないけれど(笑)、即興で楽しむのが上手で、その場、その場を最大限に楽しんでいます!
どこに住んでも新しい場所をみつけるのはやめない。
― 未希:メキシコでの暮らし、魅力的だなー!旅する生活からすっかり落ち着いたようですが、これからの展望、やってみたいことはありますか?
里さん:そうだね、畑や理想の家や暮らし、落ち着く場所はいいですね。一箇所にとどまり時間が経つにつれ、自分のことを知ってもらえて関係性が繋がっていき、みんなが色々なプロジェクトを持ってきてくれます。旅人と話すときは、すぐに私も旅立ちたくなっちゃうんだけどね。だから旅人心は全然消えていません(笑)。まぁ、どこに住んでも新しい場所をみつけるのはやめないかな。新しいことをはじめるのも好きだしね!
いま行きたいのは、ベラクルス州のある村。3~4世代前の日本人の二家族が移民として住み着いた所で、現在はその子孫がソン・ハロッチョとエコロジーを教えているそうで。メキシコの文化に浸透していった日本人移民。単純にその村のソン・ハロッチョも学びたいし、そこに今でも日本の何かが残ってるのかどうか…見てみたいと思っているよ!
― 未希:まさに旅するような里さんの人生、良い出逢いと探究心があるからこそなのね。これからも里さんの旅のづづきが気になります!どうもありがとうございました。
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&JOURNEY NEWS
【特集】SATIVA マクラメアクセサリー
SATIVAのマクラメアクセサリーの特集コーナーを設けました!すべて一点物の作品たち。随時新商品のアップもしていきます。
メキシコ買い付け旅へ行ってきました!
メキシコへの買い付け旅の様子は&JOURNEYのblogページでも綴っています。また人気のオアハカの刺繍ブラウスをはじめ、今回買い付けた新商品の一部を、早速オンラインショップにて販売スタートしています。ぜひチェックしてくださいね。
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