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今回お話を伺ったのは、有坂 亜由夢さん、おいたまさん、木幡 連さんの3人からなる映像作家チーム「最後の手段」です。(写真左から、有坂 亜由夢さん、おいたまさん、木幡 連さん)
2009年から活動をはじめ、パルコ シブカル祭のスペシャルムービーや、でんぱ組など様々なミュージシャンのMV、Eテレ番組のコーナー担当など、名立たる映像を手掛ける売れっ子映像作家チームです。3人のつくる映像は、どことなく懐かしくて、そして楽しい!そんな映像です。
インタビュー前編では、3人というチームでお仕事をする理由や、お仕事が続々と依頼されるまでの心がけなど伺いました。

『最後の手段』WORKS

170830saigonosyudan_01-22017.4- 「修行クイズ」NHK Eテレ “シャキーン” クイズコーナー


Opening Movie for a Concert Tour of a Japanese Idol Group (digest ver.) from saigo no shudan on Vimeo
2016.1 でんぱ組.inc GO GO DEMPA TOUR 2016 OP Movie(ダイジェスト)

2014.10 シブカル祭2014 SPECIAL MOVIE

楽しいことをやりたい!という共通の想いから結成された「最後の手段」

箱庭:映像づくりを3人ではじめた経緯を教えてください。

最後の手段:有坂が学生の頃に映像を作り始めていて、その頃から有坂は映像づくりを仕事にしたいと思っていたんです。ただ、ほとんど素人だったので、経験と勉強だと思い、友人や知人からの依頼をなんでも受けて制作していました。
当時は、おいたと有坂がシェアハウスをしていたということや、3人が暇だったということなど、いろんな偶然が重なって、たまたまメンバーの有坂から来た映像の仕事をきっかけにチームを結成しましたが、3人共「楽しいことをやりたい」という共通の想いがあったからというのが大きいかもしれません。

箱庭:チーム名「最後の手段」もとてもインパクトのある名前ですよね。

最後の手段:なんとなく決まったのですが、今思うと、有坂は大学院を休学し、おいたと木幡は大学を卒業してフリーターだったので、その時の先の見えない現状を打破したいという気持ちが込められているかと。とはいえ、3人だったので、割とポジティブな気持ちで決めましたが。


ADOBE student pack CM from saigo no shudan on Vimeo
結成当時の作品:2009.12 ADOBE STUDENT AND TEACHER EDITION

ひとりでは発想しないようなシーンが描けるのが、チームでやるということ

箱庭:それぞれ役割があるかと思いますが、普段の作品制作はどのように分担してつくっていますか?

最後の手段:有坂がキャラクターの絵の動き、木幡は背景、おいたはパソコンでの技術面、デザイン面を主に担当しています。映像を作る時は、有坂がメインで動きますが、地道な作業なので、時間がとてもかかり、心身共にボロボロになるので、よく二人に応援して支えてもらっています。

箱庭:チームの良いところですね。

最後の手段:はい。3人チームだといろんなアイデアがぶつかり、自分が予想しない展開に作品が向かっていったり、自分の作品では発想しないようなシーンが描けたりする事も楽しいですね。

手描きやコマ撮りは、人の心にダイレクトに働きかける力がある

箱庭:最後の手段は、手描きやコマ撮りでの制作手法をとっていますが、とても大変で根気のいる作業だと思います。その手法でやって行こうと決めたきっかけなどありますか?

最後の手段:手描きやコマ撮りの手法しか知らなかった、ということがあります。ヤン・シュバンクマイエル監督のコマ撮りアニメーション作品も好きでしたし、手描きのアニメーションを見て育ったので、その影響がとても強いと思います。今も同じ手法で制作し続けているのは、手描きやコマ撮りは、自分の手癖や魂がこもりやすく、人の心にダイレクトに働きかける力があると思っているからです。

箱庭:2009年に活動を始められてから、本当に素敵なお仕事をたくさんされていますが、活動を始めた頃に、お仕事を取るためや活動を知ってもらうため、心がけたことなどありますか?

最後の手段:とにかく来た仕事を一生懸命作るということですね。その映像を見た方が、また仕事の依頼を下さって、、、その繰り返しです。仕事だけではなく、楽しそうな企画や展示などにも、積極的に参加してました。

2017.4 KEIRIN2017 失恋篇(15秒)

箱庭:その丁寧な仕事が、次のお仕事につながるんですね。2017年には競輪のCMにも携わったということで、これまではミュージシャンのMVやEテレのお仕事など、音楽・カルチャーや教養のお仕事が多い印象でしたが、競輪という新しいお仕事への取組みについて後編ではじっくり伺いたいと思います。

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つづく

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