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こんにちは。あいぽんです。

私ごとですが、昨年はじめて滋賀へ行き、琵琶湖や周辺の山々など自然の美しさに感動しました。今年はどこへ行こうかな〜と思っていたのですが、台湾へ行くことにしました!(実は初台湾!)。

私の中で今、アツい滋賀と台湾ですが、偶然にもその滋賀と台湾につながりのある映画『おもてなし』がもうすぐ公開されるということを知りました。滋賀をはじめとする関西で撮影された本作には、琵琶湖や滋賀の山々などが美しく映し出されています。そして、監督を務めたのが台湾のジェイ・チャン監督。日本と台湾の合作で作られた作品なのです。

映画「おもてなし」田中麗奈さんインタビュー

今回は、『おもてなし』に出演され、以前から台湾が好きという女優の田中麗奈さんにお話を伺ってきました。

日台チームで撮影された映画の撮影秘話や映画に関わる上で大切にしていること、そして台湾や滋賀の魅力についても教えてもらいまいた。

 

あらすじ

映画「おもてなし」田中麗奈さんインタビュー

夫が遺した琵琶湖畔の旅館・明月館を守る母(余)と娘(田中)の前に、旅館を買収した台湾人の父(ヤン)と息子(ワン)が現れる。それぞれ断ち切れない過去へのわだかまりを抱く者たちが、旅館の再起をかけ、短期間の“おもてなし教室”で修行を積むことに。文化、性別、歴史背景の違いが作用した結果、各々の人生が周囲を巻き込みながら転換していく。

 

日本と台湾のスタッフで作り上げた映画

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−今回、ご出演された映画『おもてなし』は、日本と台湾の合作ということですが、撮影現場はどのような感じだったのでしょうか?

田中麗奈さん(以下、敬称略):スタッフさんは日本人と台湾の方の半々くらいのチームでした。録音や撮影、照明などの技術さんは、監督と台湾から一緒に来た方が多かったです。

ジェイ監督はプロデューサーも演出も、カメラマンもご自身で担当される方だったので、日本と台湾の合作だから何が違うということよりも監督独自の現場の空気がありました。

すべてご自身で担当される監督さんというのは、あまりいらっしゃらないので、すごく興味深かったです。ひとりひとりの登場人物の気持ちの機微に対して、リアリティを持って描くことを大事にされていたので、そういったところをどうするかというのは結構たくさん話し合いながら演じました。

−今回、タイトルが『おもてなし』ということで、物語の中でも「おもてなし」が重要なものとして出てきました。台湾の方たちから見て日本の「おもてなしの心」というものが新鮮に見える様子が描かれていましたが、同時に私たち日本人も忘れてしまっているんだな…と気付かされる映画でした。田中さんにとって「おもてなし」とはどのようなものでしょうか?

田中:私は20代のときに茶道を習っていたので、そこで「おもてなし」というものを学んだのは大きかったと思います。「おもてなし」というのは、相手の気持ちを思いやる心を大事にすることなんだなと感じたんです。自分のテリトリーの中にお客様をお招きして、おかえりになるまでの間、そこで気持ちよく過ごしてもらうためにどうしたらいいかを考える。お客様にプレッシャーを与えないような動きであったり、さりげなく先回りする行動だったり。そういうものを茶道で学ぶことができたのは勉強になりました。

−茶道は役作りで習われていたんですか?

田中:いえ、役作りではないです。20代前半のとき、中国の方々とお仕事をする機会が多い中、当時の中国の方々は芸能の学校を出られてから俳優のお仕事をするという会話を耳にしたんです。その学校では授業として、自分たちの国の文化や芸事を習うらしいんですよね。

その頃私は、「自然体の演技」と評していただくことがあったのですが、中国の方々の芸を技として学んでることに対して、自分の「自然体」に頼りなさを感じて…。海外に出たときに、私は胸を張って「私は日本の俳優です」と言えるのか…と思ったんです。それで日本に帰って、茶道というものからはじめてみようかと思いました。それからですね。

海外の人たちと一緒にいると、私は日本人として見られるわけですから。日本人の個性、自分だけの個性ってなんだろうとは考えましたね。海外の方々とお仕事をする中で自分の文化を知りたくなったという感じです。

 

スクリーンを通して想いを感じてもらいたい

映画「おもてなし」田中麗奈さんインタビュー

−映画の中でも流暢な中国語が印象的でしたが、以前から中国の方々とお仕事する機会が多かったんですね。中国語お上手ですがどれくらい勉強されているんですか?

田中:最初に中国語をはじめたのは結構前ですね。どれくらいになるんだろうな。5年くらいやりました。

−日本だけでなく、海外の映画にも出演されていますが、田中さんが映画作りに関わる上で大切にしていることはなんですか?

田中:お客様に向けて作るというところは大切にしています。もちろん現場に入れば、その映画の世界の住人になるのですが、観てくださる人にこういう想いを伝えたい、観たときに何か感じてもらいたいというようなことを想像しながら作品に携わっています。

画面の向こう側に何かを届けたいという思いがありますね。「これ!」というわかりやすいメッセージだけでなく、熱くなってもらったり、すっきりした気分になってもらったり、自分のことかもしれないと共感してもらったり。娯楽としての映画の楽しみもそうです。スクリーンの向こう側にそういうものを届けたいという気持ちで映画の世界に入っていますね。

−今回の映画ではどんなことを伝えたいと思ったのでしょうか?

田中:台湾生まれアメリカ育ちの監督が純粋に捉えてくれたことで、自分たちから見ただけでは気づかなかったであろう美しさが映っていると思います。私自身、今回の映画を観て、改めて自分が暮らしている国に対して、「私はそんな素敵な場所に住んでいるんだ」と感じました。

それから、ひとりひとりに父親がいて、母親がいて、悲しいことや挫折もあって、恋をしたり、学生時代の青春があったりする。いろんな人生があって、人それぞれの世界観を持って暮らしていると思うんです。その中で人と人が出会い、同じ場所で同じ景色を見た。そこにささやかな奇跡を感じました。それは実際の撮影現場でもそうでしたし、お客様に「何か」伝われば嬉しいです。

 

ハッとするような滋賀の景色

−私も昨年はじめて滋賀へ行き、琵琶湖を見たんですけど、映画に登場する美しい映像を通して、琵琶湖の別の表情を知ることができた気がしました。撮影は京都、大阪、滋賀で撮影されたとのことですが、撮影中に訪れた場所で印象に残っているところはありますか?

田中:映画にも出てきますが琵琶湖の美しさには、本当にハッとさせられました。心を穏やかにしてくれるというか。そういう自然の美しさもそうですが、京都の町並みも風情があっていいですよね。それが、スクリーンで見るとジェイ監督から見た京都の町というのが映し出されていて新鮮でした。何度も行ったことのある京都だけど、「こんなにきれいなんだ!」と改めて思いましたね。

−撮影の思い出はありますか?

田中:撮影が休みの日は、電車で京都まで足を伸ばし、おいしいお寿司を食べたりしました。京都の友人と待ち合わせて、温泉にも来ました。

映画「おもてなし」田中麗奈さんインタビュー

−今回台湾との合作ですが、台湾も行かれたことはありますか?

田中:何度も行っていますが、何度行ってもいいところですよね。「国立故宮博物院」という博物館はすごく見応えがあって楽しめました。あと、なんと言っても食べ物がおいしい!火鍋もおしいし、甘いものもおいしいし。

まだ街の方しか行ったことがないので、海や自然を見に台南の方に行ってみたいなと思っています。温泉もあるみたいですよね。近いうちに行ってみたいと思っています。

−旅行もお好きなんですよね。普段の休日はどんなことをされているのでしょうか?

田中:結構、スケジュールを入れるタイプなんです。ひとりで出かけるとしたら、舞台や映画に行ったり、トレーニングで体を動かしたり、中国語、日舞もやっています。昼間はそういう自分の時間にして、夜はゆっくり食事を楽しめたら最高ですよね。

あと、本を読むのが好きなので、家で読書をすることも多いです。本は小説も自伝も、ミステリー、エッセイ、海外の作品、学者や医者の方が書かれたものなどを読みます。

−すごいですね!幅広いジャンルを読まれるんですね!

田中:そうですね。本自体がすごく好きなんです。お休みの日は自宅やカフェで読んだり、いつも持ち歩いてもいるので移動中で読んだりしています。

映画「おもてなし」田中麗奈さんインタビュー

−今後挑戦してみたいことややってみたいことはありますか?

田中:台湾へ行きたいですね。まだ行ったことのないエリアもたくさんあるので、足をのばして行ってみたいし、深掘りしたいなと思っています。おいしものを食べて、マッサージとかもうけて。まだ知らない台湾をもっともっと知りたいなと思っています。

新しい日本の美しさに気づける映画『おもてなし』は、3月3日より公開です。ぜひ、美しい映像と世界観、そして映画作りに携わった方々の想いをスクリーンを通して感じてみてください。

  • 映画『おもてなし

  • 監督:ジェイ・チャン
  • 脚本:ジェイ・チャン/砂田麻美
  • プロデューサー:北川淳一/ジェイ・チャン
  • 田中麗奈/ワン・ポーチエ/余貴美子/ヤン・リエ/ヤオ・チュエンヤオ
  • 配給:松竹撮影所/ニチホランド
  • HP:http://omotenashi-movie.net/