CREATOR クリエイティブなヒト
【WHO’S HOT?】グラフィックデザイナー・スカーフブランド「La」主宰/多田明日香さん
今月より新しいコーナー【WHO’S HOT?】がはじまります。
箱庭ではこれまでもアートやデザインを中心に、日常の中にあるクリエイティブなモノ・コトを発信してきましたが、このコーナーでは箱庭編集部メンバーが週替わりで、注目のクリエイターを毎週1名ずつご紹介していきます。箱庭編集部が「激アツ!」と感じた方ばかりを紹介していきますので、ぜひ毎週チェックしていただけたら嬉しいです。
第一回は、編集部の森が気になったグラフィックデザイナー・スカーフブランド「La」主宰/多田明日香さんをご紹介します。
「La」の作品
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私が今年初めて訪れた展示が、2/11まで開催中の多田さんの個展「やわらかな四角形」でした。
以前からInstagramで多田さんが手がける「La」のスカーフや制作風景を拝見していましたが、展示ではスカーフはもちろんのこと、スカーフを使った投影のインスタレーション、光の使い方が素晴らしい展示構成、そして展示で綴られた言葉を拝見し、多田さんの世界観に圧倒されたんです。

多田さん曰く、作品は偶然生まれる色のグラデーションや、自分の予想をこえた現象を楽しんでいるそうですが、展示自体は細部の細部まで美しく、偶然と緻密さのバランスが最高だと感じました。多田さんの世界をWEB上でも感じてもらえたらと思っています。(編集部 森)
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●プロフィール
多田明日香
1986年生まれ
2010年 武蔵野美術大学基礎デザイン学科 卒業
2012年 押し花で女性の骸骨を形づくった作品『flora』を自費出版。
2015年 飛鳥新社より『flora』を一般発売。
現在、広告代理店で働きながら作家活動を行なっています。
2016年からはセルフワークとしてブランド「La」を立ちあげ、オリジナルのスカーフを展開しています。
●どんな活動・作品づくりされていますか?
多田明日香さん(以下、多田さん):普段は広告代理店でアートディレクターをしていますが、消費されるのではなく、手元に残り、使ってもらったり、大切にされるものをつくりたいという想いからブランドを立ち上げました。
ブランドの名前は「La」。
赤ちゃんの産声も、オーケストラのチューニングも「ラ」の音階と知り、身にまとうと何かをはじめたくなるものを生み出すという意味をこめて、はじまりの音である「ラ (La)」をブランド名にしました。
主に、日常や旅先で見たもの感じたものをグラフィックに落とし込んだ、彩り豊かなスカーフを展開しています。
スカーフの制作だけではなく、パッケージ、ポスター、カタログ、WEB、トータルでデザインしています。
そしてスカーフにはその柄にまつわるコンセプトストーリーを添えているのですが、その文章を考えるのも私の大切な創作の一部です。
スカーフ以外の作品を作ることもあります。
その時々で表現したいものにあった手法で作品をつくり展示などで発表しています。
●創作活動の作品に対するこだわりを教えてください。
多田さん:スカーフの柄を作るときでもいつも違う手法を試すようにしています。
夜のネオンや、陽の光をイメージして水彩で着彩した紙を穴あけパンチやシュレッダーで分解し、並べ直して作ったscrapシリーズ。
「scraps of sunlight」
想像してみる 明るい太陽のした
足下におちる短い影のことを
背中にかすかに刺さる芝生のことを
シャツに書かれた模様は目に焼き付き
残像となってまぶたの裏にまで残ることを
「scraps of chat」
周波数を合わせたら、
洪水のように音が流れ出るディスクジョッキーの、
底抜けに明るい色鮮やかな声のおかげで一日がはじまる。
いつかみた風景をイメージして選んだ絵の具をグチャっと混ぜて作った「diary」という柄。
「diary」
私たちはさまざまな色に名前をつけたが、
この世には名前をつけられない色の方がずっと多い。
そんな色たちに、いつのころからか憧れている。
今年の新しい柄「angle」は、着彩した布を鏡に映し、鏡の像を撮影して作っています。
「angle」
わたしはあの子が羨ましい。
でも誰かは私を羨んでいるかもしれない。
鏡の角度をチラチラとかえるように、
ものごとの味方、考え方の角度を容易に変えられたら どんなに楽だろうかと、
鏡の前に立つ日曜の夜に。
手法は違えど、どの柄をつくるにしてもアナログな手法と偶然性を大切にしたいと
いつも思っていて、細部まで計算されたものではなく、偶然生まれる色のグラデーションや、
トリミング、ゆがみ、自分の予想をこえた現象を楽しんで作っています。
●展示やイベントなど、これからの活動予定を教えてください。
多田さん:現在調布にあるたづくり会館では個展「やわらかな四角形」をおこなっています。
これまでに作ってきたスカーフやコンセプトストーリー、柄の原点にもなった旅の記録などがご覧になれます。
そしてこれまで10年間で撮りためた写真使ったインスタレーション作品「Trimming」は是非見ていただきたいです。タイトルの通り、白い布に投影された写真がトリミングされ新しいスカーフの柄となって浮かび上がってくる作品。私自身、この作品の前に立つ度、新しい柄のヒントがないかとぼんやり眺めてしまいます。
2月からは新しい柄があがってくるので、東京や京都などでのpop upイベントなども予定しています。
もっとたくさんの方にLaのスカーフを見てもらえるような機会をどんどん作っていきたいと考えています。
●今後やってみたいことがあれば、教えてください。
多田さん:今はスカーフがメインですが、トートバッグなどスカーフ以外のアイテム展開をしていきたいと模索しています。
あとは、去年あるイベントがきっかけでつくった、スカーフの制作の過程で出た
「なんか使えそうだから捨てられない」端材や材料を使った「hoarding object」という作品があるのですが、
ブランドのスピンオフ的な見せ方でまた何かできないかなぁと思っています。
また、スカーフ以外の作品も発表する機会をいただくこともあるので、自分自身で領域を決めつ けず、ものを作ることを続けていきたいです。
中でも、詩や文章を書くことは、自分にとってとても思入れのある創作なので、これから機会をもっと増やしていきたいと思っています。
私は欲張り且つ飽きやすい性格もあって、ものを作るときは、誰よりもまずは自分が感動できるものを作りたいと思っているので、もしかしたら、今思い浮かんでいるものとは全く違うものを作っているかもしれません。
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◆グラフィックデザイナー・スカーフブランド「La」主宰/多田明日香
「La」WEB:http://la-showcase.com/
「La」Instagram:https://www.instagram.com/La_showcase/
多田明日香 WEB:http://asukatada.com/
◆多田明日香個展「やわらかな四角形」
開催期間:2018/12/22(土)~2019/02/11(月)
時間:10:00~18:00
入場料:無料
会場:文化会館たづくり 1階展示室
東京都調布市小島町2-33-1
URL:https://www.chofu-culture-community.org/forms/info/info.aspx?info_id=10659