CREATOR クリエイティブなヒト
温泉街で暮らすうつわ作家 椎猫のコラム「白魚さんの日常」vol.2

こんばんは。椎猫白魚(しいねしらうお)です。数年前から、縁もゆかりも無かった佐賀県の嬉野温泉で有名な街へ移り住み、うつわなどを作っています。
このコラムでお届けするのは、縁もゆかりもない地方の街で暮らす作家の日々です。作る人にとって制作環境やその周辺のことはとても重要だと思っていて、都市や地元とは違う、知らない地方で暮らす作家の日々の生活ってこんな感じなんだなぁ〜と感じてもらえたら嬉しいです。
今回の内容は、こちら!
連載第二回は、「街の本屋へ行こう」「5月の焼き立ての器」「作品探しに旅館へ行こう」の3本です。
さ〜てはじめは、
街の本屋へ行こう
レモンの栽培は簡単です。ただ、太陽の光が好きですから、日当たりのいいところに植えること、花がつき始めるころ水不足になるとせっかくの花が落ちてしまうそうなので、水を欠かさないことぐらい、を守ればいいのです。”レモンブック” 北村光世より
植物が欲しいと思うことは多々あるけど、植物を育てたいと思うことを教えてくれたのは、この本だと思っています。北村光世さんのレモンブックは、イタリアから鎌倉の食卓まで、レモンと巡る素敵な旅に導いてくれます。この本を読んでからというもの、春になると近くの園芸屋さんでレモンの木を一本買って、育てるようになりました。ふと、街の本屋に最後に行ったのはいつだろと思いつつ、街の本屋に行ってみたくなったのです。
まじで小学生ぶりかもと思わせる風格。これは、街の商店街には必ず一軒はある本屋さん。行ってきましたBOOKS KOGA。
買ってきました本。それより、何が良いかって、この袋が良い。中身が見えるか見えないか薄い紙袋。それに黄色と黒のありがとうシール。本が入ったこの袋を片手に持つだけでもう最高です。
さて、お次は
5月の焼き立ての器
アイスコーヒーは歪んだコップにかぎると思うのです。
今月の焼き立て器は、フルーツの絵柄が描かれたコップです。このコップに描かれた絵がフルーツに見えるか見えないかは、どうでもいいのです。とにかくゴロっとした氷を5、6個ざっとコップに入れて、コーヒーを注げばいいのです。一口飲んで見れば分かる。なんだか歪んだコップで飲むアイスコーヒーは美味しい。
最後は、こちら!
作品探しに旅館へ行こう
良い旅館には良い作品がある。こう思うきっかけをくれたのが、嬉野温泉にある旅館 大村屋さんなのです。作家と宿と言えば、色々なエピソードが思いつく方も多いと思います。さて本日、ご紹介したい旅館 大村屋は、嬉野温泉で最も古い歴史を持ち、文人たちにも愛されてきた老舗旅館なのです。大村屋さんの広い玄関を入ってロビーを抜けたところに、湯けむりラウンジというレコードや本が楽しげに置かれたところがあるのですが、一番良く見える壁に、明治の三筆の一人としても有名な書家 中林梧竹の書があるのです。
エピソードには、”大正11年の嬉野大火の際、嬉野川に投げてまで守った唯一の書です。”とあります。当時の旅館と作家との切っても切れない関係が想像出来てワクワクです。
ちなみに書にかかれている”万大利”とは、”大いなる利益”という意味があるみたいです。
少し落ち着いたら、良い作品や良いエピソードを探しに旅館に泊まりに行っても楽しそうですね。
それではまた〜
登場人物:旅館 大村屋 @oomuraya イラスト:daimonhikari @daimonhikari
椎猫白魚 / 器作家
東京生まれ、長崎育ち。佐賀のとある温泉街でうつわを作っています。植物にまつわる器や食器など。最近は地元の作家とお土産作りをしたり、リバーサイドハウスの準備をしている。「ハマ」2019/RIVER SIDE HOUSE (by Ryokan Oomuraya)、「嬉野に越して来た大門と中村と生まれも育ちもここの宮崎がやる展示」2019/旅館大村屋 湯上り文庫など。
ウェブサイト:https://siineshirauo.thebase.in/
Instagram:https://www.instagram.com/shiineshirauo/
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