CREATOR クリエイティブなヒト

くらもちあすか「NEW TONE」No.04

くらもちあすか「NEW TONE」No.04

作家のくらもちあすかです。 わたしは普段、花やイラストなどを使った作品を制作しています。 最近は主に、花を解体し再構成してモチーフを作り上げる「Ohana-Mi」シリーズや、 モチーフの名称を分解してその文字だけでモチーフ自身を描く「言葉のラクガキ」シリーズなどを制作しながら、 日常をより愉しく過ごせるような視点を模索していきたいと思い、日々制作に勤しんでいます。

そんなわたしは、このインターネット時代において何かを調べることがとても苦手な人間です。 ですので、普段から知らないことも多く、色々と知識が乏しいのがコンプレックスではあるのですが、 探求する能力を少しでも高めていくという意味でも、連載を通して学ぶことができればと思いました。

有名なアイザック・ニュートンは、リンゴが落ちる様子を見て「リンゴはなぜ落ちるのか?」と考え、万有引力の法則を発見したと言われていますが、 この逸話の真相はわかりません。しかし、世の中には「なぜ?」などの疑問から出会う発見がたくさん存在します。 人の価値観が多様化しているなかで、様々な角度から物事を考える視点を持つことは大切ですが、 普段、何気なく眺めている花や植物も「なぜ?」を深掘りすることで、普段気づかなかった何かを見つけることができるかもしれません。 そんな好奇心を大切にしながら、図鑑を制作していくような気持ちで改めて花や植物と向き合い、新しい色彩 (TONE) を見つけることができればと思います。


Chrysanthemum / 菊

第四回目は「Chrysanthemum / 菊」について調べてみました。英語の読みが難しい菊ですが、「クリサンセマム」と読むそうで、読み方が長いことから略して「マム」と呼ぶこともあるそうです。 昔は、お盆の時期やお墓参り、お葬式などでよく見かける機会が多かったので、わたしの中ではお供えする花という印象が強い植物でした。それ以外でも、タンポポみたいな黄色の菊が、大根や大葉と一緒にお刺身のつまとして添えられていたりしますが、ある時、葬式の食事の際に、おじいちゃんやおばあちゃんが花びらを散らして食べている様子を見て、初めはとてもびっくりしました。もともと飾りとして彩りをプラスしているものだと思っていたので、あの菊は飾りなのか、間違えて食べてしまったのか、子供ながらに気になった記憶があります。

くらもちあすか

「Chrysanthemum」
・科名 : キク科
・原産地 : 中国など
・開花時期 : 9月~11月頃

菊は秋を代表する植物の一つで、多くの菊は秋に開花しますが、品種改良を重ね種類も増えたことで、今ではオールシーズン楽しめる花となりました。とにかく種類が豊富で、小ぶりな花もあれば大輪の花もあったりと、咲き方も一重咲きや八重咲きだけでなく、花びらが丸く集まって咲くポンポン咲きというものもあったりと、今では色々な菊を花屋でも見かけることができるようになりました。 また用途も観賞用だけでなく食用や薬用にも使われており、菊には解毒効果があることから、悪くなりやすい生物のお刺身などに殺菌する目的で、一緒に添えるのだそうです。昔は今みたいに「冷蔵する」ということがそこまで発達していなかったことから、食中毒を防ぐ意味でも添えられていたそうで、お刺身と一緒に出てくるのは、とても理にかなったことのようでした。 もちろん食べても効果があり、解毒効果や抗酸化作用がある成分が多く含まれていたり、さらに癌予防や中性脂肪を下げる効果もあると言われています。

くらもちあすか
花を分解した画像

また菊の歴史は、奈良時代から平安時代頃にかけて、中国から薬草として日本へ伝わったとされている植物で、江戸時代に入ってから品種改良を重ねブームになったと言われています。現在では、日本でもとても馴染みのある植物となり、皇室の紋や50円玉硬化などの絵柄にも使われていたりと、桜と並ぶ国花でもあります。今では切り花の生産量としては、近年で一番多く取り扱われているそうで、お供え用の花以外でもよく見かける植物となりました。

くらもちあすか
花を再構築した画像

案外、菊を調べてみると、身近な場面でモチーフとして使われている機会も多いことに気づき、お供え用だけではなく、改めて日常との関わりを感じることができました。菊の花言葉や由縁も「高貴」や「高尚」「長寿」などの、良いイメージの意味合いが多く、様々な場面で見かける理由も今回、色々調べてとても納得しました。もしかしたら、あの時、お刺身の菊を当たり前のように食べていたおじいちゃんやおばあちゃんも、その効果を知りながら食べていたのかもしれないと思うと、違和感を掘り下げなければそのまま偏見を持ったままだったかもしれないと少し反省しました。色々な違和感に気づき、その意味や真意を調べてみれば、勘違いがなくなりもっと人に優しくなれるのではないか、と思う今日この頃です。

くらもちあすか / Asuka Kuramochi

茨城県出身。現在は東京都に在住。ぼかしたり、くずしたり、再構築したりなど、モノの見方や新たな側面を考えた作品を展開。近年では、花を解体し再構成してモチーフを作り上げる「Ohana-Mi」シリーズや、モチーフの名称を分解してその文字だけでモチーフ自身を描く「言葉のラクガキ」シリーズを制作するなど、日常をより愉しく過ごせるような視点を日々模索中。

WEB:https://asukakuramochi.com
INSTAGRAM:https://instagram.com/kuramochiasuka
TWITTER:https://twitter.com/KURAM0CHI

Design : So Kogure
WEB:https://ousia-ism.com
INSTAGRAM:https://instagram.com/sokogure

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