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大伴亮介の「日常ワンシーン画」 Vol. 1 納豆

大伴亮介の「日常ワンシーン画」 Vol. 1 納豆

イラストレーター・デザイナーの大伴亮介(おおとも りょうすけ)と申します。
このたびhaconiwaさんでコラムを連載させていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。


日常にはさまざまなワンシーンが存在します。
しかし、そのほとんどはとくに心になにかを残すこともなくそのまま流れ去ってしまいがちです。
そんなはかない記憶の雑魚をすくいあげ魚拓のようにイラスト化し、そこになにかしらの考察を記していこうというのがこのコラムの趣旨です。
個人的な経験が舞台とはなりますが、皆様にもなにかを感じとっていただけたら幸いです。


第1回 「納豆」のワンシーン

日常には納豆が登場します。
食べる人がいれば、食べない人もいる。それが納豆です。
今回はそんな納豆にまつわるワンシーンをすくいあげていきます。

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【1】納豆のパックが裂けるシーン
納豆
点線にそってピリピリとやぶいていくと、途中でバビッと激しくコースアウトする瞬間があります。ひどい時だと容器の底のほうにまで亀裂が走ってしまうこともあり、納豆が液体じゃなくてよかったと胸をなでおろします。

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【2】セロファンに付いた納豆がとれないシーン
納豆
最後まで粘る一粒がいます。がんばって箸でこそぎ落とそうとしても、空中で不安定になびく薄いセロファンから粘り気のある小粒をはがして落下させるのはとても難しく、大切な時間がただむなしく過ぎていきます。

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【3】冷蔵庫から出したばかりの納豆が硬いシーン
納豆
冷えすぎた納豆はリクガメの甲羅のように硬化しており、かき混ぜようにも箸が入らないことが多いです。ここで力任せにやってしまうと勢いあまって箸がパックの底まで貫通する事故がおこるので注意が必要です。

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【4】納豆の糸が風でなびくシーン
納豆
納豆を持ち上げる瞬間と扇風機の首振りがこちらを向くタイミングがシンクロしてしまうことがあります。風をうけた納豆の糸はまるでiPhoneのデフォルト壁紙のような美しさでふんわりと宙を舞います。

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【5】1パック抜いた納豆のラベルがゆるむシーン
納豆
納豆のパッケージラベルは1パックでも抜けるとテンションを失いゆるゆるになってしまいますが、賞味期限がパック自体に印刷されていない場合があるのと、パックだけだと白くて地味なので冷蔵庫内で目立たなくなる(食べ忘れてしまう)恐れもあるため、ラベルはどうも捨てづらいのです。

納豆
のこり1パックの状態。
もはや納豆本体よりもラベルのほうが多く空間を占めており、古いゲームに出てくるジャンプ台のようにボインボインと冷蔵庫内で揺れつづけます。

納豆
最終的にはラベルの接着部分が剥がれてしまうこともあります。
束ねる機能すら失ってただのペラペラした物体と成り果てても、ラベルを捨てることはできないのです。

それでは、そろそろ。
次が今回のラストシーンです。

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【6】納豆のタレが予想外の方向に出るシーン
納豆
タレが出る方向は完全にランダムなので人間の力でコントロールすることはできません。どんな角度で放たれても対応できる心構えが大切です。

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以上です。読んでいただき本当にありがとうございました。
皆様よいワンシーンをお過ごしください。

大伴亮介
イラストレーター・デザイナー。図形や色面を使った絵づくりベースに、商品や広告などのビジュアル制作をおこなっています。
日常のささいな瞬間を切りとって描いた「ワンシーン画」シリーズはSNSにて随時更新中です。

Web: https://www.r-otomo.com/
Twitter: @R_OTOMO
Instagram: @otomoryosuke

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