CREATOR クリエイティブなヒト
温泉街で暮らすうつわ作家 椎猫のコラム「散歩時間」Vol.3

こんばんは。椎猫白魚(しいねしらうお)です。数年前から、縁もゆかりも無かった佐賀県の嬉野温泉で有名な街へ移り住み、うつわを作ったり、お店でお茶を入れたりしてます。
このコラムでお届けするのは、日々の生活の中にある散歩の時間です。
ものを作っていると、ふと散歩に行きたくなります。人が作った道をただただ歩く。
そんな時間の中には、今まで気が付かなかった沢山の生き物たちの暮らしがあるような気がします。
このコラムでは、散歩の楽しみ方についてお届けできたらと思います。
第三回:知らない町を歩く。
初めて来た町を一人で歩くのって勇気がいる気がする。今日はちょっと勇気を出して。
日も伸びてきた16時すぎ、ドライブの途中でふと降りた山麓の町。風が一段と冷たい。長いダウン着てくれば良かった。
この辺りは羊羹が有名らしい。そう小城羊羹、聞いたことがある。今日は食べてみたい。
こっちいこ。
人気がなくなった。いい雰囲気。人ひとり通れるくらい路地。
コツコツと自分の足音が聞こえる。静かだ。
鳥居の下に羽の生えたカワウソの小さな人形が落ちていた。隣に10円あった。
ちょっと怖い。やっぱり知らない町、知らない路地、知らない神社にいるし。もう夕暮れだし。
足早に足早に足早に。
まだ路地。ここいけるのか。
あっ、種。かわいい、いや行こ行こ。
ポケットにはいつ取ったか分からない種がまだ入ってる。この種とミックスして良かったのかな。
そろそろ植えてみるか。
なんかやっと出た。そしてあった羊羹屋さん。
湯呑に注がれたお茶を飲みながら、今朝は霜が降りたとか、息子は大阪で働いているとか、若い子は羊羹を知らないとか、お店の人と少し話しをした。外側が砂糖でシャリっと硬いこの羊羹。ほんのりと甘く素朴な味だ。
さあ帰ろう、また次の散歩で。
散歩場所:佐賀県小城市小城町周辺
今号のおすすめ作品「果実のコップ」
果物のような釉薬の流れが綺麗なコップ。温かいお茶を入れて飲みたいですね。
オンラインストア:https://siineshirauo.thebase.in/items/58990446
※1点ものです。販売が終了している場合もございます。
佐賀県のとある温泉街でうつわを作っています。植物にまつわる器や食器など。
コーヒースタンド&本&ギャラリー おひるね諸島を運営。週末はお店でお茶を入れたりしています。
ウェブサイト:https://siineshirauo.thebase.in/
Instagram:https://www.instagram.com/shiineshirauo/
TOP画像イラスト:大門加画 @daimonhikari
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