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大伴亮介の「日常ワンシーン画」 Vol. 2 シャーペンの芯

大伴亮介の「日常ワンシーン画」 Vol. 2 シャーペンの芯

こんにちは、イラストレーター・デザイナーの大伴亮介です。

日常にはさまざまなワンシーンが存在します。
しかし、そのほとんどは心にひっかかることもなくただ流れ去って消えてしまいがちです。
そんなはかない記憶の雑魚をすくいあげ魚拓のようにイラスト化し、そこになにかしらの考察を記していこうというのがこのコラム『日常ワンシーン画』です。
個人的な経験が舞台とはなりますが、皆様にもなにかを感じとっていただけたら幸いです。


第2回 「シャーペンの芯」のワンシーン

日常にはシャーペンの芯が登場します。
使う時があれば、使わない時もある。それがシャーペン。そして芯。
今回はそんなシャーペンの芯にまつわるワンシーンをすくいあげていきます。

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【1】出しすぎたシャーペンの芯を押しもどすシーン
シャーペンの芯
芯がスススと筒に戻っていく感覚。摩擦で削れる黒い粉。垂直をキープしながら折れない程度の力加減で慎重に押していく。地味に集中力と高度なテクニックが必要とされるシーンです。

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【2】芯が多すぎて入りきらなかったシーン
シャーペンの芯
一度にたくさん入れたすぎて入りきらないことがあります。芯が切れてイライラする回数をすこしでも減らしたいという欲深さが原因で、このような状況になってしまう人は『舌切りすずめ』で「大きなつづら」のほうを選びがちです。

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【3】床に落ちたシャーペンの芯が拾いづらいシーン
シャーペンの芯
落ちたら拾いづらいものランキングではかなり上位にランクインしそうなシャーペンの芯ですが、そもそも人類の指先のほうがシャーペンの芯を拾うのにきわめて適していない形状なだけのような気もします。

シャーペンの芯
教室の床の隙間に落ちてしまった芯は、もう永久に拾い出すことができません。

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【4】折れ飛んだ芯の破片を発見したシーン
シャーペンの芯
どこかへ飛んでいった芯のゆくえがわからず安眠できないこともあるかと思います。折れた瞬間に視界からフレームアウトした残像の軌跡をはっきりと思い出し、その方角を重点的に探すことが発見への近道な気がします。

シャーペンの芯
指の腹でおさえつけて拾い上げると、芯の跡がのこります。

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【5】終わり間際の芯が引っ込むシーン
シャーペンの芯
詳細は謎に包まれていますが、終わりかけの芯はいきなり引っ込む仕組みになっています。書き途中で引っ込むとペン先の金属で紙をえぐってしまうことがあり、しかし引っ込むタイミングの予測はできないため、常に気が抜けません。

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【6】芯が終わったシーン
シャーペンの芯
魂が宙に消えていくように音もなく抜け出る芯。ああもう終わったんだなという気分になります。

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芯も終わったので今回は以上です。ありがとうございました。
皆様よいワンシーンをお過ごしください。

大伴亮介
イラストレーター・デザイナー。図形や色面を使った絵づくりベースに、商品や広告などのビジュアル制作をおこなっています。
日常のささいな瞬間を切りとって描いた「ワンシーン画」シリーズはSNSにて随時更新中です。

Web: https://www.r-otomo.com/
Twitter: @R_OTOMO
Instagram: @otomoryosuke

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