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大伴亮介の「日常ワンシーン画」 Vol. 3 カフェ

大伴亮介の「日常ワンシーン画」 Vol. 3 カフェ

こんにちは。イラストレーター・デザイナーの大伴亮介です。

日常にはさまざまなワンシーンが存在します。
しかし、そのほとんどは心にひっかかることもなくただ流れ去って消えてしまいがちです。
そんなはかない記憶の雑魚をすくいあげ魚拓のようにイラスト化し、そこになにかしらの考察を記していこうというのがこのコラム『日常ワンシーン画』です。
個人の経験が舞台とはなりますが、皆様にもなにかを感じとっていただけたら幸いです。


第3回 「カフェ」のワンシーン

日常にはカフェが登場します。
飲み物や軽食、スイーツがあり、テーブルも椅子もある。カフェ。
今回はそんなカフェにまつわるワンシーンをすくいあげていきます。

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【1】コースターがくっついてくるシーン
「カフェ」のワンシーン
なにかの現象によってコップにコースターがぴったりと付着してくることがあります。付いてきたことに気づかないままコップを口へはこび、飲む寸前でポロリと落ちてビックリすることもあります。

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【2】メニューが不安定なシーン
「カフェ」のワンシーン
壁際ではないテーブルのメニュー立てには、息をのむ緊張感がただよっています。サイズも厚みもバラバラな紙の束を下の器具が必死で支えており、ちょっとヒジでも当たろうものなら即崩壊しかねないアンバランスさが独特です。

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【3】メニューの裏面を見たが何もなかったシーン
「カフェ」のワンシーン
人生に「無の時間」は数多く存在しますが、メニューの裏が白紙だったことを確認した1秒間はその最たるものかもしれません。絵でも模様でもなんでもいいのでせめてなにかが印刷されていればめくって見た意味がゼロではなかったはず。「ラミネート加工された白紙」というアート作品を見たと考えればいいのでしょうか。

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【4】空席だと思って近づいたら背もたれで見えなかった荷物があったシーン
「カフェ」のワンシーン
フードコートでも頻繁に起こるシーンですが、混んでいる人気店ではまず席の確保が最優先課題となるので、人々は目を見開きながら鬼の形相で空いている席を探します。いいかんじの空席を発見して早足で近づいたら小さな荷物が「あ、ども」みたいに置いてあって、心の中で大きな舌打ちが鳴ります。

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【5】テラス席の強風で飛びそうな紙ナプキンをおさえるシーン
「カフェ」のワンシーン
テラス席はすばらしいものですが、困るのは風です。とくに紙ナプキンはちょっと油断するとすぐに吹き飛ばされてしまいます。くしゃりと丸めたところで西部劇に出てくる草のかたまりのようにコロコロと転がっていってしまうので、なにか重みのあるものでおさえなければいけません。

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【6】すする音が鳴りそうなギリギリで吸うのをやめるシーン
「カフェ」のワンシーン
ズビズビと音が鳴ってしまうことは避けたいが、ジュースはできるだけ最後まで飲みたい。このジレンマはスマートに解決したいものです。水位が下がっていくスピードとジュースに混ざりはじめるわずかな気泡から判断し、「これ以上はいけない」というギリギリのボーダーラインで吸引をストップする。それがベストです。

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【7】濡れたマドラーをミルクの空き容器にさして置くシーン
「カフェ」のワンシーン
液体をかきまぜて濡れたマドラーをそのままテーブルに置くわけにはいきません。ではどうすべきか。ちょうどそこにあるのはミルクの空き容器。箸袋を折って箸置きをつくるようなDIY精神で一件落着です。

「カフェ」のワンシーン
砂糖のほうですが、使い切らなかった場合はこのように折って置いておきます。中身をぶちまけたら悲惨だからです。

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【8】イチゴがケーキにめり込むシーン
「カフェ」のワンシーン
「ケーキのイチゴを最初に食べるか最後に食べるか」という話がよくありますが、最初に食べるとこのようにめり込むことがあります。ずぶずぶと沈んでいくイチゴ。もう刺しきるしかないフォーク。ふんわり優しくつくられた上質なクリームのケーキほどめり込みやすいというのも皮肉な話かもしれません。

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【9】こぼした水に投入した紙ナプキンが無力なシーン
「カフェ」のワンシーン
棄権寸前のボクサーに投げるタオルのように急いで投入するも、水を吸うどころかまるで雪解けのような美しさで水と同化するナプキン。ぐっしょりと濡れた紙ゴミがただ増えただけという悲しい状況に。

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今回は以上です。どうもありがとうございました。
皆様よいワンシーンをお過ごしください。

大伴亮介
イラストレーター・デザイナー。図形や色面を使った絵づくりベースに、商品や広告などのビジュアル制作をおこなっています。
日常のささいな瞬間を切りとって描いた「ワンシーン画」シリーズはSNSにて随時更新中です。

Web: https://www.r-otomo.com/
Twitter: @R_OTOMO
Instagram: @otomoryosuke

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