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温泉街で暮らすうつわ作家 椎猫のコラム「散歩時間」Vol.5

温泉街で暮らすうつわ作家 椎猫のコラム「散歩時間」Vol.5

こんばんは。椎猫白魚(しいねしらうお)です。数年前から、縁もゆかりも無かった佐賀県の嬉野温泉で有名な街へ移り住み、うつわを作ったり、お店をやったりしてます。


このコラムでお届けするのは、日々の生活の中にある散歩の時間です。
ものを作っていると、ふと散歩に行きたくなります。人が作った道をただただ歩く。
そんな時間の中には、今まで気が付かなかった沢山の生き物たちの暮らしがあるような気がします。
このコラムでは、散歩の楽しみ方についてお届けできたらと思います。


第五回:サマーアイランドシティ

散歩時間

今年の夏の思い出と言えば、毎日寝る前に天気予報をチェックして、明日の気温は32度、明後日は34度、週末は36度!?って、日々下がることのない気温をひとりベッドで唱えながら、扇風機、強の風を抱きしめて眠る夜だ。

散歩時間

まったく出かけることがなかったこの夏。もう夏が終わってしまうっと焦りだしたこの夏。夏休みの宿題なんかないのに、どうしてもどうしても最後にこの胸にこの夏を残したいと思いやってきた八月の終わり。とある島。

散歩時間

今回の散歩は、島は島と言っても人工的に作られた島の散歩。なぜか島と聞くより、人工島と聞くほうがなんだか涼しそうに聞こえる。なんだ、この良い階段。

福岡アイランドシティ。博多湾に建設された人工島。1994年に福岡市の港湾機能の強化を目的に工事が始まり、2002年から主要幹線道路の供用。2005年からまちづくりエアリアの入居開始。2021年10月末時点で約1万3千人、4400世帯が暮らす。

散歩時間

透き通った青い芝生の香り。ミントのタブレットを口に含んだように鼻の中をすうっと抜ける爽快さ。
実家の裏山の香りは土っぽく、微生物のような生きものと混ざったような香りがする。同じ自然の香りでも、場所によってまったく違う。

この景色はまだ20年も経っていない。曲線を生かした広い道、潮風が心地よい展望デッキ、勾配のないまっすぐな道路。新しい町を歩いていると、なぜか昔の記憶を思い出すことがある。

散歩時間

散歩時間

もうお昼だ、ちょっと休憩。

散歩時間

体験学習施設「ぐりんぐりん」。花とみどりをテーマとするスペースには、亜熱帯の植生展示を中心としたスペース、ワークショップやガーデニング体験が可能なスペース、緑に囲まれたフリースペースとそれぞれ異なる3つの内部空間がある。設計は伊藤豊雄さん。3つの連続したシェル構造が特徴で、ゆるやかな曲線はコンピューターシミュレーションによって修正を加えられながら、力学的に合理的な形状で作られている。

散歩時間

散歩時間

梅雨が終わる頃に、古い一軒家に引っ越した。毎朝玄関を開けると一匹の青いトンボがいる。毎日玄関を開けるたびにビューンと飛んでくるから、会うたんびに挨拶するようになった。

散歩時間

散歩時間

夏も終わる頃に少し気になって”トンボ 寿命”ってネットで調べたら、成虫になってからの寿命は二、三ヶ月程らしい。あの青いトンボに会ってもう三ヶ月だ。

散歩時間

散歩していると、ふと記憶の散歩に迷い込むことがある。曖昧に進む時間の流れの中を歩きながら、この景色が懐かしいあの景色につながっていそうな気がした。それでは、また次の散歩で。

散歩場所:福岡市東区香椎照葉周辺


今号のおすすめ作品「Pot. Sanpo 植木鉢」

散歩の途中で見つけた土をブレンドして作った植木鉢です。釉薬を掛けないで土の質感を生かしたサラサラとした質感です。幅広い植物に似合いそうです。
散歩時間
オンラインストア:https://siineshirauo.thebase.in/items/57138686
※1点ものです。販売が終了している場合もございます。

椎猫白魚/うつわとチャと散歩
佐賀県のとある温泉街でうつわを作っています。植物にまつわる器や食器など。
喫茶と本の店「おひるね諸島」にてスパイスティーのブレンドをしたり、出張でお茶を淹れたりしています。
ウェブサイト:https://siineshirauo.thebase.in/
Instagram:https://www.instagram.com/shiineshirauo/

TOP画像イラスト:大門加画 @daimonhikari

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