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陶芸の可能性を広げる。「フリースタイル陶芸」が気になる!

陶芸の可能性を広げる。「フリースタイル陶芸」が気になる!

こんにちは、haconiwa編集部のシオリです。
少し前からクリエイターの方々で、陶芸作品を制作し始める方が多いなと感じていました。そんな時、風の噂で知ったのが「フリースタイル陶芸」という陶芸教室。ロゴも楽しげで、とにかく気になる!ということで、今回その魅力に迫ってみることに。

その名の通り、フリースタイルで楽しめる陶芸教室。

「フリースタイル陶芸教室」とは、“何を作っても良い、誰でも参加出来る、自由をモットー”とした陶芸教室。伝統的なイメージのある陶芸に、フリースタイルという言葉が組み合わさることで、なんだか自分も出来そうかも?とわくわくした気持ちになるから不思議です。

フリースタイル陶芸 教室風景
教室があるのは、東京・白金高輪駅から徒歩1分。「超フリースタイル陶芸」と題して、自由に陶芸作品が作れる講座を開催しています。陶芸教室は、教室の正会員になって器や花瓶などを複数通って作れるようになるものが多い中、超フリースタイル陶芸は3時間×2回制。1回目は粘土を成形して作品を作り、2回目は焼き上がったものにやすり・絵付け・釉掛けの作業をするというもの。

フリースタイル陶芸 教室風景
特に作るものが決まっていないので、生徒さんが作り出す作品もさまざま。オリジナルのキャラクターのようなものや、器でも独特の装飾がついたものなど、とにかく個性的です。

大フリースタイル陶芸展 vol.1

また、教室の運営だけにとどまらず、コラボ企画も話題に。2022年7月から3ヶ月間ほど東京都現代美術館のミュージアムショップNADiff contemporaryで開催された「大フリースタイル陶芸展 vol.1」では、さまざまなクリエイターの方がフリースタイル陶芸で制作した作品を展示販売するコーナーが登場。参加クリエイターの創造性が溢れる作品が並んだ光景は、圧巻でした。

友人に共同アトリエで教えるところからスタートした、陶芸教室。

そんなフリースタイル陶芸教室は、どのように誕生したのでしょうか。主宰の彫刻家・近藤南さんにお話を伺うと、意外にも、一歩一歩、壁を乗り越えながらここまで成長してきたフリースタイル陶芸の姿が見えてきました。

フリースタイル陶芸主宰 近藤南さん
(フリースタイル陶芸主宰 近藤南さん)

自身の創作活動の傍らフリースタイル陶芸を立ち上げたのが、2017年のこと。美術大学卒業後、企業に就職して会社員として働いていた近藤さんでしたが、創作活動に力を入れたいという思いのもと退職。アルバイトをしながら創作する日々の中、アルバイト仲間の陶芸を教えて欲しいという声に応えるかたちで教えたのが始まりだったそう。

ひょんなきっかけでしたが、予想以上に喜んでもらえたことが自分自身も嬉しく感じたという近藤さん。その様子を当時SNSの中でも主流だったFacebookに投稿すると、自分も教えてほしいという人が他にも出てきたため、当時借りていた埼玉の共同アトリエで教室を開催するようになります。

フリースタイル陶芸 教室風景
(現在の教室の様子。生徒さんの作品がたくさん並んでいます。)

近藤さん「当時はアルバイトと並行して行っている収入源のひとつという感じでした。今みたいな形になったのはここ1年くらいです。それまでは、本当に1人で細々やっていました。そのうち、埼玉の共同アトリエも訳あって教室開催が難しくなってしまい、東京・文京区のギャラリーを間借りする形で運営したり、同じく文京区内の大学同期の絵画・工作教室で月1回開催させてもらっていた時期もありました。地域柄か芸大生が多く、ギャラリーに関わっている方も優しかったこともあり、なんとか続けていった中、運良く、今の白金高輪の物件とご縁があり2019年の夏から新しい場所での教室がスタートしたんです。」

新しい教室、コロナ禍、クリエイターさんとの出会いを経て、現在のかたちへ。

フリースタイル陶芸 教室風景
白金高輪駅から徒歩1分という素晴らしい立地で新しい教室を構え、アルバイトも辞めて収入源も断つことで、さらに飛躍をしていこうとしていた矢先。予想もしていなかったコロナ禍が始まります。緊急事態宣言で飲食店をはじめ、さまざまな業種の店舗が自粛を余儀なくされるなか、フリースタイル陶芸も教室をお休みしなければなりませんでした。

そんな逆境のなかでも、運営の手を止めなかった近藤さんは、持続化補助金(コロナ対応型)の申請に奔走。慣れない事務作業に苦戦しながらも、ちょうどその頃、素敵な出会いがあったんだとか。

フリースタイル陶芸のDM
(フリースタイル陶芸のDM)

近藤さん「もっと教室を成長させるには、訴求力が足りないなと思っていたんです。それで、“ろくろ回しのポーズ〈※〉”を絵にしたいと、ずっと考えていたんですが、自分の画力ではどうしても難しくて。そんな時、たまたまイラストレーターのunpisさんが教室に来てくださって、これは相談するしかない!と思い立ってお伺いしたところ、快く引き受けてくださいました。幸いにも持続化補助金も採択され資金も入り、良いタイミングでした。」

※WEB系やIT系の人のインタビュー写真で、ろくろを回しているような仕草が多いことから、一部で呼ばれていたポーズの通称。

その後、教室の名称のロゴも、以前から親交のあった国立・museumshop Tの丸山さんにアートディレクションをお願いし、落合晴香さんのロゴ・デザインで制作。現在のロゴ・ビジュアルが完成します。そこから、徐々に教室が盛り上がりを見せ、コラボ企画のお声がけが来るようになったんだとか。

まさにフリースタイル!な、教室で生まれる魅力的な作品たち。

そのように少しずつ、着実に成長してきたフリースタイル陶芸。ネーミングはほぼ初期に誕生したもので、「“カタカナ+漢字”の組み合わせが最強」だと語る近藤さんが、文字を見ただけでやっていることが分かるものにしたいと、考えついたものだそう。その目的通り、“フリースタイル”であることに興味を持った方が集まり、日々、自由な作品が生まれています。

フリースタイル陶芸 生徒作品

フリースタイル陶芸 生徒作品

フリースタイル陶芸 生徒作品

近藤さんがこれまでに一番驚いたのは、「骨壷を作りたい」というお客様。理由を聞くと、大切なペットが亡くなり、既製品だと良い骨壷が無いため手作りしたいという思いから。そんな思いもよらない発想や、作品のクオリティに驚くことも多いのだとか。

近藤さん自身が彫刻家ということもあり、クリエイターの生徒さんも自然と集まることに。NADiff contemporaryの「大フリースタイル陶芸展 vol.1」のようなイベントでは、これまでに教室で作品づくりをしたことのあるクリエイターを中心にお声がけ。以前文京区で教室をやっていた頃はまだ学生だったり駆け出しのクリエイターだったりした方達が力をつけて、今や一線で活躍している方も多く、結果的に人気クリエイターの方が集まったそうです。さらに、この方の陶芸作品も素敵になりそうだと感じた方に新たにお声がけすることで、フリースタイル陶芸から多種多様で魅力的な作品が生まれ続けています。

大フリースタイル陶芸展 vol.1にて、大久保つぐみさんの作品
(大フリースタイル陶芸展 vol.1にて、大久保つぐみさんの作品。)

近藤さん「普段は平面の作品を、立体にしてみたいというイラストレーターの方が多いですね。みなさん、絵の作品がそのまま形になっていて、本当に素敵なんです。例えば、大久保つぐみさんは普段コピックで絵を描いている方ですが、立体化したときも絵の時の特徴がそのまま反映されていて。絵がそのまま飛び出したようで、驚きました。」

安全で簡単、ストレス発散にも。フリースタイル陶芸が人気の理由。

もちろん、クリエイターの方だけでなく一般のお客様も、たくさんの方がフリースタイルの魅力に引き込まれています。

フリースタイル陶芸 ヒューステン
(釉薬の見本。ヒューステンというカラフルな発色のものが人気だそう。)

陶芸は、扱うものが粘土なので安全で形にしやすい。絵付もできるから自分の創造性を反映しやすく、用途がないものから実用物まで幅広く作れる。それに、フリースタイル陶芸の気軽さや自由さがプラスされ、多くの方を惹きつけているようです。

フリースタイル陶芸 教室風景
(教室にある電気窯。)
フリースタイル陶芸 教室風景
(釉薬の数々。)

InstagramやTwitterで“陶芸”で検索してたどり着く方が多いそうですが、中には、地方からわざわざ教室参加のために新幹線を使って訪れる方や、とにかくストレス発散したい!という方も。多種多様な方をワクワクさせているフリースタイル陶芸ですが、その人気の理由の一つとして、こんな興味深いお話も。

近藤さん「フリスタはかわいくて明るくてPOP。アイドルみたいだな〜と思っています(笑)。ですが、自分自身は逆に暗い部分が多くて(苦笑)。また運営に携わっているメンバーも全員作家やフリーランスと、自身の活動の傍らフリスタをやっているため、フリスタが盛り上がっていくのはうれしいけど、良い意味で“これが全てだ”という人は1人もいないんです。そういう、ちょっとドライな距離感が、良い作用を生んでいるのかもしれません。」

自分自身そのものとは別軸で、フリースタイル陶芸を卵から温めるように運営してきた近藤さん。今、副業やダブルワークという働き方も増えるなか、近藤さんの言葉はヒントになりそうですね。

始めた頃に“こうなったらいいな”ということが実現している

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(バリ取りの作業をする近藤さん。)

フリースタイル陶芸や、ご自身の活動の仕方について、「始めた頃、こうなったらいいなと思っていたことが実現している」と話す近藤さん。今までで、一番大変だった時は?と聞いてみました。

近藤さん「今振り返ってみると、会社員を辞めるときよりもアルバイトを辞める時、一番度胸が必要だった、腹を括ったような気がします。収入がゼロになる可能性があったし、実際にコロナ禍で1度だけ月収0を経験し、一瞬、あぁ会社員を続けていれば……といった気持ちになりました(苦笑)。遡るのですが、2019年、まだフリスタもそこまでだったとき、別件で一年がかりの大規模な制作のお仕事を受けることになり、それが転機となりました。大きな規模で予算を管理し、人を動かして利益を生む作業をほぼ1人で0から行ったことで自信がついてきたんです。その時に一気にお金もまとまった額がはいってきたので、今だ!と。フリスタはいきなり盛り上がった訳ではなく、本当に地道に、一つ一つの経験が積み重なって出来上がったものですね。」

場所の移動や、コロナ禍というさまざまな変化や困難がありながらも、歩みを止めずに突き進んできた近藤さんのお話からは、クリエイターの生きる道を、もがきながらも力強く進んでいく姿、そのパワーを感じました。

この記事を読んでフリースタイル陶芸に興味を持った方は、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。今後のフリースタイル陶芸、そして近藤さんの活動にも注目です。

フリースタイル陶芸
Instagram:https://www.instagram.com/freestyletogei/
予約サイト:https://droom.theshop.jp/

近藤南
彫刻家・フリースタイル陶芸代表。
1990年富山県生まれ。
武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。
自身が夢で見た不可思議な事象や情景を、主に彫刻作品と空間インスタレーションとして作品化している。
WEB:https://www.kondominami.com/
Twitter:https://twitter.com/minami_kon
Instagram:https://www.instagram.com/emusaaaaan/

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