CREATOR クリエイティブなヒト
温泉街で暮らすうつわ作家 椎猫のコラム「散歩時間」Vol.6

こんばんは。椎猫白魚(しいねしらうお)です。数年前から、縁もゆかりも無かった佐賀県の嬉野温泉で有名な街へ移り住み、うつわを作ったり、お店をやったりしてます。
このコラムでお届けするのは、日々の生活の中にある散歩の時間です。
ものを作っていると、ふと散歩に行きたくなります。人が作った道をただただ歩く。
そんな時間の中には、今まで気が付かなかった沢山の生き物たちの暮らしがあるような気がします。
このコラムでは、散歩の楽しみ方についてお届けできたらと思います。
第六回:石垣の観察
え、待って、迷子!駐車場の案内をもらったけど、え、なにこれ、かわいい!え、待って、なんか懐かしい…
これって、パワポで作ったの!?ええ、かわいいな!いや、駐車場どこなの!?
というわけで、やってきました熊本。そして、はじめまして熊本城。熊本市街地にどんっと現れる存在感。日本三大名城にも数えられる熊本城。そしてなんと言っても見たかったのは、この反りのある立派な石垣。石垣好きとしては一度は訪れたい場所のひとつである。今回は熊本城の石積みを観察しながら散歩。
あれ、これ、珍しいな。竹のプラスチックのやつだ。このタイプもあるのか、最近やたらと、工事現場の近くに頭に単管を載せた動物たち(アニマルガードって言うらしい)が列になって現れるから、気になって見てたけど、なんだかフエラムネのおまけみたいな色合いで可愛いこの竹。
2016年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本城。歩いていると今も立ち入り規制されているところがあったり、その被害の大きさがわかる。天守閣など一部復旧されてはいるが、すべての復旧工事が終わるのは、熊本市の計画では2037年度の予定。
その中でも最も大きな被害を受けたのが石垣。積み直しが必要な石は、10万個を超えるのではないかとも言われている。崩れた石のひとつひとつに番号をふって、どの位置の石か分かるようにして保管している。
復元作業の際は過去の写真などと照らし合わせながら、元の場所に積み上げていく。
城内の至るところに復元途中の作業の写真や説明があって分かりやすい。それにしても、この崩れた石をひとつひとつ元の場所に積み直すって考えると、途方も無い大変な作業だ。
石垣といっても、その積み方は時代や場所によって様々。熊本城は主に打ち込み接ぎと呼ばれる積み上げ方で、積んでいく主要な石の角や面を叩いて平たくし、ある程度整形してから積み上げる。主要な石同士の間にでいた隙間には、間詰石と呼ばれる小さな石を打ち込んでいく。
当時の人達はこんな重たい石を手作業で扱っていたと思うと頭が上がらない。石工と呼ばれる仕事には、こういった石垣を作る他にも、神社仏閣の狛犬や鳥居などを造ったり、墓石や石仏を彫ったりしていたようだ。
あれ、お弁当屋さんが見たこともないぐらいの大量のお弁当を運んできたけど、修学旅行かな。木に登ってお弁当を食べてた子たち先生に怒られてたな、お腹すいたな。
帰り道に良い雰囲気のかまぼこ屋さんがあって、店前のショーケースには黄色い衣をかぶった練り物たち。からし蓮根って、熊本の名物だったよなと思いつつ、黄色い衣の中に隠れている蓮根の形を想像しながら、どれだ、どれだとショーケースを眺めていると、ますますお腹が空いてきた。とりあえず一番大きなやつを買ってみたけど、これ、さつまいもだ。
それでは、また次の散歩で。
散歩場所:熊本市街地周辺
今号のおすすめ作品「動物たちのフラワーベース」
オンラインストア:https://siineshirauo.thebase.in/items/67174443
※1点ものです。販売が終了している場合もございます。
椎猫白魚/うつわとチャと散歩
佐賀県のとある温泉街でうつわを作っています。植物にまつわる器や食器など。
喫茶と本の店「おひるね諸島」にてスパイスティーのブレンドをしたり、出張でお茶を淹れたりしています。
ウェブサイト:https://siineshirauo.thebase.in/
Instagram:https://www.instagram.com/shiineshirauo/
TOP画像イラスト:大門加画 @daimonhikari
NEWS 最新記事
PICK UP
注目記事
EXHIBITION
いまオススメの展示・イベント