CREATOR クリエイティブなヒト
大伴亮介の「日常ワンシーン画」 Vol. 7 三角コーン

こんにちは。イラストレーター・デザイナーの大伴亮介です。
日常にはさまざまなワンシーンが存在します。
しかし、そのほとんどは心にひっかかることもなくただ流れ去って消えてしまいがちです。
そんなはかない記憶の雑魚をすくいあげ魚拓のようにイラスト化し、そこになにかしらの考察を記していこうというのがこのコラム『日常ワンシーン画』です。
個人の経験が舞台とはなりますが、皆様にもなにかを感じとっていただけたら幸いです。
第7回 「三角コーン」のワンシーン
日常には三角コーンが登場します。
四角でも二角でもない、それが三角コーン。
今回はそんな三角コーンにまつわるワンシーンをすくいあげてみます。
【1】黒い板がひとつだけズレているシーン
列を乱すようにズレている黒い板。コーンのレイアウトが退屈にならないようにわざと「崩し」を入れた結果なのか、ただ雑に置かれただけなのか。このような状況を見るとどうしてもズレているひとつを笑ってしまいますが、もしかしたら本来の使用法としては板をズラして置いたほうがコーンが安定して理にかなっている可能性もあり、どちらが正しいのかは断言できないのが難しいところです。人間関係も一緒ですね。
【2】片方だけでバーを支えているシーン
もう片方はどこへ行ってしまったのか。一人で支えるには長すぎるバーの重みに耐えながら二人ぶんの責任を負わされている不憫なコーン。出番になっても相方が姿をみせず急遽ピンで舞台に立たなければいけなくなった漫才コンビの片方のようで、「たいへんですね」と声をかけたくなります。
【3】下のコーンが顔をのぞかせているシーン
コーンの先が割れている状況はよく目にしますが、このように重ねて置かれていると卵の殻をやぶってあらわれるエイリアンのようで面白みがあります。下のコーンの色がちがうとさらに「なんか出てきたぞ感」が強まり、いいかんじなので、おすすめです。
【4】黒い板の保管場所になっているコーンがあるシーン
江戸時代の罰のような状態ですが、かわいそうというよりは「みんなの板を俺にあつめろ」と言わんばかりの勇姿にも見えます。このコーンはおそらく頼りがいのある兄貴タイプ。バーベキューなら率先して炭火をおこしてくれるはずです。
【5】もはや役目を果たしていないシーン
冗談ではなくわりと見かけるシーンです。タイヤに踏まれて破損したのか、経年劣化で砕けたのか。いにしえの遺跡のようにのこされたコーンの魂。役目を果たしてないと書いてしまいましたが、「元・三角コーン」だとアピールできているうちはぎりぎり役目を果たしているのかもしれません。
【6】黒い板だけ落ちているシーン
コーンはやがて土に還り、板だけが残りました。
今回は以上です。どうもありがとうございました。
皆様よいワンシーンをお過ごしください。
大伴亮介
イラストレーター・デザイナー。図形や色面を使った絵づくりベースに、商品や広告などのビジュアル制作をおこなっています。
日常のささいな瞬間を切りとって描いた「ワンシーン画」シリーズはSNSにて随時更新中です。
Web: https://www.r-otomo.com/
Twitter: @R_OTOMO
Instagram: @otomoryosuke
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