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岡口房雄「もさもさ模索中」第8回(テーマ:折れてもOK)

岡口房雄「もさもさ模索中」第8回(テーマ:折れてもOK)

皆様ごきげんよう。
グラフィックデザイナーの岡口房雄と申します。

これは、何かを模索したり何かを作ったりする連載です。
断片的かつ多動的、気楽だったり深刻だったり、主観的で優柔不断な連載かもしれません。
グラフィックデザインっぽい連載だけど、グラフィックデザインについての連載ではないです。


ペラペラの薄い紙がわりと好きなのだが…!

ペラペラの薄い紙がけっこう好きかもしれない。
具体的には、ハトロン紙だったりトレーシングペーパーや連量45kgの微塗工紙など。
しかし、仕事などで薄い紙を使用する時には色々と気をつけておきたい。

チラシなど無料で配るものには良いが、ポスターや本などの売り物を薄い紙に刷るとなると、若干のためらいがある。簡単に折れたり破れたりしちゃいそうで怖い。
書店などの棚にギチッっと詰まった本に巻かれた薄いオビが折れたり破れたりしている現場もたまに見る気がする。

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とか言いつつも、自分は個人的にハトロン紙などにリソグラフを刷って売ったりもしている。
そういった紙の脆そうであるが故の緊張感に、自分は魅力を感じるのかもしれない。
でも、額に入れるときにウッカリ折れそうで怖かったり、梱包するときにめっちゃ神経質になって疲れて、厚い紙にしたらよかったな〜と後悔したりもする。

あとコレは薄さには関係ない話だが、ポスターとかって配送や持ち帰りがほんのちょっと面倒だったり心配だったりする。
持ち帰る場合は丁寧に気をつけて運べば済む話だけど、何かのついでに展示に来たりとかが多いだろうし、なるべくかさばらせたくないし、ハラハラさせたくないな。
丸めても潰れるかもしれないし、箱を用意してたら、値段上げないと赤字になるかもだし。
折っちまえば持ち運びラクチンだけど、せっかく丁寧にデザインしたものが台無しかもしれない。

そうしてウダウダと考えた後に、作りたいものを思いついた。


折れてもOKなポスターを作りたいのだが…!

今回は、ペラっとした薄い紙を用いて、なおかつ折れてもOKなポスターを作ってみたいなと思います。
ちょっと何言ってるかよくわからないかもしれないですけど、何卒お付き合いください。

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自分による自分のためのポスターなのだが、自分と似たような人のための物にもなるかもしれない。
このポスターのパワーが発動すれば、ウッカリ紙を折ってションボリしたり、神経質で荒ぶる心を鎮める事ができるかもしれない。
いや、できなくても良いけど… 所詮ペラペラの紙だしな…

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明確なメッセージがあるのに、何故わざわざ読みにくい変な感じにしているのか。
伝わるスピードや言葉の直接的な主張具合を調整したいからというのが理由の一つでもある。
読みにくい事自体がカワイイとかクールとか思っているわけではない。
目的ではなく手段みたいな感じで、結果的にカワイイ感じになったりクールに見えたら嬉しい。


そんなこんなで完成したのだが…!

そんなこんなで完成。今回はリソグラフで刷ってみた。A3サイズのハトロン紙に赤色とミント色の2色刷り。
写真だとミント色の方眼状の背景がほとんど見えないのだが。
あと、トンボが着いたままの断裁前の状態に見えると思うが、自分的にこの状態の方が好きなので、わざとそうしている。
この方が余裕があるというかなんというか、部屋の壁に直接貼った時に周囲の物と程良い関係性が保ちやすいという合理的なメリットもあるんじゃなかろうか。
雰囲気的な事を言葉で説明するのは難しいな!

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試しにクシャクシャに折ってみたら、おじいさんみたいな貫禄や哀愁のようなものを少し感じられた。
実物を写真に撮ってから気づいたけど、クシャクシャになって凹凸ができると、スポットライトを当てた時に反射で光る部分と影の部分ができて、フラットな状態の物よりも深い存在感が出てきたかもしれない。
これは紙に限らず人間にも言えることかもしれないな…とかなんとか、変な方向に飛躍した妄想をしたりして、エモーショナルな気持ちに浸ってみるなどした。

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実際にやってみて得られる気づきがあって良かった。
でも、折れないに越したことはない。

もしも、ポスターや本の表紙やオビ、お手紙、大事な資料、その他色々が折れちゃったりした時などに、みなさんもこのポスターのメッセージを思い出してみてください。
ショックを軽減できるかもしれないし、全然できないかもしれません。


と、まあ、今回はこんな感じです。読んでくれてありがとうございます!

あと、なんと今月でもうhaconiwaの更新が停止されるという事で、今回でこの連載の更新も最終回になります。
非常に残念に思い、もっと頑張って頻繁に連載を更新しておけば良かったな〜と後悔しました。(だいぶ前から始めたのに全然更新してなかったな…)
実はそういう気持ちも今回のポスターの言葉のチョイスにも影響していたりします。

この連載は一旦終わりとなりますが、「もさもさ模索中」の魂は不滅です。

自分は少し前から「休憩しろ」というコンテンツレーベルのようなものを立ち上げており、
そこでも色々と模索のような事もしていくかもしれないので、「休憩しろ」のInstagramTwitterをフォローしてみてください。
今回作ったポスターもオンラインストアで販売しておきますのでね。
今後ともよろしくお願いいたします。

俺たちの模索はまだ始まったばかりだ!!!!!

岡口房雄

グラフィックデザイナー。東京都在住のフリーランス。著書「わくわくロゴワーク」をBNN新社より刊行。「休憩しろ」というコンテンツレーベル(?)をやり始めた。

webサイト:https://fusaookaguchi.com/
Instagram:https://www.instagram.com/fusaof/

休憩しろオンラインストア:https://kyukeishiro.stores.jp/
休憩しろInstagram:https://www.instagram.com/kyukeishirosns/
休憩しろTwitter:https://twitter.com/kyukeishirosns

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