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愛媛から世界へ。先進的な作品を作り続ける佐藤さんのアイデアの源とは?

こんにちは。yumieです。

陶芸や木工、織物や染物など、日本各地に存在する伝統工芸。
インテリアショップや雑貨屋でも、若手クリエイターの感性により、伝統工芸が今までは全く違う顔に生まれ変わった作品を多く見かけるようになりました。

今回は、私の地元である愛媛の伝統工芸“和紙”を「呼吸する和紙」へと素材を変化させ、アートのような作品を生み出している和紙デザイナーの「佐藤 友佳理」さんをご紹介したいと思います。

呼吸する和紙”って?

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「呼吸する和紙」とは、和紙の原料である「こうぞ」に、湿度調節、消臭機能、そしてホルムアルデヒトによるシックハウス症候群防止が期待される成分「ゼオライト」を溶け込ませた身体に優しい和紙です。
湿度調節や消臭機能を持たせたことにより、インテリアにもぴったりの新しい和紙となりました。
また「呼吸する和紙」は、佐藤さんのアトリエ近くをながれる「観音水」を使用。名水百選にも選ばれたきれいな水で漉きあげたこだわりの和紙です。

では、呼吸する和紙を使った作品をご紹介したいと思います。

作品は全て手すき。のびやかで繊細な和紙の世界。

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こちらは、「和紙のモビール」です。
アトリエに飾られていたのを撮影させていただきました。

モビールは、レースのような美しいモチーフがふわりと揺れる動きが、とてもやわらかでほっこり。一つ一つ丁寧に編み上げられていて、和紙とは思えない繊細さにビックリ!人の動きなど少しの風でも揺れるので、室内でも楽しめます。

無印良品などでも販売されるなど人気のインテリア雑貨で、私の部屋にも飾っています。今のような暑い時期はモビールの優しい動きを眺めるだけで涼しい気持ちになり、毎日眺めていても飽きません。安心できる優しい素材なので、プレゼントなどにもオススメですよ!

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こちらはインテリアデザイナー内田繁氏の新作の茶室。
東京・西麻布のギャラリーにて展示されました。
和紙の網目からこぼれる光の影が、繊細でとても美しいです。

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シンガポール・マンダリンホテル「築地 すし大」の内装。
こちらもすべて手すきで制作されています。

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アパレルブランド「JOSEPH」のディスプレイ。
MIDTOWN店と京都路面店で、レースを表現した和紙が展開されました。

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こちらはアトリエ内で発見した納品前の「湧き水で漉いた和紙のボール」。
赤ちゃんから大人まで、和紙の質感を楽しめる玩具です。
佐藤さんの丁寧な仕事ぶりや作品にかける想いが伝わってきます。

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モデルからデザイナーへ

和紙デザイナーの佐藤さんにお話を聞いてきました。
実は佐藤さん、和紙の世界に入る前は、イギリスでファッションモデルとして活躍されていたそうです。

佐藤さんにデザイナーの道へ進んだきっかけを伺いました。
「ファッション業界で表現者として関わっていたんですが、時間を重ねるなかで、次第にデザインなど作る側に興味がわき始めたんです。帰国後は桑沢デザイン研究所へ入所し、デザインを学びました。桑沢デザイン研究所を卒業とともに、発表したのが「呼吸する和紙」です。初めての展示会では海外のアーティストから大量注文を頂いて、この道でやっていこうと思える手応えを感じることができました。」

佐藤さんは、2010年に故郷の愛媛へ帰郷。和紙デザイナーとして活動をスタートしました。

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アトリエはお気に入りの場所に

アトリエは愛媛県西予市にあります。佐藤さんが小さい頃からよく遊びに来ていたという祖父母の家を改築してアトリエにされたそうです。

「この場所が大好きなんです。ここにいるからできることも多いですし、これからもこのアトリエで作り続けると思います。光回線も市内全域通ってて快適なんですよ、笑。ゆっくり長く続けることが大事だと思っています。」とにこやかに話す佐藤さん。

取材中も作業場にぴょんぴょん入ってきたカエルに「こっちきたら、ひからびちゃうよー」と優しく佐藤さんが声をかける一幕も。その土地に馴染み、楽しみながら制作活動されている姿がとても素敵でした。

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デザインのアイデアは散歩しながら

「手を動かしながらデザインを完成させていくことが多いです」という佐藤さん。アトリエ周辺を散歩しながら出会う自然の姿からインスピレーションをうけることが多いそうです。

「蜘蛛の巣の張り具合とか、キラキラしている光が素敵で、自然の美しさを表現できないかな〜と思いながら散歩してます。自然からインスピレーションを受けて創られた作品のほうが、ピュアで普遍的な感じがするんです。」と佐藤さん。

モビールのような小さな雑貨から、店舗の内装のような大型作品まで、幅広く手がける作品は、日常の中から誕生していたんですね!

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生活の中に残っていくものを作っていきたい

そんな佐藤さんには、海外からのオーダーも増えているといいます。
「この素材はなに?とか、これは洗えるの?とかびっくりするような質問もあるんです。ただ、思った以上に評価していただくことも多く、その声に応えながら文化の違いをどうクリアしていくかはこれからの課題かなと思います。」

コラボレーションもふくめ国内外のオーダーに応えながら、和紙の可能性を追求しています。

「今は自分のフィルターを通してクライアントのオーダーに対して何ができるかということを意識しています。これからも人の生活に残っていくものを作っていきたいなと思っています。」

佐藤さん、ありがとうございました!とても気さくにお話しいただいたので、あっという間に時間がたってしまいました。ご本人の素敵な人柄も魅力の一つですね!

和紙の良さや価値を壊すことなく、表現の幅を広げつづける佐藤さんの作品をぜひ皆さんもチェックしてみてくださいね。