フォントでモノづくり!?書体の新しい可能性を探る「Fon-Mono Project」とは?

フォントと3D造形ツールを活用した
ワークショップ形式の商品開発プロジェクトがスタート!

こんにちは! omatsuです。
今回は、フォント好き・雑貨好きの箱庭読者のみなさんに教えたい
ユニークなプロジェクト「Fon-Mono Project」をご紹介します!

フォントのデザインから新しいプロダクトを生み出す「Fon-Mono Project」

フォントのデザインから新しいプロダクトを生み出す「Fon-Mono Project」
「Fon-Mono Project(フォンモノプロジェクト)」は、文章やタイポグラフィーなど「2Dの表現手段」として使用されてきたフォントデザインを、3D造形ツールでプロダクトデザインに落とし込み、新たなカタチでフォントの可能性を探る新プロジェクト。
グラフィックデザイナー、空間デザイナー、プロダクトデザイナー、学生クリエイターなど、さまざまなクリエイターが集い、ワークショップ形式で商品開発を進めていきます。

第1回目のテーマは「器」
第1回目は「器」をテーマに、15名のデザイナーが5チームに分かれ、アイデアの創出、3D造形ツールで器デザインのプロトタイプ作り、プレゼンテーションまでを3回に分けて行われました。
なんと最優秀賞には、実際に商品化を進める権利を手に入れることができるというウレシイ特典付き!

3社共同運営
このプロジェクトを手掛けたのは、大日本印刷株式会社 (以下:DNP)、フォントメーカーの株式会社モリサワ、3Dモノづくりコンサルタントの株式会社ケイズデザインラボといったクリエイティブ業界でも有名な3社。さらに今回、金沢を拠点に3D造形ツールと伝統技術をかけ合わせた食器や生活雑貨などを製造しているsecca inc.も製造支援として特別参加。
ワークショップ参加者にとって、クリエイティブ業界を牽引するプロの方の直接お話が聞ける貴重な機会なんです。

ワークショップ1日目:クリエイターによる「器」アイデアの創出

ワークショップ1日目:クリエイターによる「器」アイデアの創出今回のプロジェクトにおいて最も重要になることが、「フォントが持つ特性をどのように解釈・抽出し、モノに落とし込むか」ということ。DNPの前身である秀英舎が生み出した独自のフォント「秀英体」と、写植書体の時代から使う人の目線で開発し続けているモリサワのフォントを使用し、形にしていくというワークショップなので、一日目は基礎を学ぶべく書体に関する講義が行われました。
フォントの特徴や性格を調べるツールとして、モリサワのWebサイトにあるフォント検索機能が便利なんだとか!メモメモ。

講義後、さっそくチームに分かれてアイデア出しのワークショップ
講義後、さっそくチームに分かれてアイデア出しのワークショップ。紙だけではなく、紙粘土と3DCADソフトを利用した「つくりながらかんがえる」アイデア発想ツールを活用しながら進行されました。

ワークショップ2日目:アイデアをカタチに!3D造形ワークショップ

ワークショップ2日目:アイデアをカタチに!3D造形ワークショップ
1日目に出したアイデアを実際にカタチにすべく、2日目はケイズデザインラボのスタジオに場所を変え、3D造形ツールを使ったワークショップを実施。はじめて3D造形ツールに触れた人も多かったようです。

ケイズデザインラボの熟練した3Dモデラーがチームに1人ずつ付き、クリエイターのアイデアをその場でデザインに落とし込まれ、各チームに最終のデザイン決まりました!
ケイズデザインラボの熟練した3Dモデラーがチームに1人ずつ付き、クリエイターのアイデアをその場でデザインに落とし込まれ、各チームに最終のデザイン決まりました!
通常は半年以上かかる商品開発。でも今回3D造形ソフトや3Dプリンターなどの3D造形ツールをフル活用することにより、「超高速モノづくり」が実現するというからすごい!
さて、残すはプロジェクトの集大成!プレゼンテーション大会を残すのみ!

ワークショップ最終日:アイデアを発表!プレゼンテーション大会

ワークショップ最終日:アイデアを発表!プレゼンテーション大会
プロジェクト最終日の10月18日、東京・市谷のDNPプラザでプレゼンテーション大会が行われました。

どんな書体を選び、作ったものにどんな思いが込められているか、プレゼンテーションでは一つ一つ丁寧に伝えられました。
どんな書体を選び、作ったものにどんな思いが込められているか、プレゼンテーションでは一つ一つ丁寧に伝えられました。中にはダンスパフォーマンスからはじまるユニークな演出をするチームも!モデリングしたものを単に紹介するだけではなく、利用シーン、販売イメージまで想定されたハイレベルなプレゼンテーションが展開されました。

さすがプロのクリエイターさん!仕上がりイメージをしっかりビジュアル化するチームもありました。
さすがプロのクリエイターさん!仕上がりイメージをしっかりビジュアル化するチームもありました。
どのチームも目からウロコのアイデアが盛りだくさんで、あっという間にプレゼンテーションタイムが終了。

各チームどんな器のカタチが仕上がったのか気になりますよね。
では、5チームまとめて一挙ご紹介しちゃいます!

【Aチーム】「記憶の器」

【Aチーム】「記憶の器」
ペットとの楽しかった思い出、別れの悲しみ、それらを一つの器に込めて、大切にしようというペットの骨壺。古くから物語を伝える時に使われた秀英明朝を使用し、ペットの印象深かった動きや仕草などが上蓋に刻まれています。

【Bチーム】「ものフォン」

【Bチーム】「ものフォン」
クリエイターとお客様が親身となって、お気に入りの文字と作りたい物の組み合わせで、丁寧に創り上げるオーダーメイドサービスを提案。「八」が名前につく方へのおくりものに秀英明朝の「八」をモチーフにした小鉢を表現されました。

【Cチーム】「筆器(ヒッキ)」

【Bチーム】「ものフォン」
「運筆」の「止め」がモチーフの器。「パパから子供への器」をテーマに、パパの力強さとやさしさのイメージに近い秀英初号明朝を使って、すくいやすいカタチに展開。文字のカタチを通して、思いに触れることができるプロダクト。

【Dチーム】「つらなり」

【Dチーム】「つらなり」
古くから書き文字として重宝されてきた続け文字に注目し、手書き風筆文字藤かなを用いて、「平仮名の曲線美」を器に落とし込んだ作品。結婚式の引き出物、外国人へのお土産など、ロングライフでプロモーション想定されていました。

【Eチーム】はじめてのうつわ「あ」

【Eチーム】はじめてのうつわ「あ」
親から子へ日々愛情をつたえるはじめてのうつわ「あ」。丸アンチックの「あ」を活用して、はじめての食事(離乳食)で使える、赤ちゃん用の器とスプーンのセットを提案。確かにひらがなの「あ」のカタチ!

どれも思わず手に取ってみたくなる素敵な器ばかり!
短期間で仕上げたと思えないほど精度の高い作品でした。

ようやくお披露目とのこともあり、みんな他のチームの作品に興味津々。
ようやくお披露目とのこともあり、みんな他のチームの作品に興味津々。
3日目のワークショップを通じて仲が深まったのか、参加者同士和気あいあいと和やかな雰囲気でした。

プロダクトデザイナーさんのトークセッションも

プロダクトデザイナーさんのトークセッションも
この日特別審査員の澄川伸一さんのトークセッションも行われました。澄川さんといえば、リオオリンピック公式卓球台のデザインを担当したことでも有名ですよね。今回さまざまなプロダクトが生まれた秘話を語ってくれました。一番残ったのは、「グラフィックデザイナーも3Dソフトの使い方を覚えて、立体的なデザインにチャレンジしてほしい!」という言葉。自分で3Dソフトが触れると純度の高いモノづくりが実現できるというご自身の経験に基づいたアドバイスもありました。

澄川さん、株式会社ケイズデザインラボ代表の原さん、secca inc.代表の上町さんの3名によるトークセッションも行われました。
それから澄川さん、株式会社ケイズデザインラボ代表の原さん、secca inc.代表の上町さんの3名によるトークセッションも行われました。みなさんお仕事現場で3D造形をしている方々なので、とてもタメになるお話満載。

そして、最後はお待ちかねの優勝チームの発表!

最優秀賞に選ばれたのは、Cチーム!

最優秀賞に選ばれたのは、Cチーム!

「上から見てもキレイ」、「横から見るとフォントのカタチになっている」という意見があつまり、『フォントを体感』できるプロダクトデザインとして、Cチームの「筆器(ヒッキ)」が最優秀賞に選ばれました!おめでとうございます!
優勝チームには、DNPさんお手製のレーザーカッターの表彰状と、澄川さんから記念品が贈呈されました。
Cチームのみなさん、喜びの言葉とともに今後の製品開発に向けての意気込みも語ってくれましたよ。

最優秀賞に選ばれたデザインは、製造元となるseccaさんと最終調整が重ねられ、クラウドファンディングに出展し、資金調達と製品の販売を目指していきます。なんとも壮大なプロジェクト!
これからどんな風に商品化されるのか、実際に手に取る日が待ち遠しいですね!

文字の新たな可能性を切り開く大きな一歩ともいえる「Fon-Mono Project」。
これからどんな広がりを見せていくのでしょうね。
今後もプロジェクトの動きから目が離せません!

◆参考元
フォントでみらいのものづくりvol.01|みらいドットDNP
フォントでみらいのものづくりvol.02|みらいドットDNP