DESIGN クリエイティブなモノ・コト
週末読みたい本『お菓子の包み紙』
甘い余韻。甘い美。お菓子の包み紙の中に広がる世界や物語を楽しめる一冊。
こんにちは!箱庭編集部みのりです。
今週の週末読みたい本は、『お菓子の包み紙』です。
みんなが大好きなお菓子ですが、お菓子の缶や包装紙がかわいいと、いつまでも取っておきたくなりますよね。そんな素敵な包み紙が一冊にぎゅっと集まったのが、6月に発売されたばかりの本作なんです。
包み紙に包まれた、包み紙への愛に溢れた本。
文筆家の甲斐みのりさんは、これまでお菓子や地元パン、郷土玩具や美味しい贈り物などをテーマに本を作ってきましたが、それらに興味を持つきっかけを紐解いたところ、包み紙に辿り着いたそうです。
『お菓子の包み紙』には、甲斐さんが実際に全国のお店を訪ね、味わい、思い出とともに大切に仕舞っておいた20年分のコレクションの中から選ばれた、200店舗超の愛らしいデザインが収録されているんです!
本を読み始める前に、カバーや帯のデザインにも注目してみてくださいね。カバー、表紙、帯、大扉それぞれにもお菓子の包装紙が使用された、まさに「包み紙に包まれた本」なんです。カバーに採用されたのは、静岡県浜松市の「まるたや洋菓子店」の包装紙。お店の人からも「お人形柄」と呼ばれ、60年以上にわたって愛されているんだとか。以前、箱庭で紹介したことのある『あげ潮』のパッケージもこのお人形柄なんですよ〜!
コレクションごとに包み紙の魅力を再発見できる!
カバーや表紙を眺めたら、さっそく読み進めていきましょう。
『お菓子の包み紙』では、「洋菓子コレクション」「店別コレクション」「和菓子コレクション」「作家別コレクション」「手提げ袋・紙袋コレクション」などのテーマ別にたくさんの包み紙が紹介されています。
どれも本当に素敵で心惹かれるデザインばかりなのですが、特に私が気になったものをいくつかご紹介したいと思います。
まずは店別コレクションから、北海道帯広市の『六花亭製菓』の包み紙です。六花亭製菓といえば「マルセイバターサンド」で有名ですが、包み紙に注目したことはありますか?ハマナシやミズバショウなど、北海道ゆかりの山野草と花々が優しい色合いとタッチで描かれたイラストがとっても素敵です。それぞれのお菓子のパッケージもかわいいので、お土産にもらったら注目してみてくださいね!
次は、作家別コレクションから洋画家の鈴木信太郎さんが手がけた包み紙の紹介です。鈴木信太郎さんといえば、東京都目黒区の老舗洋菓子屋さん『マッターホーン』のパッケージで有名ですが、誰からも親しまれる画風で依頼も多く、全国の洋菓子屋さんやお寿司屋さんのパッケージも手掛けているんです。並べてみると、それぞれの個性を感じられて楽しいです!
お次は、手提げ袋・紙袋コレクションの紹介です。全国のお菓子屋さんをはじめ、美術館や百貨店、ホテルの紙袋がずらっと並ぶコレクションは必見です!私の地元・長野のお菓子屋さんの紙袋もいくつか紹介されていますが、見慣れているデザインも改めてじっくり観ると、味があって素敵だなぁと思いました。紙袋が素敵だと、持ち歩いたり、お土産を渡したりするのも楽しくなりますよね。
最後に、コラムのコーナーを紹介します。『お菓子の包み紙』には各コレクションの間にコラムのコーナーがあり、「包み紙の収納」「同世代の作家たち」などのテーマで、甲斐みのりさんによる5つのコラムが掲載されています。それぞれのコラムを読むと、包み紙の楽しみ方が想像以上にたくさんあることや、包み紙って本当に奥深い魅力があるんだなぁと感じることができました!
いかがでしたか?
見慣れている包み紙でも、有名な作家さんが手がけたデザインだったと知ったり、改めてじっくり観察することで今まで気づかなかった魅力に気付いたりと、包み紙を再発見・再確認できる一冊でした。そして何より、全国の個性溢れる素敵な包み紙に出会うことができる一冊です!
本の最後には、紹介された包み紙の店舗情報が掲載されているので、気になる包装紙が見つかったら、ぜひお菓子と共に包み紙の魅力を味わってみてくださいね。
お菓子の包み紙
発行:グラフィック社
著者:甲斐 みのり
発売日:2017年6月刊行
仕様:A5 並製 総144頁
定価:本体1,600円(税別)
ISBN:978-4-7661-3044-7
分類コード:C0076