DESIGN クリエイティブなモノ・コト
週末読みたい本『足の下のステキな床』
読んだら、下を向いて歩きたくなる本。
こんにちは!箱庭編集部みのりです。
今週の週末読みたい本は、『足の下のステキな床』です。
以前ご紹介した『お菓子の包み紙』『デザインが生きる幾何学模様グラフィックス』と同じグラフィック社から先日発売されたばかりの本ですが、3冊に共通するのは、焦点を当てた何かのデザインを集めた本であるということ。今回紹介する『足の下のステキな床』は、タイトルから分かる通りステキな床ばかりを集めた一冊なんです!
床のありのままの雰囲気を楽しめるのが魅力。
『足の下のステキな床』には、3名の著者が日本各地で撮りためた、20世紀のかわいい模様、味のある質感から厳選された、189のステキな床が掲載されています。ただ古い床であればいいという訳でなく、300床以上の中から今なお錆びて見えないステキな床を選んでいたら、結果的に20世紀の床が多かったんだとか。
建物の中で一番劣化が早い床。靴と一緒に写せば、床だと一目で分かりやすく、汚れや傷も隠しやすい。しかし、徐々に汚れや摩擦具合もひっくるめて、雰囲気のある良いものだと思えてきたそうです。そんな、ありのままの床を楽しめるのがこの本の魅力なんです。
さて、どんなステキな床が掲載されているのか気になりますよね?!私が特に心惹かれた床をさっそく紹介したいと思います。
修学旅行で乗った、バスの床。
こちらは著者の一人、西村さんが高知県内で乗ったバスの床。学生だった90年代に、修学旅行で乗った印象的なバスを思い出さずにはいられなかったのだとか。爽やかな貝の柄が夏らしくてステキです。バスに乗ったら、天井・シート・足元をくまなく観察してみましょう。
今は無きお店の名残を感じさせてくれる。
雪の結晶のような柄と色合いがステキなこの床は、東京都品川区にある、美味しい焼き菓子屋さんの入り口です。店内は全くちがう床で、このタイルは以前入っていたお店の名残なんだとか。お店はなくなってしまっても、タイルが残り続けることでいつまでもお店の記憶を残してくれています。
毎日通る道も、ステキな床の宝庫!
こちらのカラーブロッキングはなんと、上野駅のペデストリアンデッキの床なんだとか。上野駅をよく利用する皆さん、見覚えはありますか?こんなにかわいい道を歩けば、毎日の通勤も楽しくなりそう!本の最後のほうには、公道や駅で出会ったステキな床が紹介されています。床といえば、建物の中を注目しがちだけど、毎日歩く道も見落とせません・・!
思わぬところで発見!色ちがいの床シリーズ
この二枚の床、全く違う場所のものですが、よく見ると同じ柄なんです。色使いが変わると、印象もこんなに変わるんですね〜。見覚えのある床には、大抵色違いの床があるんだとか。はじめて見る床なのにどこか懐かしさを感じるのは、自分の記憶の片隅に残っているからなのかもしれません。
この他にも、色ちがいの床がいくつか紹介されているので、見比べてみるととっても面白いですよ!
光が美しく照らし出す、教会のモザイクタイル。
この絵画のような美しいモザイクタイルは、東京都目黒区にある教会の床なんだとか。晴れた昼下がりにパイプオルガンの音に包まれながら、優しい光に照らし出されるタイルの床を眺めるひとときが、ちょっとした幸せの時間なんだという著者の奥川さん。自分にとってお気に入りの床があると、日常が豊かになりそうですね。
床の数だけドラマがある。ステキな床探しの旅は続く・・!
本書には、ステキな床がまだまだたくさん掲載されているので、ぜひ実際に手にとってもらいたいです!本を読んで、実物を見てみたい!と思う床に出会ったら、最後のページの床分布MAPを手に、収集場所に出掛けてみましょう。ただし「探せばまだまだ、いくらでもステキな床はあります。」とのことなので、まずは日常の中で、ステキな床探しをしてみるのもいいかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
床分布MAPのページには、「床の数だけドラマがある」という一文が添えられているのですが、読み終えた時、まさにそう感じた一冊でした。床の劣化に伴う張り替えや、古い建物が消えていくと同時に、ステキな床もどんどん消えていくのは仕方のないことですが、いつかは消えてしまうかもしれないからこそ、一枚一枚にものがたりを感じ、床に心惹かれるのかもしれませんね。
本書を手にしたら、床のデザインとしての魅力はもちろん、著者の3人の一枚一枚への想いを味わってみてくださいね!
足の下のステキな床
発行:グラフィック社
著者:今井晶子・奥川純一・西村依莉
発売日:2017年7月刊行
仕様:A5変型 並製 総208頁
定価:本体1,600円(税別)
ISBN:978-4-7661-3029-4
分類コード:C0072