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日本一のモザイクタイル生産量を誇る多治見市笠原町に誕生した、モザイクタイルミュージアム

こんにちは。箱庭キュレーターのkumiです。街を歩いていたら思わず、素敵なタイルだなと目を奪われることはありませんか?昔ながらの銭湯や、古民家のお風呂などで見かけるモザイクタイル。最近は、DIYをされる方の間でも注目され、改めて身近な存在になりつつあります。
今日は、建築やインテリア好きの方なら、一度は訪れたいと思っている場所「多治見市モザイクタイルミュージアム」をレポートしたいと思います!

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モザイクタイルミュージアムは、施釉磁器モザイクタイル発祥の地にして、全国一の生産量を誇る岐阜県多治見市笠原町に2016年6月にオープンしました。

モザイクタイルとは、表面積が50平方センチメートル以下の小さなタイルのこと。多様な形をさまざまなパターンに組み合わせることが出来る、焼き物で作られた建築物の装飾です。

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多治見市笠原町を中心とする美濃の地域では、原料生産に始まり、成形、焼成、そして企画・販売まで、各製造過程のスペシャリストが集う分業体制が確立され、バリエーション豊かでデザイン性の高いモザイクタイルが製造されてきました。

昔は身近な存在だったモザイクタイルも、ライフスタイルの変化とともに、次第に使用する機会が少なくなり、見ることが減ってきました。そんな時代の変化もあり、モザイクタイルの魅力を多くの方に発信したいと、町の有志が20年近く集めてきたモザイクタイルのコレクションをもとに作られたのが、モザイクタイルミュージアムなのです!

タイルの原料になる粘土を切り出す採土場をイメージした、小山のような外観。

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現地に訪れてまず圧倒されるのは、山のような外観!
設計を担当したのは、タンポポハウスやラコリーナ近江八幡でも知られ、植物や自然素材を取り入れた建築を多く手掛けている建築家・藤森照信氏。
この形は、タイルの原料になる粘土を切り出す採土場を模したものだそう。こんな建物を目の前にしたら、ミュージアムに入る前からワクワク感がとまりません。

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よく見ると、壁にはタイルや茶碗のかけらなどが埋め込まれています。

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昔、笠原町は茶碗が多く作られていたそう。それを、訪れる方々にも伝えたいという思いを、外観に取りいれているのだとか。
色とりどりのタイルも、もともとは土で作られたもの。外観からそれを感じさせてくれるのは、とても素敵だなと感じました。

空から光が射し込む“モザイクタイルのカーテン”

1~4階まで、タイルに関するあらゆる展示を楽しむことが出来るモザイクタイルミュージアム。私が受付を済ませてまず向かったのは、4階の展示室です。モザイクタイルの登り窯をイメージしたという階段を上がると、物語の世界に来たかのような明るい空間が広がるのですが、そこで真っ先に目を惹くのが、こちら!

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天井にある丸くぽっかりと空いた部分から、様々なモザイクタイルが数珠つなぎで繋がったアート作品「タイル・カーテン」。外からの光がダイレクトに差し込み、白い空間から覗く青空が印象的です。

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近くで見てみると、色とりどり、様々な形のタイルがあってかわいい!まだ見始めたばかりなのに、すっかり心を掴まれてしまいました。

絵画を見るような感覚で楽しみたい!芸術的な焼き物として、タイルを発信

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4階の展示は、藤森照信氏が、これまでに集められた1万を超えるモザイクタイルのコレクションの中からセレクトした、様々な製品や絵タイルが並ぶ見応えあるものとなっています。

竹の形のタイルで埋め尽くされた塔を中心に、トイレや台所流し、風呂桶等、昔使用されていたと感じないほど綺麗なものばかりが展示されていました。

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壁面には、富士山や魚・鳥・文字、マリリンモンローのモザイクタイルの絵など、豊富なコレクションが並び、懐かしい昭和のタイルを存分に味わうことができます!

絵画であれば、作品の横に「作者名」や「作品タイトル」があるのが一般的ですが、モザイクタイルは職人が個人の作品として作られたものではなく、職人が注文を受けて作った製品なので、「作品名」や「作者」の表示がありません。昔は身近に生活の中で使われていたものが、今や芸術を鑑賞するように楽しめるものになる。時代の変化で見方が変わるのは、面白いですね。

その他にも、紹介しきれないほどの素敵なタイルが展示されているのですが、いくつか私が気になったものをお見せしましょう。

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まるで海の中を泳いでいるような魚型のタイル。色のグラデーションが素敵です。

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鳥の絵が描かれたタイルもとってもキュート。思わずパシャり。

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スポットライトをのせて天井を照らす「塔」。竹の形のタイルで埋め尽くされ、良く見てみると、タケノコ柄のタイルが!ニョキッと生えていました。

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こちらは、昭和30〜40年頃のカラフルな調理台。葉っぱの形をしたタイルの可愛さにグッと来たのはもちろんですが、このなんとも言えない形が懐かしくて、印象的でした。

4階だけでもここまで楽しめるのですが、次は3階へ。

モザイクタイルの製造工程と歴史を知ろう!

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3階では、モザイクタイルの製造工程や歴史をたどれるコレクションの展示があります。写真の右上にあるのが入り口なのですが、釉薬を使ったモザイクタイルを日本で初めて開発した笠原町のモザイクタイルの先駆者、山内逸三氏がお出迎えしてくれますよ。

ここでは、タイル産業の歩みを記した年表や製造機械などが展示され、タイルについての知識を深めることができます。

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モザイクタイルを木枠に敷き詰めたもの。この上に紙を貼って出荷されるそう。タイルを貼る際は、紙貼りの状態のまま接着剤で壁に貼る工程だとか。どのデザインが好き?と友人との話しが尽きないほど、テンションが上がりましたよ。

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昔の住宅で使われていた様々な種類のモザイクタイルが並びます。おばあちゃん家で見た、懐かしいレトロなものも発見しました。

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これらは、昔使われていたモザイクタイルの見本帳です。現在は生産されていないものだそう。こうした、貴重なものがたくさん集められた展示は、見ていて飽きません。

こちらの3階には年に数回、企画展示が行われるギャラリーもあるので、その時々によって様々な展示が楽しめますよ。

最新のモザイクタイル情報をコンシェルジュに聞いてみよう!

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モザイクタイルの歴史や展示を見てくると、我が家でも使いたい!という気持ちになってきますよね。2階の展示室は、最新のタイル情報が分かる産業振興フロア。これまで見てきた昔のタイルと、現在のタイルでは違いがあり、それを感じるのも楽しいですよ。

こちらには、コンシェルジュカウンターがあり、タイル選びや施工などの相談に乗って貰う、ということが出来るんです。気になった方はぜひ気軽に相談してみてくださいね!

自分の家では使うことができないという方も、1階のショップは必見。タイルの詰め放題コーナーやタイルを使用した製品等が販売しています。自分の好きなものを家に飾るのも素敵ですね。その他、モザイクタイルを貼ってオリジナルのフォトフレームや小物を作れちゃう体験工房もありますよ。
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入る前からワクワクさせられる外観にはじまり、4階から1階まで、モザイクタイルの魅力がぎっしり詰まったモザイクタイルミュージアム。

デザインや光・色の使い方、人の動線も含めて、モザイクタイルをどう見てもらったら楽しんでもらえるか?という工夫が詰まった場所だと感じました。みなさんも、ここへ来ればモザイクタイルの見方が変わること間違いなしです!

建築好きな方はもちろん、老若男女が楽しめる場所「多治見市モザイクタイルミュージアム」。ぜひ訪れて見てくださいね!

    多治見市モザイクタイルミュージアム

    時間:9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
    休館日:月曜日(休日の場合は翌平日)、年末年始(12/29〜1/3)
    住所:岐阜県多治見市笠原町2082-5
    アクセス:多治見駅南口を出て「多治見駅前」2番バスのりばから東鉄バス笠原線「東草口行き」「曽木中切行き」または「モザイクタイルミュージアム行き」に乗車、「モザイクタイルミュージアム」下車。(所要時間 約17分)
    観覧料:一般300円/団体250円/高校生以下無料/年間パスポート1,000円
    ※3、4階展示室のみ観覧料が必要です。
    HP:http://www.mosaictile-museum.jp