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眺めているだけでウキウキする、それぞれの色の物語が集められた一冊

こんにちは、箱庭キュレーターのカナコです。
色鉛筆や画用紙、パレットに出した絵の具など、たくさんの色が並んでいると、見ているだけでワクワクしませんか?今回は、そんな色の魅力が十二分に詰まった本『色の辞典』をご紹介します。
「色」というのは、人によって感じ方に差があるもの。本書では、日常的な色名や慣用的な色名を367つ収録し、色見本とともにそれらにまつわる歴史や由来が説明されています。
辞典でこんなにウキウキしたのって初めてかも!?と思ってしまうくらい、眺めているだけで楽しくなれる一冊ですよ。

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はじめに、カバーを外してみました。装丁まで手が込んでいて、読む前から気分が上がりますよね (笑)。文庫本サイズで、ちょうど手にしっくりなじむ大きさです。部屋に置いておくだけで愛着が湧いてきそう。自分用だけではなく、贈り物にもぴったりです。

色についての基本知識から学べる

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具体的な色について見ていく前に、まずは、色についての知識から。
印刷物の色CMYとディスプレイの色RGBの違いや、色相・明度・彩度の説明など、色についての基本的な情報も分かりやすく紹介されています。色って好きだけど、実はよく知らなくて…という方も安心して楽しめますよ!

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内容は「赤」「黄」「緑」「青」「紫」「茶」「黒・白」の7種の色毎に分かれた構成になっています。一言「赤」といってもいろんな赤があり、それぞれの色を深く掘り下げているんです!

今日は私の好きな緑色を例にとって、本書の中身をちょこっとご紹介していきます!

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扉絵は、あらゆる緑がタイルのように敷き詰められたもの。かわいいですよね!私は、もうこのページだけで既に楽しくなっています(笑)
「緑」の語源の一つは「瑞々しい」から派生したもの、など「緑」に関する気になるお話も知ることができますよ。

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中身はこのような感じです。
どのページも、色にまつわるイラストと、各色の解説が絶妙なバランスで配されていて、ページをめくっているだけでワクワクします。
緑とひとことで言っても、本当にさまざまなんだな〜と思わず考えさせられました。

ただの色見本じゃないからこそ楽しめる奥深さ

たくさんの「緑」の中でも、特に面白いと思った2色は、こちらです。

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一つ目は、こちらのイラストだとちょうど真ん中にある「苔色」。
説明によると「苔のような深く暗めの黄緑色。」とのこと。さらに「日本には苔むした古木や庭園を珍重して鑑賞する独特の文化もある。」とあり、古くから日本人が愛でてきた庭園文化の一端を「苔色」が担っていて、昔から人々に一目置かれた色だったのかな、ということが想像できます。

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二つ目は、こちらのページにある「モスグリーン」。
「苔のような鈍い茶みの黄緑色」ながら「欧米には苔むした庭を鑑賞する文化などはなく、さほどの感情を持たない植物だったと思われる。」とあります。
欧米では、「モスグリーン」はそこまで重要な色ではなく、ありふれた色の中の一種、として認識されていたのかもしれません。

こちらの2色は普段の生活では同じ色として見なされてしまうもの。しかし、その色が持つ名前やそれにまつわる物語が示す背景は全く違うものになっています。
いつもは目にすることのない、このような色の奥深さを知ることができるのも、『色の辞典』ならでは。より一層色への興味が湧きませんか?

お気に入りの一色を探してみては?

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本当はもっとご紹介したいのですが、今回はここまで。
他にも、色にまつわるコラムや変わった由来を持つ色の紹介など、色への関心をさらに掻き立ててくれるコンテンツが満載。
あなたのお気に入りの色が見つかること、間違いなしです。
気になる方は、ぜひお手に取ってみてくださいね〜。

    色の辞典


    著:新井美樹
    デザイン・イラスト:山本洋介、大谷友之祐(MOUNTAIN BOOK DESIGN)
    価格:¥1620(本体¥1500+税)
    仕様:上製 256p A6判
    ISBN:978-4-8441-3736-8
    発売元:雷鳥社
    URL:http://www.raichosha.co.jp/book/photo/ph105.html

    <関連イベント>
    『色の辞典』刊行記念トークイベント
    辞典シリーズを紐解く~ヒット企画の発案者と、それに携わった編集者による座談会~
    日時:2018/4/28(土)16:00~
    場所:双子のライオン堂
    URL:http://liondo.jp/ ※参加方法や参加費は後日こちらのページにて更新されるそうです。