DESIGN クリエイティブなモノ・コト
本気で実現したい夢があるクリエイターさんへ!その想いを応援し、三年間一緒に並走してくれる創業支援施設「台東デザイナーズビレッジ」
クリエイターの成長を、ハード、ソフト、ネットワーク面からサポート
こんにちは、箱庭編集部です。
箱庭がクリエイターのみなさんにぜひ知ってもらいたい創業支援施設「台東デザイナーズビレッジ(通称:デザビレ)」をご紹介します。
箱庭はみなさんご存知のとおり “女子クリエイターのためのライフスタイルマガジン”がコンセプトで、日々の取材やイベントで多くのクリエイターとお会いします。
いつも私たちに新しいモノコトを発信してくれるクリエイターですが、話を伺うとクリエイターならではの悩みや苦労が多いことに気づかされます。特に「これからこの道でやっていきたい!」と創業してすぐのクリエイターの悩みは計り知れないものがあり、お話を聞く度にこちらももっと応援したい!という気持ちになります。
今回ご紹介する創業支援施設「台東デザイナーズビレッジ」は、そんなクリエイターの成長を三年間サポートしてくれる施設です。それは施設などのハード面から、ビジネスノウハウなどのソフト面、地元産業や入居者同士のネットワーク面まで、手厚いもの。
毎年4月から入居が可能ですが、応募は秋!来年度の入居者募集スケジュールが本日発表となったので、この機会にたくさんのクリエイターに届け~とご紹介したいと思います。
「私も入居したいけど、大丈夫かなぁ…?」と思っているみなさん、応募するのはタダです!応募だけでもきっと価値があると思います。ぜひどんな施設なのか記事を読んでみてくださいね。
卒業生には「SyuRo」や「yumiko iihoshi porcelain」など大活躍する先輩が多数!
創業支援施設「台東デザイナーズビレッジ(以下、デザビレ)」は、台東区内の産業活性化を目的に、廃校となった小学校の校舎を再活用して、2004年4月に台東区が設立しました。自分のブランドを創ったり、個人のデザイナーとしてやっていきたいという大きな夢を持つ新進クリエイターに、事務所スペースや共有施設を提供し、成長を支援する施設です。
設立から15年。これまでに入居していたブランドの中には国内外で活躍しているブランドが多数あり、「SyuRo」や「yumiko iihoshi porcelain」、WEB系でいうと「FASHIONSNAP.COM」も実はここの卒業生なんです。
古くからシューズ、バッグ、帽子、ジュエリー等のものづくりの町として栄えている台東区ですが、ここ最近「蔵前エリア」がものづくりの町として注目されるようになったのは、デザビレの卒業生がこのエリアを拠点に活動をはじめた影響も大きいのかもしれません。
「死の谷」とも呼ばれる創業して間もない辛い時期を、お金面・ノウハウ面でサポートしたい。
全国には創業支援施設と呼ばれる施設がたくさんありますが、デザビレは全国一有名な創業支援施設!それは施設の設備や利用料の安さだけではない、しっかりとした支援があるから。ここなら成長できる!と思えるサポートがついているからなんです。
そのひとつが、インキュベーションマネージャー(通称:村長)と呼ばれる鈴木淳さんの存在です。台東区と連携し、村長が事業成長のためにあらゆるアドバイスをしてくれます。
(村長の鈴木淳さん)
鈴木村長「個人で活動しているクリエイターの多くはさまざまな悩みを抱え、特に創業当初のクリエイターは、お金が出ていくばかりで、売上が伸びず、事業が軌道に乗るまで厳しい状況が続きます。僕たちはその期間を『死の谷』と呼んでいるのですが、そう表現されるくらい辛く、途中で挫折する人もいます。伸びしろのあるクリエイターが、その死の谷を乗り越えられるようにお金面だったり、ノウハウ面だったりで、早く成長できるようサポートするのがデザビレ、そして私たちの役目です。」
入居者は半年ごとに事業計画書をつくり、村長と面談するのだそう。会社では半期に一度の面談があり、目標や実績が見えやすいですが、個人でやっているとなかなか難しいですよね…。そこをしっかり経営的視点でサポートしてくれるのが村長です。
もちろん面談以外でも、手作り作家の状態から工場や職人さんに量産してもらって生産規模を大きくするための方法、上京してきた人におすすめの住む町など、いつでもさまざまな相談に乗ってくれます。
また、台東区が運営しているので、展示会出展やカタログ製作などの助成制度についても提案してくれます。制度を活用して活動規模を広げやすいのもありがたいことですよね。
村長によると、デザビレには他にもクリエイターのビジネス成長をうながすためにさまざまなサポートがあるそうです。
入居者や卒業生、地域の企業や職人さんとのネットワークができる。
(デザビレ入居者が卒業するタイミングで開催した懇親会の様子)
デザビレは他の創業支援施設と異なり、毎年10月頃に入居者募集を開始し、翌年の4月に入居、そして3年間で卒業という学校のようなスタイルが特徴です。
入居時期が決まっているため同期ができ、また毎年一定数ずつ入居者が入れ変わることで、先輩や後輩との新たなネットワークが生まれます。心強い仲間ができるというのはもちろん大切ですが、この繋がりから仕事が生まれることもたくさんあるそう。公私ともに歩んでいけそうな仲間に出会えるって大変貴重ですよね。
また、台東区はものづくりのプロが集まるエリア。デザビレでは、地域の企業や職人さんと出会える交流会やセミナー、産地の見学会なども開催しており、つながりのきっかけを作ってくれます。年に一度の公式イベントであるデザビレの施設公開は、台東区の「街」と「ものづくり」の魅力に触れる大規模な地域イベント『モノマチ』と同時に開催しており、そうした地域イベントを通して一気にネットワークが広がるそうです。
設立から15年。先輩たちの実績が、みなさんのチャンスを後押ししてくれる。
もうひとつは先述したとおり、設立から15年経ち、たくさんの卒業生が活躍しているので、実績があまりないクリエイターでも一定の信頼度が得られるという点です。これってとても重要!
企業や職人さんと取引をする場合でも、実績がないとなかなか…ということもあります。だけどデザビレの入居者とお伝えすることで、ある程度の信頼が得られ、取引につながることも!また、デザビレ入居者ということで百貨店から販売イベントの声がかかったり、取材依頼がきたり、活動が広まっていくチャンスもたくさんあるのだそう。創業したばかりのクリエイターには、かなりありがたいですよね!
もちろんハード面もサポート。自分の事務所やアトリエを安く構えられる。
そして、とても大切なハード面のサポートももちろんしっかりしています。
施設があるのはつくばエクスプレスや都営地下鉄大江戸線の「新御徒町駅」から徒歩1分の場所。
施設内には19室のオフィスや会議室、制作室、ショールーム、図書室など、さまざまな用途に対応できるスペースがたくさんあります。
オフィスは20平米と40平米の2種類。自由にアレンジ可能なので、みなさん工夫して自分だけのアトリエを作り上げています。
(左・ファッション、デザイン関連の図書・雑誌を備えている図書室、右・作業台、ミシン、革漉機、バーナーを設置している制作室)
施設は24時間365日使用できるので、時間帯を気にせず作業ができます。また、商談スペースがあちこちにあるので自宅だと打合せ場所が…と思っていた方も安心して営業活動ができますし、制作室もあるので展示準備などもはかどります。ショールームでは個展やワークショップの開催も可能です。
ここでみなさん気になるであろう家賃についてですが、なんとデザビレの家賃は20平米の部屋で8000円で周辺の相場の10分の1と大変安く、年間で約100万円家賃の出費を抑えることができます!この他に共益費がかかりますが、それでも合計月29,000円から入居できます。
事業をはじめたての頃は色んなことに投資が必要な時期なので、浮いたぶんのお金を別のところに投資して、しっかりと成長し、台東区の産業を盛り上げてほしいという想いでこの価格にしているそうです。
鈴木村長「デザビレは自分のやりたいことが固まっていて、3年あればひとり立ちできそうなポテンシャルや成長意欲がある人、これまで自分の目標のために色々積み重ねてきた人にはぴったりな施設です。台東区の資源を使ってクリエイティブなことに挑戦したい人にはぜひ入居していただきたいです!」
現入居者3名にインタビュー。デザビレに入居してどうでしたか?
実際に現在入居しているアパレルブランド「tactor」のデザイナー・山本奈由子さん、イラストレーターの進士遙さん、ジュエリーブランド「CHIKAKO YAJIMA」の代表・矢島千佳子さんの3名にもお話を伺ってみました。
地域に根付くデザビレの信頼感!デザビレ入居者=本気度の高い人という意識
2017年に入居した山本奈由子さんによるアパレルブランド「tactor」は、素材にアイデンティティを置きながら、女性のクローゼットのカジュアルなところからオケージョンなところまでカバーできるブランドです。ラメのジャカードに昇華転写をしたり、塩縮加工したウールにスポーティーな素材を組み合わせるなど、思わず触れたくなるようなアイテムばかり。
地域イベント『モノマチ』を訪れたことがきっかけで、入居を決意した山本さん。デザビレはビジネスを成功させたいという熱い想いを持った素敵なクリエイターが集まる場所だと感じたんだそう。ブランド立ち上げは入居と同じ2017年で、デザビレの面接を受けながらブランドのはじめての展示会の準備をしていました。
山本さんは愛知出身、イギリスの大学が最終学歴ということで、東京にコミュニティが全くなく、デザビレ入居前は職人さんと一から関係をつくっていくことに苦労していたそう。
入居して良かった点について伺ってみると、「広いスペースを安くお借りできることもとてもありがたいんですけど、何よりデザビレには地元からの信頼感があるんです!」とおっしゃっていました。
(近くのクルミボタン屋さんに注文したクルミボタン)
職人さんとやりとりする際に、デザビレ入居者だと話すことで自分の活動に対する本気度が伝わって要望や相談事に乗ってもらえるようになり、オーダー注文を受けてくれる近所のクルミボタン屋さんや、洋服についたシミを説明せずともさっと落としてくれるクリーニング職人さんなど、地域のプロに助けてもらいながらブランド立ち上げ時を乗り越えてきたんだとか。
山本さん「その道一本で食べている職人さんの姿を見ていると、『私も頑張ろう!』と励まされました。デザビレ入居応募のための申請書の多さや、倍率が高いという声で応募自体を諦める方がいますが、面接だけでも受けてみたらいいんじゃないかなぁと思います。応募のためには事業計画書を書かなくてはいけなくて、私はそれだけでも勉強になりました。ぜひデザビレに入居して3年間有意義に過ごしてください!」
イラストレーターでも入居OK!違うジャンルの方との繋がりがプラスに。
2016年に入居したイラストレーター・進士遙さんは、“妄想×リサーチ×イラストレーション”をテーマに行政やNPOのお仕事を中心に活動しており、デザビレでは珍しいイラストレーター・デザイナーとして「第9回モノマチ」のロゴデザインや、台東区の企業とのお仕事もたくさんしています。現在はイギリスで出会ったジュエラー・豊川芽生さんとデザインユニット・Rocha(ロチャ)を組み、二人でデザビレに入居しています。
海外での暮らしが長かった進士さんは、日本での作業場所を探していた時に偶然デザビレを見つけました。デザビレに興味はあったものの、制作会社で働きながら独立のタイミングを考えていたそうで、何度かデザビレの内覧会に参加し、具体的な話を聞きながら、自分の中で事務所をもつタイミングを考えていたそうです。
進士さん「デザビレに入居して、相方以外にも自分と違うジャンルの人とのつながりができたことはプラスでした。私はイラストレーターなので、ブランドをやっている方と比べると入居するまでは自分のコンセプトを深く考えることはしてこなかったんですが、デザビレの入居ブランドと出会うことで自分をお客さんにどうプレゼンしていけばいいんだろうとか、自分の強みを知ったうえでどういう人をターゲットにしていけばいいんだろうとか考えるようになりました。」
村長の存在も大きいようで、「どんなに小さくても自分のやっていることは事業だし、経営していかなければいけないので、そこを定期的に村長に見てもらえるのはいいですね。」と進士さん。
ファッションやジュエリーなどのブランドを立ち上げたい人が入居する場所というイメージが強いデザビレですが、進士さんのようなイラストレーターやフォトグラファー、グラフィックデザイナーなど、ものをつくらない職業だからこそできることもあるようです。人と人、そして人と地域をつなぐことができるのは、そういった業種の人ならではのこと。
進士さん「デザイナーやイラストレーターは自宅でも活動できるかもしれないけれど、実際のものづくりの現場でお互いがどんな仕事をしているのか、どんな人なのか、きちんと知った上で仕事をすることに魅力を感じたり、地域と何かやりたいって人にはデザビレはおすすめです。東京だけど人との距離が近く、アットホームな雰囲気もあるかな。入居者の方や町の人たちから受注することも多く、ここに入居したことで仕事の幅は広がりました。ぜひデザイナーやフォトグラファーの方にもデザビレを活用してもらいたいです。」
様々な人の支援を受け、助成金を活用しながらニューヨークでの展示開催も。
2016年に入居した矢島千佳子さんが代表を務めるジュエリーブランド・CHIKAKO YAJIMAは、リボンを四方向から手で編んで作る幾何学的な形が特徴です。もともと存在していた編み方にオリジナルな端の始末やひねりを加えて作ったジュエリーは、見る角度によって表情が変わり、思わず手に取ってみたくなります。
デザビレの入居者に誘われ入居を決めた矢島さんは、デザビレの内覧会に行った時、デザビレには欲しいものが揃っている!と思ったそうです。矢島さんお一人ではじめたブランドは、2年半経った今ではスタッフを雇えるほどに成長し、着実に規模を拡大していっています。
矢島さん「ジュエリーブランドは取引先がほとんど御徒町にあるので、自転車に乗って職人さんのもとへすぐに行き、親密なコミュニケーションをとることで商品の機能性や品質の向上に繋がったと感じますね。」
日本だけでなくニューヨークをはじめアメリカでの活動にも力を入れていて、村長や先輩たちに助成金のことをはじめ色んな相談に乗ってもらえたことで、ニューヨークでの出展も前より大きな規模でできるようになったそう。
矢島さんにとって、デザビレで知り合った同業者や村長の存在は大きいようで、特に半年に一度の村長との面談は自分の弱点を客観的に見る良い機会になっているんだとか。
矢島さん「デザビレは施設が整っていますし、何より入居者や村長の存在は心持ち的に良いなぁと感じます。デザビレの良いところを最大限に使ってください!」
2019年4月の入居者募集は10月からスタート!
デザビレの2019年4月の入居者募集は10月からスタートします。
10月には内覧会が計3回開催されるそうなので、自分の夢を本気で叶えたいという熱い想いを持っているクリエイターはぜひ一度内覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか?
本気の想いを全力で応援してくれる人との出会いや可能性が、デザビレにはありますよ!
台東デザイナーズビレッジ 内覧会(全3回)
日時:平成30年10月 3日(水)19:00~21:00
平成30年10月14日(日)14:00~16:00
平成30年10月17日(水)19:00~21:00
参加ご希望の方は、台東デザイナーズビレッジホームページから所定ホームで登録、または台東区産業振興課03-5246-1143まで①参加者氏名②業種③昼間の連絡先をお知らせください。
台東デザイナーズビレッジ 平成31年度4月入居者募集概要
募集室数:6室程度(予定)
募集日程:平成30年10月1日(月)~11月5日(月)
台東区役所産業振興課9階5番窓口まで持参または郵送のこと(締切日必着)。
持参の場合は、土日祝日を除く午前9時から午後5時まで。
募集要項および申請書類は、台東デザイナーズビレッジホームページよりダウンロードするか、台東区産業振興課窓口または台東デザイナーズビレッジ事務室で配布しています。申請にあたっては、募集要項をご一読ください。