DESIGN クリエイティブなモノ・コト
不要な段ボールから大切なものを生み出す、段ボールアーティスト島津冬樹さん
ガラクタが宝物になるかもしれないと気づかせてくれる、段ボールアート活動。
こんにちは。Keinaです。
何かを好きすぎる人って、幸せが溢れ出ていて、自然と気になってしまいます。「段ボールが好きすぎる」。「段ボールを世界中の人に愛してもらいたい」。というシンプルかつピュアな活動をしている、いま世界が最も注目をあつめる話題の段ボールアーティスト島津冬樹さんもそのひとり。
彼は、捨てられたいいデザインの段ボールを拾って、可愛くて、カッコいい財布に生まれ変わらせています。「不要なものから大切なものへ」をコンセプトに、2009年より路上や店先で放置されている段ボールから、財布を作るCartonをスタート。
本人は自身を段ボールピッカーとも呼び、これまでに世界30カ国を巡り、なにげない街角から捨てられた段ボールを拾ってきました。もう8年もの間、誰もが見向きもしない段ボールを、デザイン、機能性を兼ね備えた段ボール財布に生まれ変わらせています。
こうして島津さんが生み出す段ボール財布は世界中を旅し、リサイクルや再利用といった概念のさらに先を行く「アップサイクル」の可能性として受け入れられていますが、島津さんの思いはソーシャルな反応とは無関係に、ただひたすら段ボールが好きという、純粋さそのもの。
ゴミとして捨てられていた段ボールでも、きっと島津さんにとっては掘り出し物や宝物に見えるんでしょうね。海外の段ボールは色を使うのが上手く、日本はベージュベースのデザインが多いそう。ピザの箱は世界中に落ちているけれど、ピザの段ボールはいつも汚いから、これを拾うか、拾わないかは、葛藤があり、最終的には拾わない後悔をしたくないから拾ってしまうそうです。そんな風にひとつひとつ集めた段ボールは大切にコレクションしています。
段ボールは私たちに出会うまで、いろいろな場所へ行き、いろいろな人に会う旅をしてきました。世界中の様々な景色を見ているし、異国の空気を吸って、あらゆる人を介して、我々のもとへやってきます。細かく観察してみると、段ボールは目に見えない部分の旅を物語ってくれます。島津さんが段ボールに魅せられた最大の理由は、段ボールがたどってきた“あしあと”なのだそう。
捨てられた段ボールを物色する真剣な眼差し。大切な段ボールは財布にはせずに大事にしまってあり、段ボールへの愛とリスペクトゆえに、ハサミを入れることができないそう。段ボールアートの活動を通じて、どんなものにだって、愛すべきものになる可能性があることを、そしてその可能性が生まれると、生活をちょっと面白くさせることを知ってもらえたらと思います。島津さんは、国内外での展示やワークショップも多数開催しています。
そんな島津冬樹さんに「カードケース」のつくり方を教えてもらいました!
いつか島津さんのワークショップに参加してみたいなと思っていたところ、「ほぼ日刊イトイ新聞」さんの社内にて段ボールアーティスト島津冬樹さんによる段ボールワークショップが開催されるという噂を聞きつけて、なんと一緒に参加させていただくことになりました!(ありがとうございます!)
ぜひ、「ほぼ日刊イトイ新聞」の島津冬樹さんの記事もあわせてご覧ください
どこにでもある段ボールが生まれ変わってできた、どこにもない手帳カバー。 – ほぼ日手帳 2019
ほぼ日のスタッフのみなさまと一緒につくります。
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カードケースづくりで使ったもの
・カッターマット
・ボンド 木工用速乾
・大きめのダブルクリップ(2個)
・定規(30cm)
・カッターナイフ
・えんぴつ
・型紙
・お好きな段ボール
・水の入った霧吹き
・ドライヤー
はじめに、型紙の矢印と段ボール裏側のスジの方向をあわせます。次にFRONT部分に好きな絵柄が納まるよう位置調節します。位置が決まったら、型紙に沿ってえんぴつで線を書き、線の外側のいらない部分をざっくりとカッターナイフでカットします。私が選んだ段ボールは、秋らしい福岡県産の志波柿の段ボール。捨てられるはずの段ボールが材料になるなんてワクワクします!
段ボールの裏側を霧吹きで湿らせ、一番上の紙をきれいに剥がします。
剥がし終わったあと、まだ湿っている場合はドライヤーで乾燥させます。
定規の端を使って段ボールの裏側をしっかりなめしていきます。写真の段ボールの左側がなめし前、右側がなめし後です。
えんぴつの線に沿って、カッターナイフで慎重にカットします。(1)と(2)の部分に切り込みを入れます。
(1)と(2)の切り込みは1cmです。
切り込み部分(3)(4)を内側に三角に折り、両サイド(5)(6)も内側に折ります。定規の端を使って折り目をつけると綺麗に折れます。底部分(7)(8)も内側に折りこむとカードケースの下側ができてきます。
名刺サイズの紙を内側に入れ、その上1cmほど余白をとった状態で蓋部分(9)(10)を内側に折ると、完成まであと一歩です。
最後は、島津さんと一緒にハンドプレス機でバネホックを取り付けて完成です!所要時間はおよそ1時間ほどでした。完成したときのみなさんのキラキラした目がとても印象的でした!「不要なものから大切なものへ」と変わった瞬間を実際に体験し、段ボールを見る目が確実に変わりました。これは大きな気づきとなり、これから段ボールを見るたび、この気持ちを思い出すことでしょう。島津さん、ほぼ日のみなさま、素敵な体験をありがとうございました!
完成したカードケース
渋めの柿の段ボールがオシャレなカードケースに変身しました。
カードケース裏側に島津さんにサインをもらいました。
そうそう、最後に嬉しいお知らせです!2018年12月7日(金)より島津冬樹さんの活動に迫ったドキュメンタリー映画『旅するダンボール』が公開となりました。島津さんの活動が気になった方は、ぜひ劇場でお楽しみください!
島津冬樹 / 段ボールアーティスト
1987年、神奈川県生まれ。2012年多摩美術大学情報デザイン学科卒業。2015年、広告代理店を経てアーテイストヘ。「不要なものから大切なものへ」をコンセプトに、2009年より路上や店先で放置されている段ボールから、財布を作るCartonをスタート。日本のみならず、世界30ヵ国を周り、段ボールを集めては財布を作ったり、コレクションしている。国内外での展示やワークショップも多数開催している。
Carton Official Website
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島津冬樹さんの活動に迫ったドキュメンタリー映画
『旅するダンボール』
2018年12月7日(金)
YEBISU GARDEN CINEMA /新宿ピカデリー ほか全国順次公開
91分/配給:ピクチャーズデプト
映画『旅するダンボール』オフィシャルサイト
世界30カ国の街角で捨てられた段ボールを拾って、かわいくてカッコいい段ボール財布に。<不要なものから大切なもの>を生み出す、いま世界からもっとも注目の<段ボールアーティスト>島津冬樹の活動に迫ったドキュメンタリー映画。あなただけの大切なもので、未来を支えるアップサイクル。
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