広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック
こんにちは、箱庭編集部 moです。
インターネットによる情報化が進む昨今ですが、わたしは紙媒体が好きなので今でもフライヤーやDMをついつい集めてしまいます。箱庭読者のみなさんの中にもそんな方がいるのでは?

今日はデザイナーやクリエイターのみなさんはもちろん、紙モノ好きのみなさんにも必見の1冊『広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック』をご紹介したいと思います。

人を魅了する優れたフライヤーを100点収録!

展覧会、演劇、映画、音楽イベントなどの存在を人に知らせ、伝え、広めるために制作されるフライヤー。インターネットを介した拡散が求められる今の時代だからこそ、実験的な「表現」と「伝える」ことを両立させた力強いデザインが増えてきています。本書は、そんなフライヤーの可能性の広がりを感じさせてくれる優れたデザインを100点集めた実例集です。
広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック
ただ実例をアーカイブした作品集というわけではなく、フライヤー1つひとつについて、全体的なデザインの狙いはもちろん、書体やレイアウトといった細部に注目した解説も掲載しているところにも注目です。

広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック
特にポイントとなっている箇所は、わかりやすいようにデザインのアップ画像を見せてくれていますよ!

最新事例からフライヤーの“今”を一望しながら、デザインする際のアイデアソースとしても活用できる読み応えのある1冊。それでは、いくつかピックアップして内容をご紹介します!

広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック
まずご紹介するのは、ラファエル・ローゼンダールの美術館での個展のフライヤーです。色鮮やかなウェブサイトとして発表される作品や、あらゆるウェブサイトの構造を色面に抽象化できるツールなどを制作している作家に関わりが深い「インターネット」や「ディスプレイ」を印刷による色とレイアウトで表現した作品です。まるでディスプレイを見ているかのような、印刷物らしくないとも思える色合いがとても目を引きます!

広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック
こちらは、アーティスト、ゴードン・マッタ=クラークのアジア初個展のフライヤー。やわらかな配色が印象的ですが、これは多面的な作家であるマッタ=クラークを表現する為に、プロセス4色に加えて暖冬系の蛍光色をメインとしたグラデーションや、マテリアル自体の強さが特徴的なシルバーを使用するなど、それぞれ特徴を持つ、ちぐはぐな要素を混在させたのだとか。
土台となる用紙に4ページ分の資料が貼り合わせられているという構造もおもしろいです!

広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック
『クッキングパパ』の原画・資料を紹介する漫画展のこちらのフライヤーは、なんと週刊誌紙面をそのままスキャンしたデザインになっています!「素材の魅力を最大限に引き出すために、デザイナーとしていかに手を加えずに、複写や擬態・引用等の修辞的手法で成立させるか」を考えた先のデザインだそう。従来の漫画展のイメージにはない斬新なフライヤーは、思わず手に取りたくなってしまいます!

広がるフライヤー 展覧会、舞台・映画、イベントを表現するチラシのアイデアとテクニック
最後にご紹介するのは、栃木県・足利市内の旧市街地エリアに点在する歴史的建造物や古民家を会場としたアートイベントのフライヤー。「あしかがアートクロス」の名の通り、線をクロスさせて画面を仕切り、会場やイベント内容がイラスト化して組み込まれています。3色のみを使用したすっきりした色合いが爽やかさとレトロ感を引き出していて、ぬくもりのあるフライヤーとなっています。
イベントのフライヤーデザインが可愛かったり素敵だったりすると、つい足を運んでみたくなりますよね!

インターネット社会の現代でも、やはり紙媒体だからこそできる紙質や印刷での色合い、書体やレイアウトがあり、アイデア溢れる優れたフライヤーは、どの時代でも人を魅了するんだなぁと改めて感じました。

このほか、4組のデザイナーに対して、フライヤー制作を中心にさまざまな話を聞いたというインタビューも掲載されており、読み応えのある1冊となっています。
ペラペラと作品を眺めるだけでも楽しめますが、じっくりポイントを読むことでデザイナーやクリエイターのみなさんにとってきっと役に立つ1冊だと思います。気になった方はぜひチェックしてみてください。