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週末読みたい本『アフリカンプリント 京都で生まれた布物語』

週末読みたい本『アフリカンプリント 京都で生まれた布物語』

カラフルで鮮やかな、あのアフリカの布が、かつて京都で作られていた!

こんにちは、moです。
今回ご紹介する、週末読みたい本は『アフリカンプリント 京都で生まれた布物語』です。

タイトルを聞いて、アフリカと京都?と思う方もいるかもしれませんが、今日アフリカで広く愛用されている「アフリカンプリント」の布たちは、なんと1960〜70年代を中心に、京都でつくられ現地へ輸出されていたそうなんです…!
現地の人にも愛された日本製「アフリカンプリント」は、どのようなものだったのでしょう?
本書には色とりどりのテキスタイルとともに京都での制作全盛期が紹介されています。早速内容をご紹介していきます!

アフリカンプリントって?

アフリカンプリント
「ワックス・プリント」や「カンガ」など、近年日本でも密かにブームが到来している「アフリカンプリント」。本書はまず、そんなアフリカのテキスタイルを知るところからはじまります。

アフリカの伝統的な染織の話から、アフリカンプリントとはそもそもヨーロッパ人が「アフリカらしい」デザインとして開発したこと、リアル・ワックス・プリントやイミテーション・ワックス・プリントなどアフリカンプリントの分類など、第1章でアフリカンプリントについて様々な知識を得ることができます。

京都からアフリカへ。アフリカンプリントの生産秘話。

アフリカンプリント
第2章では、日本でアフリカンプリントを生産していた会社の1つ、京都の大手染工会社、大同マルタ染工株式会社をはじめ、当時アフリカ向けのプリント生産をしていた国内の7つの工場など、日本でのアフリカンプリント生産の歩みについて紹介されています。

戦後〜高度経済成長の時期に、アフリカンプリントが京都で作られてアフリカに輸出されていたということ自体に驚きで、アフリカの情勢と日本の市場戦略、輸出の実態など、当時の現状を知ることができる、とても興味深い内容です。

美しいアフリカンプリントの数々

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第3章は「大同マルタコレクション」と題され、現地で手に入れたプリント見本や実際に生産されていたプリントがたっぷりと紹介されています。

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これらは、京都の大同染工で生産されていた、イミテーション・ワックス・プリントです。アフリカで好まれるとう、大きな葉、クモの巣、コインを持つ手などのモチーフがデザインされています。存在感のあるモチーフでありながら上品で美しいと感じました。典型的なアフリカンプリントだそうですが、インディゴ染がベースになっていることもあり、なんだか京都を感じる気がします…!

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こちらは、現地で収集されたイミテーション・ワックス・プリント。鮮やかな色彩や、大胆に描かれたカニやエビ、クジャク、頭に荷物を乗せた女性など、見ているだけでワクワク楽しくなるようなデザインばかり。
今までアフリカンプリントについてあまり知りませんでしたが、本書を読んでいるうちにどんどん興味が湧いてきて惹きこまれていきます…!

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アフリカの衣装が西洋化していく過程で広まった、比較的新しいデザインであるファンシー・プリントも紹介されています。オランダ製のプリントには可愛らしいチューリップが描かれていたり、シンガーミシンを使った女性が描かれているものがあったりと、こんなにも様々な柄があるということを初めて知り、改めてアフリカンプリントの奥深さを感じました。

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“生産技術部研究ノート”というコンテンツもおもしろいです。研究開発の詳細な記録が記されたノートの一部が掲載されているので、デザイナーやクリエイターのみなさんがきっと気になる内容だと思いますよ!

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このほか、京都の機会捺染産業の歴史や、日本で広がるアフリカンプリントの現在、元・大同マルタ染工 技術職の方々による座談会や、アフリカンプリントブームの取材など、アフリカンプリントの魅力がぎゅっと詰まった1冊となっています。タイトルに「布物語」とありますが、その言葉通り、1つの大きな物語を感じることができました。
アフリカンプリントが好きな方はもちろん、今まであまり知らなかったというみなさんも、きっとアフリカンプリントに魅了される1冊ではないでしょうか。
本書の最後にはアフリカンプリントに出会える、SHOP LISTも付いているので、本書を片手にショップを巡ってみては?

アフリカンプリント 京都で生まれた布物語

監修:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
著:並木誠士
  上田文
  青木美保子
判型:A5
総頁:168頁
定価:2,500円+税
ISBN 978-4-86152-729-6 C0072
http://www.seigensha.com/books/978-4-86152-729-6

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