DESIGN クリエイティブなモノ・コト

週末読みたい本『カフェの空間学 世界のデザイン手法』

週末読みたい本『カフェの空間学 世界のデザイン手法』

こんにちは、haconiwaキュレーターのカナコです。
今日は世界的建築家・隈研吾氏も推薦する一冊『カフェの空間学 世界のデザイン手法』をご紹介します。

空間デザイナー・加藤匡毅氏がセレクトした世界のカフェ

本書を手がけたのは、建築デザイン事務所・Puddleを主宰する加藤匡毅氏。
15を超える国と地域で、それぞれの「場」にふさわしい個性を出すことを目指したカフェの設計経験がある加藤氏が、仕事やプライベートで訪れ、印象に残ったカフェをご紹介しています。
以前からの趣味だという「スケッチ」「写真」を中心に、オーナーや設計者へのインタビューを交えながら、各カフェがどう「個性」を獲得したのかを探っていきます。

空間設計の視点から、現代カフェの居心地に迫る

今回は、世界中のカフェから39店を掲載。加藤氏が設計の際に意識しているという「場所とのかかわり」「人とのかかわり」「時間とのかかわり」の3カテゴリーに分類されています。外観やしつらえの分かる写真や、空間の特徴を捉えたスケッチ、図面により、建築に造詣が深い方も、素人の方も読み応え抜群の内容になっています。
今日は、その中からいくつか気になったものをご紹介していきます!

●場所とのかかわり

「場所とのかかわり」の項目では、カフェのデザインが周辺からどう影響を受けたのか、という点に着目しています。

1910_cafe_01
1910_cafe_02
まずは、鎌倉の「Dandelion Chocolate, Kamakura」。こちらは著者の加藤氏によって設計されました。地元住民に長い間使われてきた、既存の動線を活かし、カフェの顔としながら、周囲の環境と溶け込むように設計されています。

1910_cafe_03
1910_cafe_04
次は、ドバイの「The Magazine Shop」。金融の中心地として急成長を続けるドバイの陰に埋もれてしまった、かつての素材や手仕事を用いたカフェです。土着の素材で生み出された空間は、現代都市へのアンチテーゼとも言えます。残念ながら現存していないそうなので、本書でその魅力を感じてみてくださいね。

1910_cafe_05
1910_cafe_06
続いて、表参道の「KOFFEE MAMEYA」。スタンディングのキオスクと壁一面のコーヒー豆が印象的なビーンズショップです。あえて無窓空間で通りとの関係性を断つことで、独特の緩やかな時の流れを感じられる場になっているそう。一見するとシンプルなカウンターも、断面スケッチから、内側の豊かさが窺い知れますね。

●人とのかかわり

「人とのかかわり」では、カフェを利用する人を巻き込もうとするデザインのあり方を捉えています。

1910_cafe_07
1910_cafe_08
こちらは表参道の「HIGUMA Doughnuts×Coffee Wrights」。道路レベルから壇上に掘り下げられた空間が特徴的です。通りに面して縁側のような座席を設置。人が思い思いに座ることで、様々な表情を外部に見せています。

1910_cafe_09
1910_cafe_10
最後は、渋谷・道玄坂沿いの「ABOUT LIFE COFFEE BREWERS」。間口が1.5mという狭小カフェです。細かなしつらえや機能と店のサイズをマッチさせることで、お客さんとスタッフのコミュニケーションが取りやすくなっているそう。掲載された写真から、小さい中に詰め込まれた工夫が伝わってきます。

居心地の良いカフェ空間を巡ってみては?

肌寒くなるこれからの季節は、素敵なカフェのコーヒーで暖まりたくなります。
カフェで美味しいコーヒーを味わいながら、本書を片手に上質な空間を楽しんでみるのも良いかもしれませんね〜。

カフェの空間学 世界のデザイン手法: Site specific cafe design

著者:加藤匡毅
本体価格:3000円
A5判・184頁・ISBN978-4-7615-3250-5

EXHIBITION

いまオススメの展示・イベント

//*---- ▼ ここからSNS ----*// WEAR_ロゴ OMIYAGE CLIP H A C O N I W R E T S