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週末読みたい本『時代と作品で読み解く 映画ポスターの歴史』

こんにちは。haconiwa編集部 moです。
今週ご紹介する週末読みたい本は『時代と作品で読み解く 映画ポスターの歴史』です。映画好きのみなさんから、グラフィック、アートファンのみなさんもきっと楽しめる1冊ですよ。
1910年代から2010年代までの映画ポスター約450点を紹介!
本書は、1910年代から2010年代までの10年ごとに世界各国で作られた映画ポスターを紹介し、450点にも及ぶ映画ポスターを掲載した1冊。
ただポスターデザインを紹介するだけでなく、ポスターをデザインしたアーティストやスタイルの変遷、政治やイデオロギーの影響、映画の商業的側面がポスターの発展に果たした役割など、映画の発明から2010年代まで世界の映画ポスターを芸術的、商業的な観点から探求する内容となっています。読み応えのある1冊となっていますので、今日は気になる内容をピックアップしてご紹介したいと思います!
過去の映画ポスターは様々な展覧会や書籍等で見る機会があるかもしれませんが、それらがどのようにどんな背景で生まれたかは意外と知りません。
本書では最初期の映画ポスター、1910年代のハリウッド創成期など映画ポスターの変遷の様子を映画ポスターの起源から事細かに解説しています。
最初にもお伝えしましたが、デザインの変遷だけでなく時代背景や映画の傾向なども一緒に解説されているのがおもしろいところ。例えば戦争のあった時代には検閲の強化でデザインの表現が控えめになったり、いくつものプロパカンダ映画に伴い政治的メッセージが強いポスターが作られたりと、映画ポスターを通じて世界の歴史の片鱗も一緒に学べる内容となっています。
監督、俳優、デザイナーについて綴るコラムも必見です。こちらの俳優研究のコラムでは、チャールズ・チャップリンの演じた放浪者チャーリーが、どのようにしてお馴染みのキャラクターになったのか?といった俳優に関する詳しい解説が。
こちらの作品研究のコラムでは、世界初の全編手描きで作られた長編アニメーション『白雪姫』について綴られています。現在でも不動の人気アニメーション作品ですが、当初は制作期間中に「ディズニーの道楽」と呼ばれ揶揄されていた事実や、実写の長編映画しかない時代に観客を呼び込むのは至難の業であったことなど、当時の裏話のような解説が綴られておりおもしろいです。
1980年代〜2000年代以降では、見たことのある映画も増え、映画ポスターがより身近なものに感じます!
『E.T.』や『羊たちの沈黙』など言わずと知れた名作も、映画を思い浮かべると、必ずといっていいほどこのポスターのビジュアルが思い浮かびます。改めて映画におけるポスターの役割って重要なんだなぁと感じました。
知らなかった過去の映画の背景を知るのもおもしろいですが、観たことのある映画のポスターやその背景について知ることもとても楽しいですよ。
じっくり読むのはもちろん、ペラペラと作品集のように眺めるだけでも楽しめます。こちらの写真はポーランドとチェコスロバキアの映画ポスターデザインです。同じ時代でも国によって表現が違っていたり、国やデザイナーによってフォントや色の選び方が違ったりとグラフィック目線でも楽しめると思います!日本映画のポスターデザインも紹介されていたので是非見てみてくださいね。
いかがでしたか?今回ご紹介したのはたくさんあるポスターの中のほんの一部です。とても読み応えのある内容となっていますので気になる方は是非チェックしてみてくださいね〜!
時代と作品で読み解く 映画ポスターの歴史
出版社:玄光社 (2019/9/12)
仕様:A4変型判 288ページ
定価:本体4,200円+税
ISBN:978-4-7683-1192-9
http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=19101
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