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週末読みたい本『ソビエトデザイン 1950−1989』

週末読みたい本『ソビエトデザイン 1950−1989』

こんにちは。haconiwa編集部 moです。
本日ご紹介する本は、デザイナーやクリエイターのみなさんにオススメの1冊『ソビエトデザイン 1950−1989』です。

ロシアのデザインに関する本は、haconiwaでも何度かご紹介してきましたが、ソビエト連邦時代のデザインに関する本をご紹介するのは本書が初めてです。

これまでほとんどスポットライトを当てられたことのない、ソ連のデザインをテーマにした1冊。

本書の冒頭では、ソ連という国家の性質が綴られています。ソ連とは、市民の日々の欲望を満たすのではなく、人間が宇宙を飛行するという偉業への投資に向かっていった国家であり、「ソビエト製の生活用品はパッとしない」という西側諸国の共通認識があったそう。
本書はそんな「ソ連精神は低基準だった」という見方に疑いを持ち、失われた文明の断片に目を向けた1冊です。

第二次世界大戦後から冷戦終結まで(1950-1989年)の間に生まれたソビエトのデザイン350点を、モスクワデザインミュージアムの所蔵品から厳選。当時のソビエト共産主義に基づく生活模様が垣間見られる内容となっています。

●市民生活

ソビエトデザイン 1950−1989

ソビエトデザイン 1950−1989
はじめの章で紹介されているのは市民生活のデザインです。チョコレートの包み紙やインスタントコーヒー缶のパッケージなど、市民の生活に密接していた日常的なデザインに触れることができます。

ソビエトデザイン 1950−1989

ソビエトデザイン 1950−1989
また香水やファッション誌の紙面デザインなど、嗜好品・娯楽などのデザインも多く、当時のファッションの傾向や流行を想像させます。

ソビエトデザイン 1950−1989
日本でも人気のキャラクター、チェブラーシカの人形も発見!このキャラクターもソ連時代に生まれたデザインだったとは知りませんでした。

ここまで様々なデザインを見てきましたが、素人目には「ソビエト製の生活用品はパッとしない」という印象はなく、どれも可愛いなぁ〜と感じてしまいます。

●国家

ソビエトデザイン 1950−1989
続いての章では、国家で作られたデザインが紹介されています。
こちらは1986年に作られた啓蒙ポスター。一見レトロで可愛いデザインだなぁと思いますが、1980年代といえば世界の他の国では写真を使ったグラフィックが主流になっていた時代。このようなデザインを見ると、閉ざされた国家で独自の文化を貫いていたんだなぁと改めて感じます。

ソビエトデザイン 1950−1989

ソビエトデザイン 1950−1989
電化製品や車なども、どことなく個性的なデザインが多い気がします。政治色もあったようですが、機能的でキッチュでしばしば前衛的でもあるデザインたちは、見ているだけで楽しめます。

●世界に向けて

ソビエトデザイン 1950−1989
世界に向けたデザインの章では、モスクワ・オリンピック関連のグッズやピクトグラムなどが多数紹介されていますが、この章で1番気になったのはやはり宇宙関連のデザインです!

ソビエトデザイン 1950−1989
見てください。ロケットや土星をモチーフにした掃除機が種類豊富に作られていることに驚きです!こんな形の掃除機、他には見たことがありません(笑)。

ソビエトデザイン 1950−1989
お菓子の缶やタバコのパッケージにもロケットや宇宙のデザインが…!冒頭で、ソ連は人間が宇宙を飛行するという偉業への投資に向かっていった国家だったとお伝えしましたが、これらのデザインからも、いかに国を挙げて宇宙への取り組みをしていたかが伺えました。

ソビエトデザイン 1950−1989
本書の帯にはこんなコメントが書かれていました。“なぜこんなに惹かれるのか。実用的で、キッチュで、どこか滑稽で、政治的で、アヴァンギャルドなソビエト連邦時代のデザイン”。
本当にその言葉通りで、実用的そうなのだけれど、どこかクスッと笑ってしまいそうなものばかりで、他のどの国とも違う魅力が詰まっていてとても惹かれました。

本日ご紹介したのは約350点のデザインの中のほんの1部です。他にも気になるデザインが盛りだくさんなので、ぜひ実際に手に取ってみて見てくださいね〜!

ソビエトデザイン 1950−1989


出版社:グラフィック社
編集/翻訳:グラフィック社, 石田 亜矢子
発売日:2019年8月刊行
仕様:B5変型 並製 総240頁
定価:本体2,800円(税別)
ISBN:978-4-7661-3286-1
http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=39501

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