DESIGN クリエイティブなモノ・コト
神社の空間デザインに注目!東京・乃木神社の授与所がリニューアル

こんにちは、haconiwaキュレーターのカナコです。
初詣などで神社に訪れることが多くなるこの季節。神社の空間デザインに注目してみませんか?2019年11月、令和5年に御鎭座100年を迎える東京・乃木神社の奉祝記念事業の一環で授与所がリニューアルしました。今日は、その素敵なデザインをご紹介していきます。
建築家・大江宏氏設計の授与所と現代的なデザインのハーモニー
乃木神社・授与所のリニューアルを手がけたのは、「澄んだデザイン」をテーマに、インテリアからプロダクトやグラフィックまでデザインを行う株式会社イドのインテリアデザイナー・小栗誠詞さん。昨年11月、カウンター周りと什器、サインのデザインを一新しました。
今回のリニューアルにより、約60年前に建築家・大江宏氏によって建てられた趣深い建築空間と、現代のインテリアデザイナーの感性が融合。お互いが引き立て合い、神聖だけれどどこか親しみやすさのある、今までにない空間が生まれました。
「本物」の素材へのこだわり
乃木神社の権禰宜である井戸さんとのお話から、若い方が「本物」の素材に触れる機会が減っており、そのことが物の扱いの所作にも影響を及ぼしている、というお話が印象的だったという小栗さん。堅牢性の高い人工素材が増えたことで、物を丁寧に扱う意識が薄くなっているからこそ、本物素材を使用することの大切さに思い至ったそうです。
デザインをするにあたり、半屋外で人の手も多く触れる環境に対して堅牢さを確保しながらも、「本物」の素材を用い、さらにコストを抑えて計画することに、どう折り合いを付けるかが求められました。
そんな中、小栗さんが辿り着いたのは、自然からインスパイアされたテクスチャーに仕上げられた床材を徹底して使うことで、全体の統一感を創出するという方法。
植物や樹木から採取した繊維、脂、木粉などを洗浄・細粉して、植物からインスピレーションを得て色柄が製作された床材が、ふんだんに用いられました。その色柄は、木目や石目を模倣したものではなく新たに生み出された抽象的なもの。小栗さんは、これを新しい「本物」素材と捉え、課題を解決しながら空間にまとまりを生み出しました。
シンプルながら計算され尽くしたデザイン
授与所内の空間は、什器の水平面を大きく取ったことによる、すっきりとした印象が特徴的です。折敷や工作台といった既製品と組み合わせ、コストを抑えながらも空間の広がりが生まれ、人の動線がスムーズになることも想定されているんだとか。
お守りを陳列する為の什器は、数あるお守りの種類を把握しやすいように、カテゴリーによって分類。見本のお守りの後ろにストックを設けた構成には、お守りを受ける人が手に取りやすいだけでなく、神職の方が管理しやすいようにという心遣いも現れているんです。
サインにも、小栗さんのこだわりが溢れています。床材と同じ素材の縁取りで統一感を出しながら、おみくじの引き方が理解出来るグラフィックを設置。海外から来られる方もたくさんいらっしゃるため、より多くの方に文化を伝えられるような工夫も散りばめられています。
そのように、使い勝手が計算されつつも、目にした瞬間、素敵だな〜と思ってしまう美しいデザインになっているのがすごいところ。実際におみくじを引いて、そのデザインの魅力を体感してみてはいかがでしょうか。
日常の中にあるデザインに、注目してみては?
神社の空間デザインのお話は、いかがでしたか?私たちが日常のなかで何気なく訪れている神社ですが、そこにあるデザインには、様々な工夫や配慮が詰め込まれているかもしれませんね。これから神社に足を運んだ時は、その空間デザインに注目してみるのも面白そうです。
乃木神社は、都会にいながらも忙しさを忘れて癒しを与えてくれる貴重な空間。ぜひ実際に訪れて、空間の魅力を味わってみてくださいね。
写真:山内紀人
乃木神社
住所:東京都港区赤坂8-11-27
開門時間:6:00〜17:00
授与所・祈願受付所:9:00〜17:00
https://www.nogijinja.or.jp/
株式会社イド
http://id-inc.jp/
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