DESIGN クリエイティブなモノ・コト
週末読みたい本『木×デザイン』『金属×デザイン』『石×デザイン』

アーティストやデザイナーが引き出す素材の魅力に注目
こんにちは、haconiwaキュレーターのカナコです。
今週は、自然素材とデザインの可能性に着目した本をご紹介します。アーティストやデザイナーが、「木」「金属」「石」それぞれの素材の魅力を引き出したデザインが掲載されている3冊です。それぞれの素材ごと1冊にまとめられており、インパクトに富んだ表現方法を「取り入れる」「加工する」「変容する」の3つのカテゴリーをベースとし、デザインを通した各素材の可能性や創作のヒントがたっぷり詰めこまれているんです。それでは、1冊ずつ見ていきましょう。
●『木×デザイン』
各素材を加工したデザインや、別素材で自然素材の質感を表現したデザインまで、実に様々な事例を紹介している、こちらのシリーズ。まずは、木素材にフォーカスした44のデザイン・プロジェクトを取り上げた『木×デザイン』からご紹介。木目を模した柄で、質感も本当の木目のような凹凸が楽しめる表紙が目を惹きます。表紙からも、素材へのこだわりが伝わってきます。
こちらは素材そのものを活かした「トロフィー」です。様々な樹種の材をまとめただけという大変シンプルなものですが、上品で落ち着きある仕上がりになっています。一般的なトロフィーは、特別なものだからこそ、お部屋と雰囲気が合わず置くのが難しいイメージがありますが、これならどんなインテリアとも相性抜群です。木ならではの温もりも伝わってきて、置いているうちに段々と愛着も深まっていきそうです。
「切り株」のように見えるこちらは、アーティストのタマラ・コスティアノフスキー氏による、洋服で作られたアート作品です。切り株を人間の肉体を彷彿とさせる色味で作り、地球の風景を切断された人体のように見立てることで「再生」を表現しているそう。改めて自然の一部として「木」が持つ意味を考えさせられます。
最後にご紹介するこちらは、一体何だと思いますか?なんと、木片から加工したタイルで作られた「木の布」なんだそう。硬いイメージのある木を、柔らかく動きあるものに変化させるという、木の新たな可能性を感じさせるデザインになっています。どのような質感なのか、実際に触れてみたくなりませんか。
この他にもまだまだ「木」の魅力や可能性を引き出しデザインが満載です。こんなアイデアもあるのか〜と、ページをめくる手が止まらなくなりますよ。
発行:グラフィック社
発売日:2020年2月刊行
仕様:B5変形 並製 総172頁
定価:本体2,800円(税別)
ISBN:978-4-7661-3338-7
分類コード:C3070
http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=40304
ここからご紹介する2冊は、なんとまだ発売されていないもの。発売前に先取りしてご紹介します〜。
●『金属×デザイン』
「金属」を活かしたデザイン・プロジェクトから42事例に着目した、4月に発売予定の『金属×デザイン』を見ていきましょう。
まず気になったのは、普段は表に出ない「ネジ」をあえて「見せるもの」としてデザインしたプロダクト。縁の下の力持ちであるネジを主役にすることで、様々なアイテムのアクセントになっていますね。金属そのものを活かした、種類の違いによる色味の差もとても美しいです。
金色が眼に眩しいこちらは、シルクスクリーンで印刷されたPR媒体。ゴールドのシートをくしゃくしゃにしてちぎることで「無駄な贅沢」をビジュアル化し、メッセージ性を強めているそう。金属という素材の持つ奥深さを改めて考えさせられますね。
最後は、金属板を伸ばすことで、立体的なホルダーになるプロダクトが気になりました。平面化したことによる携帯しやすさという機能性と、細い線による緊張感が生み出す軽やかな美しさを兼ね備えています。素材の薄さや丈夫さを活かした、金属の新たな可能性が詰まっています。
いかがでしたか?今まで知らなかった金属の魅力が盛りだくさんです。発売が待ちきれません〜。
●『石×デザイン』
最後は石素材の事例をご紹介する『石×デザイン』です。個性豊かな石が散りばめられ、1つのパターンを生み出しているような表紙が素敵ですね。
はじめにご紹介するのは、天然石をそのまま活かした、ペーパーウェイトやフォトスタンドなどのプロダクト。一見すると普通の石なのですが、実は特殊技術で印刷が施されており、自然物であり人工物でもあるという不思議なコラボレーションが魅力的です。
続いても「石そのもの」に見えるのですが、実はこちらはラムネ菓子だというから驚きです。映画を題材にしたお菓子を手がけるcinecaの土屋みおさんがデザインされているそう。硬いイメージの石がどのようなお菓子になっているのか、食感も味も気になるところです。
ラストは、コンクリートに印刷するという新技術を用いたプロダクトをご紹介。建築素材としての存在感が強かったコンクリートですが、紙のように自由にグラフィックを印刷できるようになることで、一気に身近なものに思えてきます。ポスターやインテリアにもコンクリートが使いやすくなったら、表現やアイデアの幅も広がりそうですね。
まだまだご紹介したい事例がたくさんあるのですが、今回はここまで。
発売は6月の予定だそうです。まだ少し先ですが、忘れずにチェックしたいですね!
各書には、今回ご紹介した事例のほか、加工方法や素材特性や種類なども掲載されており、1冊で素材の魅力やアイデアを存分に知ることができますよ。ものづくりに携わる方ならぜひ持っておきたいシリーズです。
まずは発売中の『木×デザイン』から、ぜひお手に取ってみてくださいね。
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