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環境問題をより身近に。台湾の海洋ゴミ図鑑「海廢圖鑑」に注目!

環境問題をより身近に。台湾の海洋ゴミ図鑑「海廢圖鑑」に注目!

こんにちは、シオリです。
今日は、私が気になった台湾のデザインをひとつご紹介したいと思います。「海廢圖鑑」という、台湾初となる海洋ゴミをテーマにしたサイトです。

海廢圖鑑
「海廢圖鑑(=海洋ゴミ図鑑)」は、台湾の環境保護団体「RE-THINK(社団法人台湾重新思考環境教育協会)」と簡訊設計公司(Simple info)が手掛けたWEBサイト。2013年からビーチクリーン活動に取り組んでいる「RE-THINK」は、もっと環境問題を身近に感じてもらいたいとの思いから昨年このアイデアを思いつき、サイト制作を行ったそうです。

環境問題というと、少し構えてしまう人もいるかもしれませんが、そんな壁を取り払ってくれるのが、この「海廃図鑑」。どんなサイトなのか、ご紹介していきたいと思います。

台湾各地の海岸で拾われた、海洋ゴミを図鑑に。

海廢圖鑑
まずは、みなさんもこのサイトを開いてみてください。スクロールしていくと、たくさんの海洋ゴミが続々出てきます。見たことがあるものから、これは何だろう?と思うものまで、本当にたくさんの種類が並んでいますよね。実はこれらは全部、台湾の海岸で拾われたゴミたち。こうしてみると、カラフルなゴミ達が素敵なコレクションのようにも見えてきてしまうから不思議です。

海廢圖鑑
ずらっと並ぶ中から気になるゴミをクリックすると、そのゴミの詳細が分かるページが表示されます。このゴミがどこで拾われ、どんな素材かという情報から、ゲームのキャラクターのように「HP」まで書かれているのが面白い!さらに、このゴミの詳細ページでは、スクロールに合わせてゴミが360°回転するという仕掛けも。思わず何度もスクロールするのが楽しくなってしまいます。

海廢圖鑑
また、先ほどのゴミの一覧ページは、拾われた場所のマップ表示に切り替えることも可能。場所から見ていくことで、よりリアルに海岸に漂着したものなんだということが実感できるんです。

ビーチクリーンを通して、問題を可視化。

海廢圖鑑
デザイン性もあり、ゲームのような楽しさもありながら、海洋ゴミの問題をありありと感じさせる「海廢圖鑑」のサイト。台湾では、個人や企業、公的組織など、たくさんの方がビーチクリーンを行なっているそうですが、ビーチクリーン経験者なら分かる通り、拾っても、拾っても、再びゴミは漂着して溜まっていくのが現状です。

そんな中、ビーチクリーンを通して問題の可視化し、最終的には問題解決に繋げたいという思いたったのが、このプロジェクトがスタートしたきっかけだったそう。アイデアを出す際にインスパイアされたのは、台湾の芸術団体「One One & One」や、みなさんご存知のスマホゲーム「ポケモンGO」だそう!海洋廃棄物の特殊かつ神秘的な様子をモンスターに見立て、海を攻撃するモンスター「海洋ゴミ」をみんなで捕獲するというアイデアは、とても斬新なものですよね。

目を背けてしまいがちなものを、興味を持ってもらうものへ。

海廢圖鑑
デザイン面でこだわったのは、まずはインタラクティブであることと、キャッチーなビジュアルを用いたこと。ゴミのサンプルが360°見えるような動きは、手を動かし観察する楽しさはもちろん、より深くゴミのことを考えるきっかけにもなればという思いも込められています。

また、サンプルとして挙げているゴミの数々が、すべてビーチのリアルな状況に即していることにもこだわったんだとか。なぜなら、この企画の目的が特殊で面白いゴミを見せることではなく、ゴミの背後にある問題を伝えることだから。

海廢圖鑑
これまで収拾したゴミのなかには、今から30年も前に作られたプラスチック製品もあります。そこからわかるのは、プラスチックは年月が経ってもなかなか分解しないということ。その長い年月がしっかりと伝わるよう、ゴミの撮影では、海を漂流してきた際についた痕跡のテクスチャーやディテールを詳細に表現できるように注意を払っているんだそうです。

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そんなこだわりが詰まった「海廢圖鑑」は、中華圏において最も権威と影響力のあるデザイン賞の一つである「Golden Pin Design Award」で、2019年に「年度ベスト賞」「年度特別賞-ソーシャルデザイン部門」をダブル受賞しています。

まずは「自分のできることをやってみよう!」と思って欲しい。

環境問題は、日々厳しくなっていくばかりです。皆がいつまでも傍観者の立場にいるなら、この問題はますます厳しくなることは、目に見えた未来。「RE-THINK」が考えるのは、まずは「海廢圖鑑」の面白く生き生きとした表現を通して、みなさんに海洋ゴミについて興味をもってもらいたいということ。その後さらに、内容をじっくり読んでもらえれば、海洋ゴミの問題は一人一人の生活と、どれほど密接しているかが深く理解してもらえると期待しているそうです。

ちなみに、この図鑑はミニパンフレットにもなっていて、ビーチクリーンに参加する企業パートナーや一般人の方々に配布されています。将来は、ニーズに応じて書籍や展示やマルチメディアによるアウトプットの可能性も考えていきたいそうなので、今後の展開にも期待したいですね。

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