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週末読みたい本『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』

週末読みたい本『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』

こんにちは、haconiwaキュレーターのモリサワジュンコです。
みなさんは沖縄を旅した時、建物に注目したことはありますか?私は何回か沖縄を訪れてはいるものの、じっくりと注目したことがなかったかもしれません。

今日ご紹介するのは、単なる建築の本ではない、街と建築、そこに生きる人々の暮らしがたっぷり詰まった一冊『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』をご紹介します。

沖縄建築を歴史から学べる!

沖縄島建築 歴史と変

本書は、まずは「沖縄島建築の歴史と遍歴」からスタート。
「日本本土」と「琉球・沖縄」の建築の歴史年表が上下の並列で書かれています。照らし合わせて読めるのが、おもしろいですね!

なぜ、日本は「木」、琉球は「石」の建築物が多くなったのか?など、現代までの沖縄独自文化の流れを知ることができます。

沖縄島建築住宅図解一覧

次のページでは、「沖縄の建築、住宅の図解」、「風土と信仰」がイラストで詳しく解説されています。ひとつひとつの建築様式に刻まれた歴史や特徴を絵でみることができます。

沖縄の歴史をたどる10軒の建物をご紹介

それでは気になる本編をみていきましょう。
本書では、「戦前の暮らしが見える泡盛工場」、「沖縄第一号のホテル」、「世界一小さい美術館」、「地元のアメリカンドライブイン」など、沖縄の歴史をたどる10の建築を中心に紹介しています。

インタビュー表紙

こちらは「やがて百歳になる旧庁舎」。見開きで紹介されている外観がとても個性的で目をひきますね!
この大宜味村役場旧庁舎は以前は一般開放されていたのですが、現在は外側は見れますが、内部には入れないそうなので貴重な記録ですね。

大宜味村 図解

ページをめくると、沖縄建築を味わう上での基礎知識が、4つのパートで解説してあります。
「図解」、建物の「歴史」、特徴のある「構成」、参考となる豆知識などの「MEMO」で構成されていて、まるでわくわくする図鑑のようなんです!

そこに生きてきた人々の暮らしを記録した、心に響くコラム

ページをめくって眺めているだけでも楽しい『沖縄島建築』ですが、実は読み物のコラムがとても充実しているんです!建物とその中で時間を過ごしてきた人々の暮らしが共鳴しあっているのが、このコラムからジワジワと伝わってきます。

コラム

こちらのコラムは、津嘉山酒造所の「たったひとりでつくる泡盛」と、親川鮮魚店「仲尾次には13軒のさしみ屋があった」。読んでいると、一瞬でその場所へ自分を連れて行ってくれて、まるで同じ空間でインタビューを一緒にきいているような不思議な感覚。

読者の方の感想には「建築の本なのに泣いた」、「本を読んでここに来ました!」という声も多く寄せられるそう。

沖縄の風土から生まれた、独自の装飾

本の中には、さまざまな模様の「花ブロック」、オリジナリティーのある「鉄門扉」、台風が多いので直接建物に字を書いた「直書き看板」など、知っているようで知らなかった装飾のコラムも。

花ブロック

沖縄の町並みで多く目にする「花ブロック」。
花ブロックは戦後、台風に耐えるため米軍が基地施設や居住地などをコンクリートブロックで立て替えたことから、沖縄では極端にコンクリート化が進み、現在では外塀、屋上、バス停、墓の囲いに至るまで、さまざまな場所で生活に密着して使われているそう。

文様やパターンの装飾がきれいだなと眺めていましたが、沖縄の風土と歴史に花ブロックが数多く見られる理由があったのですね!

鉄門扉

こちらはコンクリートの建築と共に普及した「鉄門扉」。
職人さんのアイディアと技術により、いろいろなオリジナリティーがみられて楽しいですね。現在では消えゆく沖縄の風景となり、絶滅危惧種なのだそう。

記録と記憶に残る写真がたくさん!

沖縄島建築_聖クララ教会

沖縄らしさも感じられる不思議で神秘的な雰囲気の建物の写真が多く、ソファーの傍らなどに置いて、ずっと世界に浸れちゃいます。

「建物と暮らしの記録と記憶」とサブタイトルにあるように、この先いつまで残っているかわからない建物を、大切に書き留めているかのような作り手の気持ちが伝わってきます。
そんな点が、地元に暮らす方にも評価されていて、先日、沖縄県内の書店員さんが選ぶ「沖縄書店大賞」にもノミネートされました。観光客のみならず、地元の方にも多く手にされているなんて、すごいですよね。

沖縄島建築_北部

本を片手に沖縄島建築めぐりはいかが?

建築めぐり

本の最後には、沖縄本島を北部、中部、那覇、南部の4エリアに分けて、本を片手に訪れてほしい建物・地域を紹介しています。
本書で紹介している物件や取材先の一覧が掲載されているため、居てもたってもいれず、この本を持って飛行機に乗ってしまったという方もSNSでみかけましたよ。

晴れて外にでれるようになった時には、本を片手に建築めぐりをしてみてはいかがでしょうか。

沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶 (味なたてもの探訪)

監修・写真:岡本尚文
建築監修:普久原朝充
本体価格:1900円(税別)
発売日:2019/12/4
仕様:192ページ/A5/ソフトカバー
ISBN:978-4-908406-40-9
出版社:トゥーヴァージンズ

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