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週末読みたい本『SF映画のタイポグラフィとデザイン』

週末読みたい本『SF映画のタイポグラフィとデザイン』

こんにちは、haconiwaキュレーターのカナコです。
今週の週末読みたい本は、デザイン好き、映画好きの皆さんにおすすめしたい1冊をご紹介します。

SF映画のデザインを徹底分析

本書は、タイトルの通り、名だたるSF映画のタイポグラフィとデザインに注目した、これまでにない1冊。

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著者であるデイヴ・アディ氏は、映画『2001年宇宙の旅』で使用されているフォント”Eurostile Bold Extended”が、それ以降の多くのSF作品にも登場していることに気が付きました。
『2001年宇宙の旅』が描いた、「未来」に対しての世界観と魅惑的なディテールが、その後のSF映画のデザイン性に大きな影響を与えていることに着目。本書では、『2001年宇宙の旅』をSF映画におけるストーリーテリングとヴィジュアル・デザインの映画的ビッグバンとして位置づけ、そのDNAを継いだ映画として『エイリアン』『スター・トレック』『ブレードランナー/ファイナル・カット』『トータル・リコール』『ウォーリー』『月に囚われた男』の6作品のデザインについて緻密に分析されているんです。

SF映画の見方が変わるかも!?デザインの秘密がたっぷり

映画に登場する、PC画面や文などの細かな文字から、メカニカルな機械、印象的な空間や小道具など、「未来っぽさ」を演出するためのデザインにまつわる内容が満載の本書。SF映画を観る視点が変わるような、興味深いものばかりですよ〜。

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アディ氏が初めに注目したという、フォントやタイポグラフィについての丁寧な解説は見逃せません。見慣れた映画のロゴも、未来らしくするための書体ルールと照合してみることで、デザインの特徴や共通性が見えてきます。

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タイトル・シークエンスで登場するロゴや、宇宙服、宇宙船に印字された言葉など、映画の至る所に散りばめられたフォントも丁寧に分析されています。

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個人的には、『エイリアン』登場以後、文字間隔が広いロゴが増えたという指摘に思わず見入ってしまいました。確かに、どれも文字自体が宇宙空間を漂っているかのような印象的な雰囲気です。

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映画の「未来らしさ」を実現する、空間についても細かく分析されています。『スター・トレック』に登場する設計図は、その緻密さに惹きつけられますね。

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『ウォーリー』では、建物や照明などの空間デザインに関する解説が盛りだくさん。また改めてじっくり映画を観たくなります。

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最後には、「未来を視覚化」するために映画デザイナーが取り入れている10のトリックをご紹介。確かに、SFっぽい!と唸ってしまうような、ページを見ているだけでワクワクするような仕掛けばかりが掲載されています。

読み応えたっぷりの1冊です。

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SF映画のデザインの魅力や、新たな発見が詰まった『SF映画のタイポグラフィとデザイン』。ぱらぱら読むのも良いですが、1つ1つの細かな解説を読んでいるうちに、きっとのめり込んでしまうはず。
これからの寒い季節、お家にこもりたい週末にぴったりの一冊です。ぜひじっくり読んでみてくださいね〜。

SF映画のタイポグラフィとデザイン

出版社:フィルムアート社
著者:デイヴ・アディ
訳:篠儀直子
発売日:2020年08月18日
定価:3,800円
仕様:A4版、268頁
ISBN 978-4-8459-1902-4

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