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週末読みたい本『こじらせ美術館』

こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
本日は、『こじらせ美術館』をご紹介します。美術館へ出かけるのが好きな方はもちろん、美術史やアーティストのことをもっと詳しく知りたい!という方におすすめ。「そうだったのか~!」と楽しく知識が身につく1冊になっています。
歴史に残る芸術は、有名画家たちの偉大なる「こじらせ」から生まれた!?
誰でも知っているゴッホ、ムンク、シーレ、バスキア、フリーダ・カーロなど、偉大な画家たちのダメ人間エピソードと作品の秘密を、代表作やキーアイテムのイラスト、チャート図などを通して視覚的な要素満載でわかりやすく解説する「こじらせ美術館」。
画家という“人物”にスポットが当てられているので、普段美術館で作品から想像する切り口とは別の視点で「なんでこの絵を描いたのかな?」が自然と腑に落ちてきて、美術鑑賞がもっと楽しくなる内容になっています。
この本の冒頭には、「こじらせ人物相関図」がついていて、ルネサンス、印象派、エコールドパリ…それぞれの時代の人物相関図がイラストで図式されています。
こうやって図でみてみると、実は同じ人物が何人かの画家のモデルになっていたり、恋愛、家族、友人、子弟関係、自意識・・・ちょっとスキャンダラスな相関図に思わず釘付けになってしまいます。
人物にクローズアップ!人生を掘り起こすとさまざまな発見が。
「溢れる情熱と人間不信 フィンセント・ファン・ゴッホ」。
本編はこのように、出身地や家族、趣味や性格など各画家の紹介ページから始まります。キャッチの文章も楽しい表現になっていますが、個人的に面白いなと思ったのは、「経歴」の欄。
「中等学校を中退。祖母の紹介で美術商グーピル紹介のハーグ支店に就職」。美術館でよく目にする画家の紹介ではなく、親しみやすくわかりやすい表現になっているところに、グッと興味が湧いてきちゃいます。
こちらは、「恋多き世紀末のダメ男 グスタフ・クリムト」。
各画家7ページほどで紹介されているこじらせエピソードを読んでいると、平和すぎるところに“いい絵”ができるというより、恋をしたり心がザラついたところに芸術が生まれるものなのなのかな~と思えてきます。
最後に画家の残した名言も書かれているのですが、こじらせエピソードを読んだ後だと、その言葉がしっくりきて思わず深くうなずいてしまいます。
歴史に残る画家たちには、3つの傾向があるのだとか。シーレのように「裕福だけど人生が破滅に向かうタイプ」、ピカソやモデリアーニのように「美術史には載らないような恋愛をするタイプ」、ゴーギャンのように「自分をテーマにしてとことん追求していくタイプ」。
ひとりずつその画家の人生を掘り起こされた「こじらせ」を読み進めていくと、「この絵はそうゆう状態で書かれたのか~」など、新たな発見が満載です!
装画・挿絵もすべて、荻窪の「6次元」主催・アートディレクターのナカムラクニオさんが担当。
実は、本誌の中に多数描かれている装画や挿絵はすべて、ブックカフェ「6次元」主宰、アートディレクター、そして金継ぎ作家として美術や工芸の保護にも取り組んでいらっしゃる著者、ナカムラクニオさんによるもの。
ナカムラさんが、自身に画家をのり移らせて自伝のように描いたという文章もさることながら、ひとつひとつの挿絵にも注目です!
他にも美術史には知られざる事件、隠されたエピソードなどが詳しく書かれているコラムページも充実していますので、ぜひ、じっくり読んでみてくださいね~。
「こじらせ美術館」は、読むアートセラピー?
どこの社会からもはみ出してしまった画家の人間味あふれるエピソードが集まる「こじらせ美術館」。
読んだ後、セラピーのように気持ちがラクになるような不思議な面白さがあるので、ぜひこの本を読ん実際に体験してみてくださいね~。
発行元:ホーム社
著者:ナカムラクニオ
ブックデザイン:望月昭秀+林真理奈(NILSON)
装画・挿絵:ナカムラクニオ
仕様:四六判/128ページ
定価:1980円(税込)
ISBN:978-4-8342-5346-7
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