DESIGN クリエイティブなモノ・コト
週末読みたい本『レタースペーシング タイポグラフィにおける文字間調整の考え方』

こんにちは。haconiwa編集部のさんどです。
本日は『レタースペーシング タイポグラフィにおける文字間調整の考え方』をご紹介します。タイポグラフィのなかでも“文字間隔の調整”に特化した、ありそうでなかった一冊です。
「なんとなく」からはもう卒業!感覚に頼らず文字が組める考え方を学ぶレタースペーシングの教科書
「レタースペーシング」とは、見出しやロゴの文字の間隔をバランスよく調整する作業のこと。ただタイピングしたままでは文字の形や並びによって調整が必要な部分を手作業で補完する、デザインの品質を左右する重要な工程です。
本書では、デザインの現場では初期に学ぶ基礎スキルとされているにもかかわらず、感覚的な表現で語られがちだったレタースペーシングの考え方を、著者の今市達也さんが図と文章で論理的に解説しています。専門的なのに要点がわかりやすくまとめられているので、デザインを学び始める方からWEB・グラフィックのデザイナーまで、幅広い方におすすめしたい一冊です。
本書は3部構成になっていて、第1部(第1〜3章)では、レタースペーシングの重要性を理解し、見方や考え方を学びます。ほぼすべてのテーマが見開きで完結するので、気になるテーマから読めるのが◎
今市さんが「ひとりひとりの読者が自分なりのスペーシングのコツを見つけるための視点集」だと語るように、さまざまな「見方・考え方」を提供してくれているのが本書の最大のポイント。レタースペーシングには正解がないからこそ、論理的に理解することで自分なりの思考法を手に入れることが大事なんですね。
文字の「数値的な中心」と「視覚的な中心」の違いや文字のパーソナルスペースなど、これまで“なんとなく”感覚で解決していた部分をスッキリと言語化してくれています。
第2部(第4〜6章)では、和文と欧文それぞれの文字組みの特徴を知ることでさらに理解を深めます。
ひらがな・カタカナ・漢字と3種類の文字があったり、縦書きがあったりと独自の特徴をもつ日本語は、欧文と比べてスペーシングの際に意識するポイントも異なるんですね〜。
第3部(第7〜8章)ではさらに実践的な内容に。よく見るブランドや商品のロゴを、スペーシングの観点から考察しています。
明治おいしい牛乳の例では、縦組みと横組みでのスペーシングの違いを解説。縦組みか横組かで「し」のはらいの形を変えているなど、美しいロゴは細かな余白にまでこだわりが行き届いていることに驚きです。
最後の8章は、ここまで学んだことを復習する練習問題になっています。第1部で身につけた視点を活用して文字をじっくりと観察し、第2部で学んだ文字組みの考え方をもとに本書での学びを自分のものにしましょう!
カバーを外すと、タイトルロゴの修正前バージョンが現れます。どこを修正するべきか解説が加えられているので、見やすく修正されたカバーのロゴと見比べると面白い!ここだけでなく著者名や背表紙も同じような仕様になっているので手に取って確かめてみてくださいね。
気になった方は特設ページも要チェック!出版元・BNNのnoteでは試し読みもできますよ〜。
レタースペーシング タイポグラフィにおける文字間調整の考え方
発行元:ビー・エヌ・エヌ(2021/7/21)
著者:今市達也
書籍デザイン:今市達也、今市遥
表紙イラスト:五味利浩、中園英樹
定価:本体2,200円+税
ISBN:978-4-8025-1209-1 C3070
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